私の中の私達

将軍観察

第1話−会議

 招集のサイレンがなった。これが鳴ったということは行かねばなるまい、会議部屋へ。

 会議室へは続々たくさんの小人が入ってきていた。「ある人」そう私たちの体の主の本当の姿を映し出す「シン」、その裏を成す「ウラ」、恋をさせる「コイ」、怒りを作り出す「アンガー」幸せを作り出す「コウ」などまあ色々だ。その中でも私、「ジュコウ」が語らせてもらう。読者諸君、刮目してみよ!

 私の名前は「ジュコウ」。主に思考を担う。思考と言ってもどっちの食材の方が安いかーや怪我をしないためにはこうした方がいいなーなどといった簡単な思考が私の仕事ではない。私は主に哲学や倫理的なことを考えることに長けている。従って私のような小人は万人の心の中に存在するとは断言できない。私が思うにこういう哲学や倫理的な事を考えること人の中だけに私のような小人が住んでいると思う。さて、小話はその程度にしておいて周りの状況を語らねばならないな。

 「さあ、皆さんお静かに!会議を始めますよ!こら、アンガー何でもかんでも周りに当たり散らかさない!」シンは大変そう。

「おい、そんなにしずめなくてもいいんじゃないか?賑やかだと話し合いがしやすい」ウラは今日もシンの真逆を行く。やはり姉弟なだけある。

「えー、今日話し合う内容は私たちの主人が嫌いな人にあった時、どういう対処をするかについてです!どのような感情変化をさせ、その後にどのように気持ちを落ち着かせ、ストレスを感じさせないようにするのか、そのようなことを皆さんに話し合ってもらいたい!」皆乗り気なのか乗り気ではないのかわからん程な面持ちである。

「えー、ではまず私の意見から述べさせてもらいます。」

 ここの会議室はとても広い。簡単に500人程度の小人なら入れてしまうほどである。内装は人間界で言う国会のような感じでその外に出ればたくさんの道に枝分かれしておりそれぞれの娯楽スペースや住居などがある。まあ人間界のものと同じと思ってよろしい。然るにして私も様々なやつと接する。例えばアンガー。奴とはできるだけあまり関わりたくはない。なにせ私が公務中だというのに邪魔をするくらいである。なぜこのような所業にでるのか、私にはさっぱり分からない。またコイ。こいつはなかなか面白いやつだと私は思ってる。いつでも外へ出逢いを求め公務に真剣、かつこいつとは話が合う。人間のする恋とはこういうものだーとか愛の定義と言うのはこういうものだーとかだ。さてこんなことを話しているうちにシンの意見が終わってしまった。内容を要約すると、その場は好意的にみせ、別れを言ったあとはなるべく思い出させないように努めるという感じだ。うーん、いたって平々凡々。

 「えー、次はアンガーさん、お願いします。」次はアンガーか、ちゃんと聞くのだな。まあ反対意見も取り入れていたほうが主人の為か。

「おい、俺は?」アンガーが話しだそうとしたときその中へ割って入ってきたのはウラ。少し不服そうである。

「おい、今は俺が話しだそうとしたところだ!勝手に割って入ってくんな!陰気野郎!」陰気野郎は言いすぎである。

「あぁ⁉陰気野郎だと?まあいい、後でてめぇをぶっとばす」あぁ、怖い怖いウラもウラだ。アンガーはああいう性格なのだから仕方ないと無視してれば良いものを。

「なあ、姉貴、なんで俺を飛ばした?」

「飛ばしたんじゃない、あとで聞こうと思っていたの順番があるでしょ、順番が。会議ってそういうものよ。」二人に何かあったのだろうか。なにか喧嘩を始めそうである。やめてくれ、会議中に喧嘩は。通常、毎会議の時にはシンが会議を進め、シンが決めた順番で会議が行われていく、だが大体はシンが述べた後にはウラが述べるというのが暗黙のルールで決まっていた。それを今回シンは打ち壊したということになっているのだろうか。ウラはシンの言葉を聞くとこれまたもっと不服そうに自席へと戻った。私は安心をした。

「では、いいか?俺の意見だ」そう言って、アンガーは意見を述べ始めた。

 アンガーの意見は大方こうだ。その嫌いな人と会っているときはいかにも嫌だと行った態度を見せ、相手にも明らかに嫌われているなといった意思表示をする。っといったものだった。うーん、いかにも乱暴。その次にもコイ、ウラ、コウなど沢山の人が意見を述べ、結局は表面上では嫌っていないかのように見せ、後で自分をいたわるように、好きな事をしたり遊んだりするっといった意見に収まった。

 これにて会議終了。

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