紡ぐ者達よ。

ヤトミ

開幕

───体に微かに電気が走る。それは 単なる錯覚なのかもしれない。だが心はその痺れに共鳴して。体が少しずつ動き出す。頭が重い。重い瞼を開け 色を見る。


────そこは知らない場所だった。


「────っ!」


反射的に身を起こす。すると男性の声が聞こえた。


「...起きたか。」

「...?」

「驚くのも無理は無い。君は気を失っていたからな。声は出せるか?」

「...はい。」

「それは良かった。」


その声の主は白いシャツに黒いズボンというシンプルな服装。顔は鉄の仮面で隠れているため 年齢 性別も判断出来ないが 声から恐らく男性だと推測は出来た。


?「貴方は...?」

総務「私は名乗らない。だが『総務』とだけは言っておこう。」

?「総務..。」

総務「ああ。...君に話す事がある。良いか?」


少し怖いが 頷く。


総務「良かった。それで...君には此処の施設の者を管理し 指示する『総監』になって欲しい。」


?「え...?」


いきなりの事に理解が出来ない。


総務「『総監』というのはこの施設を管理する上で必要な役職だ。そしてこの施設は広いため 統括する者が必要だと上が判断した。」

?「...管理..。」

総務「心配しなくていい。慣れるまで時間は掛かるだろう。だが皆もそれを分かっている。君に協力するだろう。」

総監「...はい。...やってみます。」


彼の頼みに応じた。要するに 新しい世界を知るチャンスだと解釈したからだ。


総務「ありがとう。早速だが 君に会わせたい人がいるんだ。」

総監「会わせたい人?」


するとドアからノックが2回鳴る。


総務「入れ。」


扉が開くと そこには女性がいた。


?「総務。急用とは 一体?」

総務「紹介しよう。彼女が伊達 政宗だ。政宗。今日から彼がお前のバディだ。」


すると政宗と言う女性は此方に来た。


政宗「伊達 政宗だ。以後宜しく頼む。」

総務「バディとなれば 交流も必要だろう。俺は戻る。政宗。後は頼んだぞ。」

政宗「了解しました。」


そう言って総務は去って行った。


政宗「それで。何も知らない様だが 外の事は知っているか?」

総監「いえ。全く知りません。」


政宗「成る程。今外は壊滅的状況だ。原因は不明。その原因を突き止めながら 解決をするのがこの施設の役割だ。そこで総監。お前には戦闘時に私達を指揮してもらいたい。このイヤホンをしてくれ。そうすれば私達と通信が繋がる。」


すると政宗さんはイヤホンを渡してきた。


政宗「それと...総監は戦闘経験はあるか?」

総監「いや全くありません。」

政宗「そうか。まぁそれは慣れだ。早速で悪いが任務に付いてもらうぞ。」


彼女の後に着いていくと そこは既に荒廃していた。恐らく発達した街だったんだろう。その痕跡が多く見られる。


政宗「ここが最初の任務だ。」


すると目の前には沢山の機械兵器が居た。


政宗「これを殲滅するのが最初の任務だ。そのイヤホンマイクから右だの左だの避けろだの指示をしろ!」


政宗さんはそう言いながら 向かって行く。このイヤホンはどうやら遠隔で政宗さんの視点が見えるらしい。


総監「後ろです政宗さん!」


彼女は見向きもせずに後ろを斬り付ける。それに共鳴して血が滾る。まるで政宗さんと一心同体だ。そして辺りの機械兵器を切り裂いく。


政宗「さて。コイツでっ..最後だっ!」


と最後の一機に強烈な一撃を加える。


政宗「ふぅ...これで終わりだな。」


彼女は肩を回しながらこちらへ来る。


政宗「本当に実戦経験は無いのか?総監。初めてとは思えない司令塔っぷりだな。」

総監「ありがとうございます..。」

政宗「何故そんなに浮かない顔をする。」


彼女は心配そうな顔で覗き込んでくる。


政宗「ふっ..何だ。初めての実戦に怖じ気づいたのか?」


と背中を軽く叩いて来た。


政宗「取り敢えず帰って休むが良い。部屋は案内する。さぁ。行くぞ。」


彼女に連れられ 施設へ戻った。初めての司令なのに上手くやれた。何故だろうか。しばらく歩いた後。部屋の前に着いた。


政宗「この施設にいるのは私だけじゃない。他にも大量にいる。いずれ関わる時がくるだろう。それまではゆっくり此処に慣れると良い。私の総監よ。」


彼女は肩を叩いて去って行った。


後に総務から施設の説明等を受けた後 自室に着きベットに座る。これから何をするか考えながら時を過ごす。しばらくすると睡魔が襲ってくる。そのまま睡魔に身を任せた。







ヤトミです。近況ノートにキャラデザを掲載していますので 気になって下さった方々は是非ご覧下さい。

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