第18話

(フォルティス)

A● 2○ 3○ 4● 5○ 6● 7○ 8○ 9○ 10◯ X○ J○ Q○ K○


(グレンツェン)

A● 2○ 3○ 4○ 5○ 6● 7○ 8○ 9○ 10◯ X○ J● Q○ K○


 暗澹たる思いで陣地に戻ろうとするコーセイに、グレンツェン側から声が掛かる。

「俺は鬼吉組の鬼柳だ。お互いに飛び道具を失っちまったんだ。ここからは足を止めてのインファイト、血で血を洗うガチンコといこうじゃねえか! お前らに【3人賭け】を受ける根性があるならな!」

 コーセイはその鬼柳の提案を持ち帰った。


「【3人賭け】やと? 何や知らんが受けたるわい!」

「ちょっと勝手に決めないでくれる? ルールも把握してないのに。無謀だわ!」

 クリハラは鬼柳との直接対決に気が逸っているが、アイコは慎重派のようだ。

「確かに不安もあるが、オレは受けてもいいと思ってる」

 コーセイの言葉にアイコが目を丸くする。

「えっ? あなたまでそんな……」

「虎穴に入らずんば何とやらという奴だ。それに顔をつきあわせての腹の探り合いならカジミヤの能力・・が役に立つはずだ」

「勝算はあるということね……分かったわ」

 サッカー『チーム』のコーチ、カジミヤは3年前に事故で聴覚に障害を負って現役を退いた。しかしそれを補うように読唇術を身につけたのだという。

 カジミヤはグレンツェン側の事情もその目で聞いていた・・・・・。そしてサッカー選手としての経験が合わされば相手の考えや数字を予測することができる。


 全員が陣地を出て断崖に横一列に並ぶ。反対側には同じようにグレンツェンの面々。

「鬼柳、会いたかったでぇ~。ホンマに殺したいくらいに」

 鬼柳を見るクリハラが『人食い虎』のあだ名に相応しい顔になる。

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