第8話 恵里花が聞きそこねた、神官による聖女候補についてのお話し3



 やはり、どの美少女もマンガとラノベを読み、アニメを見ているので、魔法を使えるようになるというお話しには弱かった。

 年頃的にも、厨二病を克服したかどうかという年齢もあったから…………。


 だから、美少女達は、真面目に魔法の勉強をして、魔法使いになるんだと心に誓っているのだった。

 そう、浄化を司る聖女ではなく、魔法少女を目指していたのだ。

 そんな厨二病の聖女候補達に、ワルター神官は予定通りの説明を淡々とする。


 「自分に適正のある属性だけ修行しますし…

 魔法についての基礎知識は教えますが


 それを追求した、魔法理論や魔法付与などと

 新しい魔法の創造などについては…………


 こちらも聖女が早く欲しいので

 色々と省きますから……大丈夫です


 それらに、好奇心がおありでしたら

 瘴気の浄化が終わりました後

 ゆっくりとお教えします


 まずは、聖女候補の皆様の護衛獣となる

 神獣や聖獣や幻獣を試練の森にて

 手に入れていただきます」


 ワルター神官の長い説明に疲れた牡丹は、ちょっと面倒くさくなっていた。

 いや、聞きたいコトと、美味しい(厨二病の欲望を満たす)話しが終わったので、こちらも淡々とした感じで聞く。

 

 「それって…どういう意味があるの?」


 残りの5人が、うんうんと頷き、ワルター神官を見る。

 その視線を感じ、ワルター神官は説明を続ける。


 「試練の森と呼ばれる場所で

 神獣や聖獣や幻獣と《感合》する為には


 聖女候補様達は、試練の森ではかならず

 お独りになる必要が有りますので………


 そのぉ……独りにならないと…

 彼らは、人前に出てきませんから……」


 〔〔〔〔〔〔……えっ? …マジで……

 それって……ヤバイじゃん……〕〕〕〕〕〕


 全員の気持ちが重なる。

 が、聞かなければと、1人が勇気をだして聞く。


 「試練の森って…魔物とか色々と居るとか?」


 その問いに、ワルター神官は大きく頷いて言う。


 「はい…魔物などが棲んでいる場所ですから…

 最低でも、乗馬は必須ですね


 徒歩で試練の森に入ったりしたら

 魔物や獣に、好きに襲ってくれと

 言うよなものです


 ですから、聖女候補の皆様は、馬に

 独りで乗れるようになっていただきます


 それに、身の安全を確保する為にも

 剣の修行も必要ですね


 護衛獣と《感合》する為には


 聖女候補の護衛をする騎士達と離れて

 独りになる必要がありますから


 自分の身は、自分で守るというコトです」


 あくまでも、淡々とそう言うワルター神官に、ちょっと気の強い牡丹が、これ重要だからと、聞く。


 「魔物が棲んでいるのに

 どうして神獣や聖獣や幻獣がいるの?」


 牡丹の問い掛けに、ワルター神官はかなりとぉ~いぃ~視線で、明後日を向いて言う。


 「それは、人が住んでいないからです」


 そんなワルター神官の様子と言葉に、ちょっとおとなしい鈴蘭が、勇気を出して聞く。


 「もしかして、人間って嫌われているの?」


 〔だったら《感合》って、よっぽどの運がないと

 出来ないモノなんじゃないかな?〕


 不安を滲ませる聖女候補達に、ワルター神官は少しだけ無意識に肩を竦めて言う。


 「嫌われているというよりは………


 そうですね、人は個体数が多いですから

 個体数の少ない神獣達と違って


 数が多い上に、色々な気や欲望を

 あたりに大量に撒き散らしていているので…


 彼らには、それがとても煩(うるさ)くて

 煩(わずら)わしいんですよ


 だから、人が住まない静かな場所を

 好んでいるんです


 それと…試練の森以外だと

 ほぼ、人跡未踏の土地にしか

 神獣達は、おりませんので……


 そんな王都から離れた場所に

 か弱い聖女候補を連れては行けないという

 事情もありますので……」






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