第16話 いやだぁぁぁ!!
「将軍、御呼びとお聴きしましたが、如何様でしょうか?」
いつも思うけど、従者が毎回こういう態度ならいつも楽なのになぁ。
「うむ。従者並びに軍師、二人には魔法少女イサドラを見張ってほしいのだ。」
「ほう!」
急にどうしたんだろうか将軍は、何か考えがあるのだろうか?
……それと従者、目に見えて嬉しそうにするなよ。
私は肘で従者を小突くが気にも留めないようだ。
「意図を御訊きしても?」
「それはそうですね。将軍何故でしょうか?」
私と従者が将軍を見上げる。
「軍師は知ってると思うけどニューワールドのアメリカ支部っていっぱいあるだろ?」
あぁ、あの地獄のやつね。皆英語だから発音が良すぎて、なんも聞き取れなかったあれなぁ。
概要はスライドの絵とか画像で知ってるから何となくだけど、それは将軍も一緒だが。
「…そうですね。やはり面積が違いますからね。」
「あぁ、先日その内の一つがアメリカの魔法少女によって文字通り消されたようだ。」
「…………はい?」
ケサレタ?……ケサ……レタ?
「なんと!?それは耳寄りの!」
「従者、話は終わってないよ?」
「!?失礼しました。」
怖!流石元ヤン。睨みが効いてるね。
私も今ので思考回路が正常に戻ったようだ。
「軍師、話は噛み砕けたかな?」
「は……何とか。」
前の山の時に魔法少女イサドラの記事は見たけどそんなにヤバい人だったのかぁ。そうとは思わなかったなぁ。……ってそれは違うわ!
私は頭を縦に振り、将軍の言葉を待つ。
「その戦闘において一番活躍したのが魔法少女イサドラだ。彼女はかなり戦闘面に秀でていて、勘も鋭いようだ。」
「どうしてそれを?」
「いやぁ、いつもはニューワールドの英語資料とかはVに任せてるけど必要なのは翻訳して見せてって言ってるんだよね。そしたらこの情報が来たってわけ。」
成る程。
「しかし、見張るとは?どのように?」
私が将軍に問い質すと従者が突然立ち上がった。
「フッフッフ、もしや、そこで私の出番というわけですね?」
従者?……あぁ、確かこいつの会社って………
「そう!」
「「「ボディーガード!!!」」」
いやだぁぁぁ!!
「イサドラ様、一つよろしいでしょうか?」
「何ですか?」
「何故、わが社に依頼を?」
「もちろん。なんでも業界では随一の信頼を誇るそうではないですか。日本の重役の方を何人も警護したとか。それらの功績を鑑みて依頼をしたまでです。」
「そうですか。」
すげぇ、魔法少女の機能らしいが言葉が翻訳されている!Dが調べたいとか呟いていたけど、ムリムリ。
我々ニューワールド日本支部幹部の力の源は、常時ブレスレットに封印しており、スイッチを押すと戦闘モードになれるのだが、魔法少女の変身や翻訳機能はネックレスのため、無理に奪おうとしたらなら即座にセクハラで御用となる。
現在、魔法少女イサドラがソファに座り、その対面に従者が座り、更にその後ろにピシッとしたスーツを着た私と戦闘員Bが立つ。Bは腕も立つし丁度良いのと、従者の部下はなんか……その……死んだ目をしていたため負担はなるべくかけない方が良いと感じたからだ。
「それでは、こちらからはこの、小田と赤木を護衛に付けたいと思います。」
小田は私だ。小田太郎、語呂が良いだろ?
因みに赤木は戦闘員Bだ。
「………その二人は信用かつ万全に警護が出来るのですか?」
魔法少女イサドラの鋭い発言が私を貫く。
「私はそう思っております。」
すかさず従者がフォローをする。こいつ…本当に従者か!?替え玉じゃねぇよな?
「…………私がいたところでは、毎日敵との戦いばかり。死人もたくさん出ました。あなた方なら私を煩わせること無く護衛が出来ると?」
ひえ!?将軍に勝るとも劣らない威圧感!怖すぎて逆に動けない…………
「もちろんです!俺は身体を張ってでもあなたを守ると誓いましょう!」
えぇ!?おま……すげぇな!?
「…私は、正直自信がありません。………ですが、自分の仕事に責任は持つつもりです!」
ふぅふぅふぅふぅ……心臓がぁ、心臓がぁ!
数秒間の沈黙の後、空気が柔らかく揺れる。
「……………ふふ。
良いでしょう。試すようなまねをしてすみませんでした。こちらではそれほどニューワールドの被害はないと聞いていますが、万が一は考えなくてはいけませんからね。あなた達に覚悟があるか聞きたかっただけです。」
先程までの鋭い視線は何処へやら、優しげに微笑みながら魔法少女イサドラは出されていた紅茶を飲み干した。
「フゥ、それは何よりです。一先ずは赤木を付けておきます。小田は明日からでよろしいですか?」
まぁ、作戦は練るべきだな。今回の会話で何となく上辺は分かったから、これでどう動くか従者と話し合うことが出来る。
「二人とも明日からで構いませんが?」
「いえ…こちらにも体裁や諸々のためにも一人は後ろにいてもらわないと困るのです。」
B……いや赤木って言った方が良いかな。赤木は優秀だが、作戦とか決まったことには意識が向きすぎて顔に出てしまったり、身体がよく震えるため伝えない方が良い。
「……なるほど。承知しました。
それでは、アカギさん行きましょう。」
「はい!俺は赤木で構いません!」
「分かりました、アカギ。」
そう言うと、魔法少女イサドラと赤木は部屋から出ていった。
「あぁぁぁぁ!!!」
私は力が抜け、その場で座り込む。
「ハッハッハ!軍師も怖かったか!」
「当たり前じゃ!」
クソォ!
やーい、お前も怖がってたな!って弄ろうと思ったのに!先手を打たれた!
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