僕の彼女はヒューメリアン。

猫野 尻尾

第1話:宇宙人と地球人のハーフ。

今より少し前・・・時は1970年代。

UFOの存在や宇宙人の存在が専門家の間で論争になっていたそんな時代。


実は宇宙人は密かに地球にやってきていて人間に混じって生活していた。

もし宇宙人だとバレたら有効的に接してくれるか迫害を受けるか・・・。

どちらにしても少数派の宇宙人にとっては肩身の狭い思いを強いられるのは

分かっていたから正体は現さないのだ。


たとえばだけど・・・もし自分の奥さんが宇宙人だったらどうします?

ありえなくもないでしょ?

興味ある人はレアだって受け入れるかもしれないし?ありえないって人は離婚する

かもしれない?

それは人それぞれ。


この物語りの主人公「山田 尚太郎やまだ なおたろうくん」も宇宙人なんているわけないじゃ

ないか派だった。

尚太郎は某商社に勤める25歳の地球人。

性格はいたって温厚でマイペースでお人よしでのんびり屋。


尚太郎は行きつけのカフェ・フェアリーテールに想いを寄せてる女の子がいた。


その子の名前は「ペッパー・ミル・スパイス」って言う。


ペッパーはフェアリーテールのウェイトレスさんをしている。

つまりフェアリーテールはペッパーの実家で彼女は看板娘なのだ。


茶髪のショートボブに笑顔がとても可愛い。

たぶん歳の頃なら尚太郎より少し年下か。

身長は尚太郎が173センチだから彼に比べて彼女は少し低いくらい。

キスをする時はちょうどいいかもしれない。


名前が洋風だから外人かと思いがちだけど顔立ちは外人風じゃない。

だから彼女はもしかしたらハーフかもしれないって尚太郎は思った。


で、尚太郎は彼女に確かめてみたところやっぱりハーフだって言う。

たしかにチャーミングでエキゾチックな顔立ちをしている。


その時の尚太郎は彼女が宇宙人と地球人のハーフだとは知らなかった。

つまりペッパーはヒューメリアンと言う宇宙人と地球人との交配種なのだ。


そして尚太郎はペッパー目当てにフェアリーテールに足繁く通い

お店にお金を落としペッパーと親しくなるうちに、とうとう彼女に自分の

想いを告白した。


「ペッパーさん、よかったら僕と付き合ってくれませんか?」って・・・。


ペッパーから帰ってきた答えはNOだった・・・尚太郎はショックだった。

で、断った理由をペッパーに聞いてみた・・・そしたら・・・


「地球人の男性とはお付き合いするつもりはありません」


って言われた。


尚太郎は意味が分からなかった。

地球人の男性って?・・・なに?

え?地球以外に・・・他に男性なんているのか?


「ちょっと言ってる意味が分かんないんですけど・・・」

「僕のことが嫌いですか?」


「嫌いじゃないです・・・私も尚太郎さんのことが好きです」


「じゃ〜なんでダメなんですか?・・・」


「そうですけど・・・地球人と・・・あん、もういいです」

「分かりました・・・私でよかったらよろしくお願いします」


ペッパーは尚太郎に好意を抱いていたためちょっと魔がさしたみたいだ。


本当は地球人の男と恋愛関係になんかなったら、なにかと揉め事の元に

なるって思っていたし、自分はヒューメリアンだってことは絶対尚太郎には

バレちゃいけないって思った。


もしバレたら絶対引かれるって思うし、嫌われることは目に見えていた。

本当の自分の姿を尚太郎が知ったらと思うとそれがペッパーは怖かった。


と言うのも今のペッパーの姿は本来の彼女の姿じゃなく人間の女性に

なりすましているからだ。

ヒューメリアンの特徴は自分の姿を自由に変えられること。

そうやって地球人に溶け込んでいる。


ペッパーが尚太郎と付き合いたいと思ったのは恋する乙女心からだろう。

ヒューメリアンだって人を好きになるし、恋もする。

地球人を好きになったって、ちっともおかしくない。

一生恋愛も経験しないで年老いて行く必要などないのだ。


ふたりは初デートで意気投合し、そのままの流れで順調よく付き合い始めた。

揉めることもなく喧嘩することもなくそして別れることもなく、ふたりは

円満に順風満帆な日々を送っていった。


そして尚太郎は、意を決してペッパーにプロポーズし、ふたりは海の見える

チャペルでめでたくゴールインした。

もちろん式の参列者の中には尚太郎の両親もペッパーのご両親もいた。


まさにハッピーを絵に描いたような素敵な結婚式だった。

尚太郎はこの日が自分の人生最大最高の日だと思った。


とぅ〜び〜こんて乳。


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