根暗ボッチ、現代モンスター召喚士と化す

アル

第1話 召喚したんだがゴブリンってゴブゴブ言うの?

高校生というのは、僕の中では大きな分岐点だろうと思っている。


冴えない僕みたいな子が高校デビューで金髪にしたり、耳にピアスを付けたりするくらいには大きな変化がある。


とはいえ、僕はそんなことはない。輝いている彼らを見ながら、一ヶ月後には僕もそうなっていると妄想し、なんの変化もないまま一ヶ月がすぎるという無駄に無駄を重ねる日々を過ごしている。そして現在、中間も終わった頃ゴロゴロと誰とも遊ぶということもなく、ただパソコンでネットサーフィンをしている始末。情けないという言葉が頭の中で思い浮かぶ。


なにか変化があるだろうと、アルバイトを始めたものの、あの楽しそうな空気にはついて行けず、結局ハブられてしまっている。挙げ句には遊ぼうと呼ばれてもグチャグチャに弄り回され、帰る頃にはビロンビロン、トドメとばかりに知り合ったいかにもギャルっぽい子と連絡先を交換したものの、誘われた時にDQNと一緒に金を奪われた。


舐められているのを心の中で感じるものの、拒んでもボコボコ。その上、バイトの先輩にも煽られる。本気で辞めたい。しかし、目の前のパソコンを買ってしまって金欠なのも事実、辞めるのを先延ばしにしてしまう。


その肝心なパソコンはゲームをしたり、なにか活動をして小金を稼ぐわけでもない。情けない男だなと自虐をしつつ、その場しのぎで掲示版に書き込みをする。これが今の僕だ。


「チッ、死ね死ね死ね 」


掲示版でも煽り散らかせられ、イライラが募り、気分転換のために別のスレを開く。


僕たちの光、オカルトのスレだ。不思議体験等を書き込まれている。僕も一応その住人だ。ここに入れば僕は癒やされる。最近は怖いスレが動画で出てきて、それを聞きながら寝るのが日課だ。その時が生きていると実感する。


ふと、その中の書き込みを見れば極楽浄土。人を小馬鹿にする塵芥とは次元が違う。偶にスレに変な動物が乱入してくるがいるが、そんな奴らはフルボッコにして、別の動物園スレに返す。そんな奴誰も居ない部屋で膝を抱えて震えて寝てれば良い。二度と日の目を浴びて出てくるな。


閑話休題?、それはさておきという意味だった気がする。僕は、そんな書き込みの一つであるオカルト話を読んだ。巷で噂の怪物召喚というもののことだ。血を垂らした五芒星を書いた紙を用意し、とある呪文を言いながら焼くと、その紙が怪物に変化するという噂だ。噂によると、その怪物に殺されるとか、不幸が立て続けに起こるなど諸説あり、結局真実は謎のままだ。そんなスレに僕は興味を持った。好奇心は猫を殺すとはいうが、そんなの知ったことではない。


「……召喚か、……別に僕が殺されても社会的にはノーダメージだしな。痛くも痒くもないんだよな。」


そのスレをそっと閉じ、今までの自分を振り返る。趣味も何もない、アルバイトをして、高校に行って、勉強するだけ。そんな人生だった。


なら僕がどうなっても良いじゃないか。そんなナイーブなメンタルが僕の儀式を後押しした。


それからの僕の行動はあまりにも早かった。その行動時間は30分。お買い物はフルマラソンだ。多分帰りは、僕の汗で家が特定できるだろう。陰キャには辛いよ。


ただ、一番つらかったのは血を垂らすことだこの小説を読んでるクソガキッズの君たちはどうせ「やーいザコザコ」と僕を煽るだろう。黙れ。お前らはここに書き込めないからお前の負け、残念でした。


ここの葛藤で10分僕は粘り、やっと血を出した。誤ってドバッと出してしまい、半泣きになったが気にしない。


血でベトベトの五芒星が書かれた紙を自作の呪文、「異世界に行ったら」を僕が熱唱しつつ、カッコつけて買ったものの、使い道が分からなかったので置物と化していたジッポライター(7000円)で燃やす。


(やべ、メッチャ怖い)


今更になってビビる僕、情けない。悪霊退散用に買った塩を片手に燃えるところを確認する。


目の前の紙は、灰皿の上でパチパチと音がなり、次第に音が大きくなり、更には火も大きくなり、次第に形を形成していく。その形は人形のような、しかし子供のような大きさのものだった。ビビりながらそれを観察し、台所から包丁を2個もってくる。二刀流引きこもり高校生の誕生だ。


戻ってくる頃にはその火は収まりつつあった。見える人形の何かはどこかで見覚えがある。ヒントは肌は緑。ハイ、時間切れ。正解はゴブリン。そんなことも分からないの?


そのゴブリンが目の前にいることによりロマンよりもショックが勝ってしまいフリーズ。しかし、流石はゴブリン、フリーズしている僕に容赦なく殴りかかる。僕はビビってゴブリンの顔にぶん投げる。目に塩が入り悶絶するゴブリン。容赦なく踏みつける僕、トドメに顔面に蹴りを食らわしフィニッシュ。ゴブリンは無事、白い光となり消えていった。


初戦は僕の冷静な判断で圧勝で幕を閉じた。これで一つ学んだことがある。目潰しはゴブリンにも効くと言うこと。


そして、追加にもう一つ、たしかにゴブリンは光になり消えてった。けど残していったものがある。それは、そのゴブリンのカード。倒したことにより、得られた僕の新たな戦力。


ーーーーーー

ゴブリン


戦闘能力

5


SKILL

棍棒術 1

ーーーーーー


これを燃やすことにより、ゴブリンは現れ、命令に従うようになる。最初は驚いたものの、それは次第に普通と化していき、挙句の果てにはそのゴブリンと一緒に掲示版を見るようになった。そこから僕は趣味の欄が、召喚という変な物になった。


そして現在そのゴブリンは今、僕のパソコンを経由して、掲示版に書き込みをしている。もう彼は立派な住民だ。もう教えるものはもう無いだろう。

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