第8章




_____これが最後の戦いとなる。もしも敗北したら..そう考えるだけで恐ろしい。


政宗「総監。お前はどう思う。」

総監「..決戦の事ですか?」

政宗「ああ。私は...正直に言って自信が無い。自信を持って勝てるとは言えないんだ...。」

総監「正直に言うと 僕もです。相手は神 ですから...」


やはり政宗さんも自信が無い様だ。だがそんな話をしている内に ダイナの荒地へ着いてしまう。

もう...後戻りは出来ない。


総監「皆!構えろ!」


そう言い放った瞬間。空が裂け 無数の電気が辺りを満たす。その中から影が出て来た。


ジュピター「やはり来たか...愚かな人間共よ。」


その低く響く声は 身体の髄まで浸透する。圧に押し潰されそうになりながらも 必死で立つ。


ジュピター「まずはお前らを始末しなくては...事が始まらん。」


その瞬間。鼓膜が裂ける様な低い重低音が鳴り響く。いよいよだ。全力を尽くす。


秀吉「来るぞ!」

総監「アレクサンドロス!後ろだ!」

アレクサンドロス「了解した!」

 

アレクサンドロスの背後へジュピターが時空を裂いて現れ アレクサンドロスに攻撃を食らわすが 盾を構えて防ぐ。

 

ジュピター「ほう...予想通り。」

 

だがその瞬間。アレクサンドロスの盾に亀裂が入る。

 

アレクサンドロス「何て..重圧だっ..!ぐっ..!」

総監「クロムウェル!」

クロムウェル「了解!」

 

クロムウェルはジュピターへ飛び掛かり横から攻撃を試みるが ジュピターの片手に弾かれて吹っ飛んでしまう。

 

クロムウェル「ぐっ..!」

 

アレクサンドロスは盾を破壊され 遂に態勢を崩す。そこを狙われ アレクサンドロスは腹部へ一撃を食らってしまい 激しく吐血する。

 

アレクサンドロス「っ..!」

総監「今だ!突撃しろ!」

ジュピター「読み通りだ!」

 

皆がジュピターへ斬撃を放つが ジュピターは片腕で防いでしまう。

 

秀吉「ダメだ..!力の差が..俺達とは...違い過ぎる...!」

 

ジュピターは皆の剣を弾き 後方へと飛ばす。

 

ジュピター「終わりか?」

ダヴィンチ「まだ私が!」

 

ダヴィンチは盾と剣を描き ジュピターへ攻撃する。

 

ダヴィンチ「絶対に..退かない..!」

政宗「ダヴィンチ!1人じゃ足らないだろう!私も加わる!」

 

ジュピターの背後から斬りかかった政宗さんは 防がれながらも斬撃を放ち続ける。

 

ジュピター「何度同じ事を繰り返せば..」

 

その瞬間 ジュピターは激しい閃光を繰り出す。あまりの明るさに目が眩んでしまう。

 

政宗「くっ..!」

ジュピター「所詮その程度。」

 

その時 政宗さんの背後にいた筈のジュピターが消える。

 

政宗「なっ..!いつ...!!」

ジュピター「遅い..!」

 

政宗さんは背中に深く一撃を入れられてしまい倒れ込む。それを受け止めたのは...謙信だった。

 

秀吉「謙信!?何故此処に!」

謙信「私が1番早かった。それだけだ。」

 

謙信は政宗さんをそっと置き ジュピターへ刀を向ける。

 

ジュピター「ほう...立ち向かう気か。」

謙信「ただの時間稼ぎだ。私の役目は。」


謙信は颯爽と駆け ジュピターへ斬撃を放つ。しかしそれを片腕で防がれてしまう。その隙に謙信は身体を捻り 背中を斬りつけるがそれも防がれる。

 

謙信「くっ...!?」

ジュピター「その程度か?」

 

謙信は刀を掴まれて強く握り締められてしまう。そして次の瞬間。刀の刀身が粉々に砕けてしまう。

 

謙信「っ!」

 

だが謙信はその刀を持ち直し 再び斬り掛かる。そして遂にジュピターの右腕を突き刺した。

 

ジュピター「っ!」

政宗「私も...まだ戦える...!」

 

政宗さんが後ろから斬りかかり ジュピターを後方へ突き飛ばす。

 

ジュピター「愚か者が..」

 

徐々にジュピターへ傷を与えられている。しかしこのままでは埒が明かない。その時。

 

ジュピター「たかが傷を負わせた程度で...図に乗るな..!」

総監「何か来るぞ!退避だ!ダヴィンチ!防御壁を!」

ダヴィンチ「了解!」

 

ダヴィンチは防御壁を描き上げ 皆を守ろうとする。が、

 

ジュピター「狙いはお前だ。」

ダヴィンチ「総監!危ない!」

秀吉「避けろぉおっ!!!」

総監「っ!?」

 

ふと視界が歪み 目が眩んだ。身体中に激痛が走ろうとする。だがその時。何かに突き飛ばされる様な感覚を全身に感じた。そして気が付くと 地面に叩き付けられていた。

 

ジュピター「外したか...。」

 

ふと横を見る。そこには...ダヴィンチがいた。もうとても戦える様な身体ではない。

 

ダヴィンチ「総...監...」

総監「ダヴィンチ!」

ダヴィンチ「これくらい...すぐに治るよ...。皆を...平和を...守ってね...」

 

ダヴィンチはその場で気を失った。抱き上げて揺さぶるが 全く起きる気配がない。ダヴィンチを抱き締め ながら ジュピターと向き合う。

 

総監「ジュピタァァアァッ!!!」

謙信「アイツだけは...アイツだけはっ!!」

クロムウェル「貴様ら!ジュピターへ特攻しろ!生死は問わぬ!総攻撃だ!!」

 

突如 後ろから迫る多数の足音。

 

謙信「っ!?」

 

振り向くと そこには見慣れた影があった。

 

エカチェリーナ「すまぬ総監!」

ナイチンゲール「ダヴィンチちゃん倒れたんだって!?私が治しとくから!皆は 思いっきり暴れてきな!!」

信玄「仇を取れぇぇえっ!!」

ナポレオン「うぉぉぉぉっ!!!」

 

そこには見慣れた戦友達の姿があった。皆の願いは同じ。平穏を神の手から取り戻す事。ここまで来たら 後はジュピターを撃つだけだ。やるしかない。

 

総監「皆!ジュピターを穿てっ!誰を道ずれにしようと構わない!ただ神を穿てっ!!」

 

その言葉と共に 皆がジュピターへ駆け出す。紡いで来た歴史を無に帰さない為に。そしてこの物語に終止符を打つ為に。

 

信長「秀吉!家康!行くぞぉおっ!」

クレオパトラ「女王達よ!妾達の力を今ここで見せつけるのだ!」

三成「少しは戦える様だな..政宗?」

政宗「お前は黙って剣を振るえ!」

三成「今回ばかりは..お前に従ってやろう。」

 

戦場に咲く花達は 皆が赤く乱れ咲く。一つの光を灯し 闇を照らす。その光はやがて一つになってゆく。

 

エカチェリーナ「はぁぁああぁあっ!」

ジュピター「図に乗るな!愚生共がぁぁあっ!」

ダヴィンチ「回復したからには..私も戦わないとね!」

ミケランジェロ「ダヴィンチ!」 

ダヴィンチ「壊そうが創ろうが今は同じ!行くよミケランジェロ!」

ミケランジェロ「一泡吹かせてやろう..!!ダヴィンチ!」


 

皆の猛攻がジュピターに襲いかかる。そして遂に決着が付く時が来た。

 

総監「終止符を打てぇぇぇえっ!!」

ジャンヌ「はぁぁあああぁぁああぁっ!!」

ジュピター「神が人類に負けるなど..あってはならぬのだぁっ!!」

 

辺りが輝きに包まれる。そして徐々に虹色へと染まって行く。

 

ジュピター「ぐっ..!神の敗北など..貴様らぁぁああぁぁっ!!」

 

そして辺りに眩い閃光が広がった。その光はやがて闇へと変わってゆく。


ジュピター「ぐっ……!?ぬぅぅうぅううっ!!」

 

ジュピターは 輝きの霧となって消えて行く。その時 彼の声が聞こえた様な気がした。

 

総監「勝っ...た..?」

信玄「勝ったんだ……!俺達が……!」

秀吉「平和が戻ったぞ!」

エカテリーナ「やったのか..余達が神に勝ったのだな...!」

ダヴィンチ「やったぁぁあ!!」

三成「ふっ..いい気味だ。」


皆が歓喜に包まれ 喜び合う。紡いで来た絆を信じて皆で掴み取った平和。皆と笑い合った思い出。馬鹿げた愛しき日々。この平和をもう二度と手放さないと皆が固く誓い合う。

 

総監「皆...帰ろう。俺達の..帰るべき場所に。」

政宗「ふっ..そうだな。」

クレオパトラ「皆の者!帰還次第宴だ!」

信玄「ガッハッハッ!そうだな!宴だ!」

 

_____そうして皆で宴を楽しんだ。爆食するジャンヌと謙信達。皆を楽しませるニュートンと清正。それを笑う 3G's。平和な世界でまた笑い合う。この平和を噛み締めながら。___その夜。ドアがノックされた。

 

ダヴィンチ「総監~入って良い?ちょっと話したい事があって。」

総監「ダヴィンチ?どうしたの?」

ダヴィンチ「ううん。ちょっとさ。」

 

ダヴィンチは部屋に入り 正面に座った。


 

ダヴィンチ「ありがとう...総監。」

総監「ん?」

ダヴィンチ「総監が居なかったら私達も今頃どうなっていたか分からなかった。」

総監「…うん。でも皆がいたから守れたし..」

ダヴィンチ「私達は総監に指令してもらわないと 本来の実力を発揮できないしさ。...本当にありがとう...。」


と その時。ダヴィンチは突然立ち上がり 抱き着いて来る。そして...キスをした。


総監「っ!?!?」


驚きのあまり硬直した。彼女に抱き締められる感覚を味わいながら。


ダヴィンチ「ん...ちゅ...」


ダヴィンチは舌を絡ませる。そしてゆっくり口を離す。


ダヴィンチ「私...総監の事が好き。」

総監「ダヴィン...チ..?」

ダヴィンチ「私ね...実は..総監と会った時から一目惚れだったの。私とあんなに話してくれた人は総監が初めてだった。だからさ...惚れちゃって..//」

総監「そう...だったんだ。」

ダヴィンチ「ごめんね?急にこんな話してさ。迷惑だった?」

総監「いや...良いんだよ。ダヴィンチ。」


ダヴィンチの言葉を聞き 本心を打ち明ける事にした。もう...良いんだ。


総監「ダヴィンチ...俺もさ..ダヴィンチの事..好き。」

ダヴィンチ「えっ!?」

総監「初めはさ……不思議な子だなって思ったけど。でも ダヴィンチと関わっていく内に俺も惹かれちゃったみたい。」

ダヴィンチ「総監...!」


再び抱き合った。今度は優しく包み込む様に。そしてどちらからともなくキスを交わした。


ダヴィンチ「えへへ...//」


ダヴィンチは頰を赤く染めながら微笑み掛けてくる。その笑顔は とても美しく愛らしかった。


ダヴィンチ「総監...これからもよろしくね?」

総監「宜しくね..!ダヴィンチ。」


ダヴィンチと..恋人になってしまった。何だか少し変な感じだ。でも 今は...とても幸せだ。





 


が。



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