第8話 そんなのありかよ!?

「ちょっ、何言ってるの!」

 そうだ!騎士!何言ってんだ!

 ナズサさん、もっと言え!

「私は戦えないから三対一よ!」

 どーでも良いわ!

「そうか?……まぁいいか。」

 納得すんな!アホ!



「呑気に話してないでさ、従者!あんたは乱入しないよな!?」

「何を言っているのかね、ハナコよ。ここで観戦も悪くないだろうからねぇ。」

 あ!?何言ってんだ?この野郎。

「そう、なら良いわ。」

『良くねぇーわ!おい、従者!はなsブチッ!』

 あのクソジジイ、無線機破壊しやがったなぁ!?

 ………ハァー見るのやめやめ!

  あ、NE何かあったら呼んでぇ。

  はい!





ー騎士ダイゴー


「ナノハ、フウカ準備は良い?」

「いける、叔母さんのためにも。」

「いつでもオッケーだよ!お母さん!

 ……叔母さんのため?」

「気にしないで!フウカちゃん!」

「?…はぁい!」


「待っててくれてありがとう。やろうか、本気で。」

 俺は肺に貯めていた空気を全て吐き出す。

「俺も今終わったところだ。やるか、本気で。」

 ハナコは槍、魔法少女ナノハが棍棒、魔法少女フウカも槍か、俺は重量のある大剣だから、厳しいかもだが……これくらい、騎士たるもの跳ね返さないとな。





 ハナコと魔法少女フウカがこちらに向かって来る。

 親子同士本当にそっくりな戦い方だ。

「ふん!」

「「さすが騎士(幹部)だ!」」

「本当にそっくりだな!」

 俺は剣で受け止めた後、押し込むように力を込める。

 やはり、力ではハナコより俺のが上か、少し自信がついたな。

 更に力を込めようとすると、見計らったように突然力を抜かれたことで、俺は少し前によろめく。

 ハナコと魔法少女フウカは俺の肩を掴みながら身体を浮かし、そのまま俺の肩を蹴り飛ばす。そして、蹴った反動で後ろに退くと、魔法少女ナノハが棍棒で光の球体を打ってきたのが見えた。

「せい。」

 うまいな、二人分の身体でもう一人の行動をバレないように隠してやがったか。


 こんくらいなら……

「せぇぇりゃぁぁ!!」

 俺の下からの切り上げで光の球体を切り裂く事が出来た。

 ぶっつけだったが、上手く…

「ぐ!?」

 蹴られたか、速いな……まさか光の球体までもが囮だとは。魔法少女ナノハ、表情の揺らぎは無いが相当強いな。だが、

「二回もくらうかよ!」

 魔法少女ナノハは棍棒で自分を支えながら蹴り技を繰り出す戦法のようだ。

 剣で魔法少女ナノハの蹴りを受け止めると、魔法少女ナノハは梯子乗りのように棍棒に乗り、器用に足を突き出してくる。

「こっちを忘れてもらっちゃ!」

「困るよ!」

「チッ!」

 ハナコと魔法少女フウカが左右から追撃を加えてくる。しばらくいなすも埒が明かないため、タイミングを見計らって、魔法少女フウカの腹に剣の柄をぶつける。

「あぐ!?」

 よし、一人飛ばせた!

 その瞬間殺気を感じ、剣で自分を守るように身構えた。

「ダイゴてめぇ!ぶちのめすよ!」

 …………やっべ。

 鬼の形相というか、もう鬼じゃん。

「バトってんだから!しゃーねぇだろ!」

 俺は怒りで足元がお留守になったハナコを足で躓かせ、魔法少女フウカと同じ方向に剣で吹き飛ばす。これでしばらくは来ないだろう。

「さぁ、タイマンだ!」

「……そっか。」

 魔法少女ナノハがそう言うと、棍棒を車輪のように回し、自分を軸にしながら転がってきた。

「そんなのありかよ!?」

「…以外とアリ。」

「質問じゃ、ねぇよ!」

 俺は魔法少女ナノハの棍棒を剣を上に構えることで受け止める。

「あ……」

 魔法少女ナノハはそう言うと、地面に尻餅をついた。

「今なら!」

「ナノハ!」

 う、菜梓……

「えい。」

「がっ!」

 あぁ!!菜梓の声で気が散った!

 これじゃ、タロウに怒られちまうな!




「鏡像」

 俺は手から鏡を出現させ、剣を鏡に差し込んだ。

 そして、反対側から出てきた"剣を二本"掴む。


「久し振りに見たけど、他には力使わないの?」

「この戦いはなるべく自分の力で終わらせたい。」

「何言ってるのよ、将軍の力で強くなってるくせに。」

「お前だって、まだ将軍の力が使えるんだ?優しい元上司で良かったな?」

「「フゥー」」


 お互い言いたい事を言い終わると、無言でぶつかり合う。

「おら!」

ハナコは槍だからこそ、左の剣で受け止めればもう片方で追撃が出来る。

「チッ!馬鹿力め!」

 ハナコは舌打ちをしながらも身体をくねらせると、魔法少女フウカが槍を差し込んできた。

「もう、復帰か!」

「痛いけど、これくらいはね!」

 魔法少女フウカの槍を受けないように、右の剣を持つ手首を捻らせて、剣をスピンさせながら引き抜く。

「フッ!」

「う!?」

 後ろに気配を感じ、引き抜いた剣を背後に回すと魔法少女ナノハに直撃した。

「ナノハちゃ…あが!?」

 魔法少女ナノハに気を取られたことで魔法少女フウカに隙が出来た。その隙をついて顔面を殴って地面に身体ごと叩きつける。

「ふん!」

 流石に二回目じゃ、ハナコに隙は出来ないか。

 俺はハナコが突き出す槍を剣の腹で受け流しながら後退する。

「逃げてばっかりか!?」

「怒るな、よ!」

 俺は後退したことで、近くになった太い木の幹に足をつけ、顔の前で剣をクロスさせながら瞬発力を生かして木の幹を蹴り、ハナコに向かって突撃する。

「な!?」

「無駄だぁ!」

 ハナコは槍で防御するが、俺の勢いを抑えきれず、体勢を崩した。

「あばよ!」

 俺が止めを刺そうとしたその時………

「……やっぱ……四人…じゃ、ねえか……」

 背後からの衝撃で俺は倒れた。

 スマン、タロウ。負けちまった…………






ー軍師タロウー


「報告します!騎士様が敗北されました!」

「……うん、報告ありがとう。」

「それでは、失礼します!」

 うん、知ってた。

 この書類整理も飽きてきたし、モニタールームにもう一回行くかぁ。従者の動向も見とかないと。




「やぁAQ、どう?」

「あ……こちらに…どうぞ。」

 いつもよりも元気が無いな。どうしたんだろう?

 というか、何でソファに座らされたんだ?

「今回の騎士様の一件、私の責任です!」

「え!?どうしたの?」

 何で急に土下座したん?


「私の責任ですぅ!!!」

「と、とりあえず頭を上げて?

 えーと、CM!どうしたんだ?」

 私はモニタールームでAQの次に偉いCMを呼ぶ。

「あー色々あったじゃないっすか?さっきまで。

 でまぁ、更に色々あって騎士様が有利だったんですけど、背後からの伏兵にやられて騎士様は負けちまったんす。」

 CMは肩を竦めながら特徴的な語尾をつけて喋る。

「背後から?まさか!更に魔法少女が増えたのか!?それって違反じゃ!?」

「あ、いや違うんす。」

「は?」

 ?????

「だって、あの時ダイゴが言っていたのは、魔法少女フウカ、魔法少女ナノハ、ハナコ、ナズサだろ?」

「あ……えっと、我々もそう思っていたんす。」

「思って、いた?」

「はい。思い出して欲しいんすけど……

 「敵は魔法少女カナそして、元幹部ハナコ!

 それと…魔法少女ナノハ!」

 ってあの時…」

「魔法少女カナ?」

「そう!それっす!魔法少女カナが潜伏していたんす。」

「やっぱ、違反……いや違うって言ってたから……もしかして!最初からダイゴは気付いていて、だから四人って言ったってことか?」

「そうっす!流石軍師様!」

 ………嬉しくねぇ!

「だとしてもAQ、お前の責任じゃないから、な?」

「うぅ…えぐ、ありがどう、ございまず……」

 な、泣く程気にするとは……

「………CM、面倒見といてくれ。」

「了解っす!」

 

 ………あぁ!またあの会議じゃん!

 最悪だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………

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