狸の話

なまはげ

プロローグ

 私の住んでいる高知県のある坂には昔から一匹の狸が住んでいる、という話を祖母からよく聞かされていました。

 曰く、その坂で転ぶと狸が化かしに来るのだとか。

 昔はその坂はごつごつとした岩だらけの道で、まして移動手段は徒歩や馬くらいしかない時代では月に何度も、多い日なんかは日に二人も狸に化かされたそうで、人々も半ばそれを楽しんでいたそうです。


 けれども祖母が40歳くらいになるとその道も舗装され、転ぶ人もめっきりいなくなったそうで狸に化かされた、なんて話も全く聞かなくなりました。

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