第16節 読みやすい文章は作れる!(後編)



 前節の続きです。さっそく本題に移っていきますね。



①人称(視点)を定めておく


 かなり難しい項目なので、いつか単体で取り扱います。

 一人称だとか三人称だとか、多元視点だとかそういうあれです。ただ、そんなものをちゃんと理解せずとも小説は書けます。ふわっとでいいです。


 簡単に説明すると、視点とは、カメラの位置を指します。

 物語を書き進めていくにあたって、どこにカメラを据えて書くかですね。


 一人称だと、私は──のような文章になりますよね。

 その際、カメラの位置は私の目です。私のいない別の部屋で起こっていることは分かりません。逆に三人称だと、別の部屋のことも描写できます。

(その他にも二人称や神視点など、色々な書き方がありますが今は割愛します)


 つまり、人称とカメラの視点とは強い関係性があるんですね。


 この人称が統一されていない場合、文章は混沌とします。

 例文を挙げますね。



・悠希はボールをなんとかキャッチする。僕はそれを健斗に投げ返した。

 健斗は返ってきたボールを取り落とす。彼は内心、キャッチボールの下手さに落ち込みながらボールを拾いに行った。



 悠希は三人称、その後に続く「僕」は一人称です。また「彼は内心──」という文章は三人称ですね。これを、すんなりと読める人は少数かと思います。


 この文で、悠希が僕だということは一応分かるのですが、そんなことが小説のあらゆる箇所で起きていたらどうでしょうか。読みづらいことこの上ありません。



・僕はボールをなんとかキャッチし、健斗に投げ返した。

 健斗は返ってきたボールを取り落とす。彼は申し訳なさそうな顏で、ボールを拾いに行った。


・悠希はボールをなんとかキャッチし、健斗に投げ返した。

 健斗は返ってきたボールを取り落とす。彼は内心、キャッチボールの下手さに落ち込みながらボールを拾いに行った。



 上が一人称、下が三人称として修正した文章になります。 

 途中で人称(視点)が変わらないように気を付けて執筆しましょう。



②二重表現や、文末の重複を避ける


 二重表現は読みやすい文章というより、もっと基礎的なことかもしれません。

 頭痛が痛い、や、馬から落馬するなどなど。避けましょう。


 文末の重複ですが、これは、~だ。や、~だった。など、文章の終わりの言葉が同じにならないように気を付けようということです。


 ~した。~と思った。~である。~する。

 文末の書き方は色々あります。同じ表現が続いてるな、と推敲の時に気付いたら、別の表現に変えてみましょう。きっと読みやすい文章になるはずです。



③てにをはを正しく使おう


 て、に、を、は、で、が、も、などなど。色々と存在する助詞の使い方です。

 格助詞である、は、が、も、の三つは特に使い分けが難しいです。


 大体の人ができていることですが、できていない人にとっては一番難しいです。

 なにせ、そういう習慣がないからです。私もたまに失敗します……。

 例の如く、例文です。



・彼は泣いた。

「は」の前が原因、後ろが結果です。これは事実のみを描写しています。


・彼が泣いた。

 すぐ目の前で起きていることを示しています。事実を描写しているのは同じですが、「は」と比べ、余韻を持たせる効果もあります。


・彼も泣いた。

 一緒に登場する人物と同じ結果を表し、描写しています。



 これらのことに気を配って、読みやすい文章を追及していきましょう!



 今回の節まとめです。


・人称(視点)を定めて書く

・二重表現や、文末の重複を避ける

・てにをは、等の助詞を正しく使う


 以上になります!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る