コンセプト

愛なんだ

第1話 憎悪そして時の流れ

 やぁみんな!!

俺はz... ゴホゴホ

違うわ。。。。。。。。。。。。。。。。。

俺の名前は「チーズ」だ!

 気軽にチーズって呼んでくれよな!


 まぁ自己紹介もこの辺で終わりにしといて、俺はこの話のってやつをさせてもらうからよろしく頼むぜ。

 よし、早速だが今から俺がお前らに話す物語は、俺が今日まで見てきた中でトップクラスでおもしろかったやつだ。


しっかり目に焼き付けとけよ!!

たまに俺の感情でちゃうかも!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 とある学園の大講堂。

 授業終わりのようだ。

 机に突っ伏して寝ている茶髪天然パーマで白を基調とした制服を着ている青年に焦点が当てられる。


 彼の教科書からこの世界の情報が読み取れそうだ。


 【コンセプト】・・・この世界の人間が使える特殊な能力のこと。

 ※この小説では時々、能力コンセプトと表記する。


 【ルーカス】・・・我々が日々を過ごしているのこと。

世界人口約3000万人


 【???ウ】・・・???????

 

  他にも様々な事が綴られているようだ。


 「こいつで文字隠れて読めないな。てか、この教科書幼稚舎のころのやつじゃん!!まじでアホじゃん」


 青髪で黒を基調とした制服を着た青年が彼をバカにしてそうな目で見る。


そして、


 「テン!起きろよ!授業終わったぞ」

と彼の肩を揺らす。


ー起きない....


 どうやら茶髪天パの青年の方は「テン」と言うそうだ。


 青髪の青年が呆れていると、今度は黒髪ロングでどこか奇抜なヘアスタイル、黒を基調とした制服を着用している彼女が寄ってきた。

 どうやら周りを見渡す限り、黒の制服が一般的なようだ。


 「セイ、何してるの〜?あれテンまた寝てるじゃーーん。一回寝たらなかなか起きないよねっ!」

と言いながら青髪の青年の腕を取り、こちらに寄せる。


 青髪の青年の名前は「セイ」だ。


 「リン、こいつ今絶対夢見てるぞ。とびっきりのな。だから、先行こう、練習手伝ってくれ」


 「もちろん!セイの為ならなんでもするよ!」

と嬉しそうに答える彼女こそ「リン」だ。

 リンはセイの手を無理矢理握りながら二人は大講堂を後にした。


 そして、再びテンに焦点があたる..


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

10年前 


 太陽が照りつく昼下がり、子供の元気な声が聞こえてくる。

 

どこか中世の街並みを彷彿とさせる。


「おかあさん!おとうさん!」

と元気な声で階段を駆け降りてくるテン(当時7歳)。

「もう来た!?」

と続けて言う声が家中に響く。


 テンの故郷は「ゴスカ島」という島である。ゴスカ島は山脈を境に二つの集落が存在する。

人口は僅か800人程度で、島も広大ではあるが、特別に大きいかと言われたら、そうでもない。それほどの島である。そして、観光名所もないため、一年中静かでゆったりとしている。


 「まだ来てないわよ」

とキッチンに立ち家事をしながら答える彼女はテンのおかあさん「マリ」である。


 「ははは、やっぱ楽しみだよな!」

とコーヒーを嗜みながら、反応するのは、テンのおとうさんである「ケーム」だ。

 

 「だって楽しみすぎるんだもん!!!」

その場で跳ねながら、上機嫌で言う。


 などと家族微笑ましい会話をしていると家のチャイムがなる。


 「来たっ!!!」

テンの興奮が最高潮に達する。


 そして、テンが勢いよく玄関のドア開ける。


 「ただいま〜」


ーおにいちゃんだ。


 「テンに会えなくなる前に顔出しに来たよ。」

と話す彼はテンのおにいちゃんの「ターム」


 おにいちゃんだったので、少ししょんぼりしているテン。タームはしょんぼりテンくんを見てにやける。そして、


 「実はなんと俺の後ろにいます!!学校の人!!!!!!!!!!!」

タームが大声で言うと後ろから男の人がぴょこんとでてきて、


 「どうも〜あはは」

と黒髪の容姿端麗な青年が言う。


 マリが、ショウを家の中へ招いた。


 黒髪青年は出されたお茶を一口飲むと改まり

 「初めまして、聖マトリクス・コンセプト学園、高等部二年生の「ショウ」と申します。チャイムを鳴らそうと思ったらお兄さんとバッタリ会ったんですよ。」


 聖マトリクス・コンセプト学園とは、高等教育施設、中等教育施設、幼稚舎(小学校)をまとめた総称で、ルーカス上世界一の教育施設と謳われる全寮制の学園だ。入学式や1学期は秋から始まる。ちなみに世間からは略して「マット」と呼ばれている。     

 今回ショウがテンの家に来たのには理由があり....


 「改めて、テン•ハレルイさんを特待生入学の件でお迎えにあがりました。以前にも文章でお話しさせていただいたことを口頭でも言わせていただきますね..」

とショウが話している間テンはずっと首を縦に振っていた。


 実は、テンはマットに特待生としての推薦枠をもらっていたのだ。そして、今回ショウが迎えに来たというわけだった。


 また、テンの本名は

          「テン・ハレルイ」

         なので覚えておくように。


 「テンさんの能力コンセプトは今の時代に珍しく、しかも強いです。なんて言えばいいのでしょうか、同じ能力を持つ人はもちろん何人もいるのですが、その人達に比べると、比にならないほど強力なんですよね。で、私も興味持っちゃって、本来、お迎えって言うのは教授が行くのですけど、私が教授にお願いして変わりに来ちゃったって言うわけなんですよね。あはは〜」

と自分の制服を見せるようにたたく。


だ。


 「ショウもなんだね!」


 「そうです!私も特待生なんです!」


 「じゃあ僕はショウと同じだね!」

 

 「テンさんと同じかと言われたらまたちょっと違うけど、まぁそんな感じですね。すぐにわかるから問題はありません今回のことも私が特待生だから教授も許してくださったんですよ。」


 テンは首を傾げたが、特に気には留めなかった。


 「ごめん、俺もう戻らないと。」

タームが自分の腕時計を見て、急に口を開く。


 「え!?もう図書館戻っちゃうの〜?なんで〜」


 「テン、おにいちゃんは、島に一人だけの司書なの。だから、おにいちゃんが図書館に戻らなきゃ、みんなが困っちゃうのよ。」


 図書館はゴスカ島に一つしか存在しない。そして島の奥の方にある。タームはそんな図書館のたった一人の司書なのだ。本来、司書に休みはない。一日中仕事なのだが、休憩の間を縫ってテンに会いに来たのだった。


 テンはマリに改めて説明されてようやく納得したようだ。


 テンにとっても大好きなおにいちゃん。次に会えるのは少なくとも10年後、この世界にもスマホはあるが、直接は会えない。


 「男らしく胸を張っていけよ!テン!」


 「おとうさん、ありがとう!僕、がんばる!」

 テンはケームの喝入れに目が覚めたらしい。

 

 「じゃあ、そろそろ行きますか。」


 「うん。行こう!ショウ!」


 テンとショウの二人は荷物を持って玄関を出る。


 「ごめんね、テン。本当はお見送りしたいけど、家事やらなきゃいけないから。」


 「大丈夫だよ、おかあさん!大きくなった僕を楽しみにしてて!」

 

 テンがおかあさんの元に行き、ハグをして別れを告げる。決してテンは泣かない。なぜなら、また会えるし、家族だから。

 

 タームは図書館へ戻り、マリとケームは家事をする。そして、テンとショウは電車に乗るために、駅がある隣の集落へと歩みを進めていた。


 ルーカスには、他の大地との道を繋ぐ、電車が存在する。名は「シートレイン」海の上に線路が繋がれているからだ。ゴスカ島の駅では、最初のうちは陸地を走り、山脈トンネルを抜け、テンたちが住んでいた集落を超え、次第に海の線路へと合流する。


 二人は道中たわいのない会話をしながら、隣の集落へと足を踏み入れた。集落へ着いた頃にはもう日が暮れかけていた。そして、テンは周りを見渡すとすぐに違和感に気づいた。テンの違和感はすぐに正しいものとなる。

 この集落にある商店街から、何か荒々しい声が聞こえてきたからだ。

 二人は、シートレインまでの時間がまだあったため、商店街の方に行ってみることにした。

商店街に近づくと、次第に聞こえる声が大きくなっていく。


 「どこにあんだよ!」


 「さっさと答えろ!」


 推定30代の男二人組が、テンと同い年ぐらいの姉妹と思われる子らに恐喝を行なっている。


 周りに人がいない。皆逃げてしまったのだろうか。彼女達の親はどこへと思考を巡らせる暇もなく、テンが気づいた時にはショウが彼女達の元へ駆け出していた。そして、男達が彼女達に手をあげようとした瞬間...


コンセプト:マジック


 ピタリと男達の手が止まる。当然男達は困惑する。

 そこに


 「何をしている」


 ショウが男達に近づき怒りに満ちた声で問いただす。


 「なんだぁ、クソガキ。ぶっ殺されてーのか。」


 男の一人がコンセプトを使おうとする。


 《コンセプt...


 (!?....能力が使えない!?)


 男達はこの状況に理解できずにいた。

もちろん隠れながら見ていたテンも困惑している。


 「俺の能力を説明してあげるよ、俺の能力は《マジック》って言って、魔法じゃないんだけど手品っぽいことなら、自由にできちゃうんだよね」

 

 ショウが能力の説明始める。ショウも本来はこんな口調だったのかとテンは少し驚いたが、今はそれどころじゃない。17歳の青年が大人を圧倒している。マットの特待生はこれほどまでも強力なのかと感銘を受ける。


 ショウは何もできないままでいる男達から距離を取り、右手を左下へ振りかざすと、何もなかったはずの空中から、花弁を男達に向けて、3本のバラが出現し浮遊している。そして、再びショウが手を振りかざすと3本のバラが男達目掛けて突撃していく。見た目に反して、威力は強烈らしい、攻撃を受けた男達が姿勢を崩す。

ショウが男達の目を睨むようにみると、男達は気絶していった。


 「ショウ!何したの」

ショウの元へ駆け足で向かう。


 「テンさん。こいつら、の人間ですよ。」

男達の左手首に刻まれたタトゥーを見て言う。


 「オノティスって言う悪いことをしている人達ですよ。左手首に蛇のタトゥーがあるのが、目印です。最近は何もしてないって思ったんですけど、こんなところにいたとは、なぜなんでしょうか。」

ショウはこのことに疑問を抱きつつも、テンにわかりやすく説明する。


 「なんで、この人達がここにいたの」


 「それは....それよりも大丈夫でしたか、君たち」

 オノティスの二人組に恐喝されていた。姉妹と思われる子らに話しかける。


 「ありがとう...」

とお姉ちゃんらしき子が一言だけ残してそそくさとどこかに去ってしまった。


 「行っちゃった...」

少しだけしょんぼりした。


 「しょうがないですよ。怖い思いをしましたからね。さて..」

と言うショウの目線は、気絶してる、オノティスの二人へと向いていた。

そして、


 「起きろ」

とショウが言うと二人は目が覚めた。


 「何が目的だ。俺の質問に答えろ。」


 すると、オノティスの一人が口を開いた。

抵抗しても無駄だと悟ったのだろう。


 「ないね、強いて言うなら今日この島がとんでもないことになるって聞いたから来ただけだ。」


 「とんでもってなに!?」


 「大丈夫です。テンさん、こいつらにはこの島をどうにかする程の力は持っていません。だから安心してください」


 「うん」


 「少女達にどこにあるって聞いてたのはなんだ。」


 「言えないね」

とシラを切る二人組。


 すると、ショウはため息をつき。


 「テンさんは先に駅に行ってもらってもいいですか。私はこの人達に用事があるので。行けますよね」


 「もちろん!」


 ショウはテンを先に駅に行かせた。

 

 額に冷たい何かがあたる。どうやら雨が降ってきたようだ。

テンが駅に着き、ショウを待つことおよそ15分。ショウが駅に着き、テンと合流した。何かしたのとショウに質問する。拘束したと答えるショウ。 

 そして太陽も沈み、シートレインに乗る時間となった。

 電車に乗り込む二人。

 発車ベルの合図で電車が動きだす。

 テンは外の景色を眺めながら、自分はここから、どんな人間になるんだろう。どんな物語が待ち受けてるのだろうかと、心を馳せる。

 ショウがもうすぐトンネルを抜けますよと、背伸びをしながら教えてくれる。

 最後ではないが、最後に故郷にお別れをしようと電車の窓から顔を出す。

 トンネルの自然風が冷たくて気持ちいい。

 そして、トンネルを抜ける...











ー...?!


?????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????わからないなになにえ?え?なにがおきたわからないほんとうになになになになになになになになになにどういうことどういうことねぇねぇねぇねぇ......................................................


 トンネルを抜けた先には数多の小型隕石がテンが幼少期を過ごした集落に降りそそぎ、あたりは一面火の海となり、その光景はまさに地獄絵図そのもの。

 ショウはその光景に驚愕したがすぐに冷静になり、テンにここにいる様にとだけ伝えて、窓から飛び降りていった。

 テンもショウに着いていこうとしたが、すぐに諦めた。自分が行ってもどうすることはできない。そして、なによりもきっともう自分の家族はこの世にはいない。テンは子供ながら察してしまったのだ。

 動き続ける電車の中、テンも冷静になり今日あったことを振り返る。

 家族のこと。ショウのこと。そして、オノティスのこと。


ー今日この島がとんでもないことになる...


 (これだ。これに違いない...)


 テンの思惑通り、この事件の翌日、オノティスより犯行声明が出された。これによって、オノティスは世界中にその名を轟かせることとなる。


 テンは涙を流したかったが、流すことをぐっと堪えた。


 辛い、泣きたい、苦しい...


 でも、


 こんな自分が今できることは、


 怒りを抱き、憎悪し、ただただ


 「殺す...」


 復讐を誓うことだった。

 





 


 


 

 



 


 




 



 


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