第18話 四期生について話し合う先輩の配信視聴③


狸央:「聞きたいことといえば、こころちゃんはここ。Re:liveで何をしたい?」


 実に困る質問だ。ボクは明確な理由があってRe:liveに来た訳ではない。今のボクの始まりは明子さんに連れられて、入江さんに頼まれた。


【色彩こころ】:ぼくはめいかくなりゆうがあってきたわけではないです


 こころの名前には、ボクの感情で彩って欲しいという想いが込められた。


【色彩こころ】:でもだれかがぼくをもとめるなら


 いろんな人がボクを認めてくれるのならば。


【色彩こころ】:ぼくはそれにぜんりょくでこたえたいです


 それが今のボクの生きる意味だ。


:おぉぉぉぉ!

:その覚悟がワイに響いたぜぇ!

:ひらがな表記なのは触れるべきか?

:コメント打つのお疲れ様


 コメントにはボクのコメントに盛り上がるものではなくと冷静に見ている者がいた。

 実際の所、一つのコメントを打つのに一分程かかっている。それでかつ漢字を使っていない。そこはパソコン初心者であるから御愛嬌といったところ。


狸央:「ふむふむ……なるほどねぇ……七十点!」


りん:「七十点?」


 七十点。謎の七十点。何が七十点。思わず混乱する。


狸央:「そう。七十点。記憶喪失の割にはいい答えをしたと思うよ。」


 ここで理解した。先程の何がしたいという質問に対する採点だということに。


狸央:「私はこころちゃんに期待するよ。これからの君の答えがより良いものに変わっていくことに」


りん:「流石狸央ちゃん!」


:なるほどなぁ……

:これからを見ていくのは俺達だ

:まるで子供の成長を見てるみたいだな

:こころちゃんが俺達を望むなら俺達もこころちゃんを望むから


 先輩達のおかげでVtuberとしてのあり方を知れた気がする。優しいコメントも数多く、これからを応援してくれる。ボクは早くもRe:live事務所へ行く日曜日がワクワクしてきた。


狸央:「そんな訳で、今回参加の四期生の四人はこんなものかな。こころちゃんも含めた今後の動きが気になるかな」


りん:「ひと月ほど一人で配信してもらって、その後四期生全員でのコラボ配信があるらしいよ。そこはわたし達二期生や三期生と同じみたい」


狸央:「それに加えて、事務所側で他期生とのコラボをランダムで決まったぞ!」


:来月に四期生コラボだと

:見に行かないとな

:加えて?

:他期生キタァァァァ!

:誰だ?誰だ?

:ランダム決めだから場合によってはとんでもない化学変化がおこりそうだな


 先輩達の告知? で盛り上がるコメント欄。一ヶ月後のコラボ配信とやらに向けて、やることができるかも知れない。それよりもボクとのコラボする相手をしっかり聞こう……。


りん:「まず、澄風トウカちゃんのコラボ相手は、一期生の常夏翠華先輩! 永遠の暴走機関車をトウカちゃんは止められるのかな?」


 暴走機関車……。機関車って人じゃないよね。


狸央:「続けて寝琴ねむのコラボ先は二期生の恋妻狐々だ。狐々のやつはツンのくせに甘やかすの好きだから少し心配といえば心配なところではある」


 ねむさんの紹介と狐々先輩の紹介で分かる。ねむさんをずっと眠らせそう。


りん:「楽堂ミライちゃんは三期生の葉隠七夕ちゃん! ミライのマシンガントークに七夕ちゃんは耐えられるかな。ちょっと不安だぞ!」


 三期生ということは先輩か。七夕先輩の情報がないけど話すことが苦手とか?


狸央:「最後にこころちゃんだな。待たせたね。コラボ相手は……、天春寧々だぞ。一期生という大先輩だ。胸借りてきなさいな」


 天春寧々先輩……。それが一ヶ月後のコラボ相手。一期生ともなるともっと先の未来のことなのに緊張感がある。


:暴走機関車の名は伊達じゃない

:止められる?そんなことは不可能だ

:あれはもう常時領域を展開してるから

:ねむちゃんと狐々ちゃんの百合が見れるぜ!

:濃厚な百合の匂いがする……

:ミライちゃんは……。先輩とかに圧力で潰れされ……なさそうだな

:むしろ七夕ちゃんの方が潰れる

:Re:liveの原点とコラボするのか……

:何処も楽しみだな

:四窓するかぁ……


狸央:「それじゃあここらへんで今日の配信は終わりかな」


りん:「こころちゃんも見に来てくれたワンコロや里民のみんなもありがとうね!」


狸央・りん:「「ご視聴ありがとうございました!」」

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