第18話 《召還》された先のお国事情と騎士様


 報告に来た者達が退出する背を見ながら、恵里花はオスカーが副団長と呼ばれたことを考えていた。


 〔そういえば、オスカーさんって

 今までそこに気が回っていなかったけど……

 どの騎士団の副団長なのかしら?


 それに、この国の軍隊ってどんな種類があって

 規模はどのくらいなのかしら?


 ああ…なんかすごく気になるなぁ~………

 自衛隊みたいに、陸海空ってあるのかしら?〕


 異世界の王国?帝国?の軍隊に、海上自衛隊に勤務する父を持つ恵里花は興味を持ったので、オスカーについ質問してしまう。


 「オスカーさんは

 どの騎士団の副団長なんですか?」


 オスカーはその質問に、隠す必要(既に、オスカー及び神殿に居た魔法騎士達は、恵里花の忠実なわんこになっていたから)を感じないので、あっさりと答える。


 「私は、魔法騎士団の

 2人いる副団長の1人です」


 「ええぇ~……魔法騎士団って

 本当に存在するんですね」


 「他にも魔法師団とか神聖魔法師団という

 魔法専門の師団があります」


 「他は、魔法とは関係無いの?」


 「近衛騎士団、帝都騎士団、東域騎士団

 西域騎士団、南域騎士団、北域騎士団

 そして、中央騎士団があります」


 恵里花は、それを聞いて頷く。


 〔ふむ、7つの騎士団があるのね

 いやいや、それに魔法専門? が3つで

 10個師団というところかしら?


 しかし…7つ…なんか…変なフラグ?

 イヤかも…他に7の付くモノはないわよね〕


 そんなコトを考えながらも、好奇心から更に恵里花は聞く。


 「この国は、騎士団のみが戦うの?」


 「近衛騎士団は、皇族と王城を守護します

 帝都騎士団は…帝都の治安維持と帝都周辺に

 出現する魔物と戦います


 帝都騎士団で対応できない魔物を狩るのが…

 魔法騎士団です


 東西南北及び中央と分類された地域の治安管理と

 魔物を狩るのが各騎士団です


 対応出来ない魔物が出たら…我々が出ます

 他に辺境伯爵が中心になった

 辺境騎士団が4師団あります


 これは…騎士のみで構成されていません

 また…魔物の対処が出来ない場合は

 我々が駆り出されます」


 オスカーの説明に、恵里花はノートとかメモできるモノが欲しいと思ってしまう。


 「そうなんですか………

 オスカーさん達って、物凄く優秀で……

 そして忙しいんですね~…あれっ?


 魔法師団と神聖魔法師団は…

 どういう時に出動するんですか?」


 「魔法騎士団が出動する時に

 部隊の規模に応じて

 補助と治癒の為に同行します


 帝都やそれぞれの地方都市に

 一定数が在中していますから

 帝都から出動する人数は少なくすみます」


 「では、騎士団としての基本の部隊は

 幾つになるんですか?」


 「近衛、帝都、東、西、南、北、中央の7つです」


 〔えっ…また…7つ……いや、慌てるな恵里花

 これはさっき聞いたヤツよ


 そうそう、7の字が付くものなんて無いわ

 大丈夫よ……たぶんきっと……でも………〕


 気分はパンドラの箱状態で、恵里花は頷いてから、話しを変えることにした。


 「7つの騎士団ねぇ~……ところで………

 ここの陛下のお妃様って、何人ですか?」


 恵里花の質問に、少しだけおやっと思ったオスカーだが、そのまま、端的に答える。


 「皇妃、側妃4名、妾妃2名の7名です」


 その答えを聞いた恵里花は内心で、かなり引き攣っていた。


 〔7人…って…また、7……なんか祟りそう

 あれ? …じゃあ、準備期間とかは………〕


 「今回の聖女候補の《召還》って

 準備期間はどのくらい有ったの?」


 脈絡の無い質問では有るが、こちらに着たばかりを考えれば、素朴な質問なので、オスカーは答えてやりたいとは思ったが…………。

 その内容は《召還》に関するモノなので、詳細は知らされていない為、神官へと話しを振ることにした。


 「私は、その情報を持っておりませんので…

 司祭のアルベルト様…お答え下さい……

 姫君のご要望ですよ」


 聞かれた神官も、恵里花の異世界から持って来たモノのお陰で、復活(笑)したのと、美味しいホットワインで心が緩んだこともあって、あっさりと答える。


 「はぁ~《召還》できましたので

 公表しても構わないと思われるので…

 お答えしますが…7年かかっております……」


 〔…また…7の字……もしかして…マジで…

 7人ミサキ…って、私達怨霊じゃないから……


 じゃなかったら…生贄…いやいや………

 これは、ラッキーセブンよ……〕


 恵里花とオスカーとアルベルトの会話に、その部屋に居た人間達は不思議な符号を感じてしまう。





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