第10話 卒業してからのこと

(結局、学校ネタが思いつかんかった…。)


 ―― あらすじ ――


 初めての魔法の授業は大惨事でした。


 ―――――――――


 俺達が学校に入学してから早いもので7年生となり卒業の日となった。学校では特に問題が起きることもなく…情報を仕入れようにも学生では限界があり、あまり都市の外について知ることができずにいた。

 この数年で俺達は成長し(約一名を除き)身長もそれなりに伸び、体つきもしっかりとしてきていた。


「なんで僕だけ身長が伸びないんダ…。」


 元々小柄だったパソテだが、周囲が順調に成長している中で伸び悩んでいた。一応、体つきは細身だががっしりとし、魔力量も順調に増えているので…本当に身長だけが伸びなかった形となる。


「俺はめっちゃ伸びたな!筋肉もついたぜ?」

「あんたは身長がもともと高めだったけど一気に伸びたわよね~…。」

「しかもなんかやたら筋肉モリモリになったよね…。」

「まさにデカくなったってやつだネ。」


 細身で長身だったメクリマは高身長で筋肉質なマッチョになっていた。5人の中どころかクラスで一番の変化といってもいいかもしれない。


「俺とトトキとステムは…順調にそのまま成長したって感じだな。」

「そうだね。身長は伸びて筋肉質になったけど体型はあんまり変わってないね。」

「あたしは…せめて…女性らしさが欲しかったわ…。」

「「……。」」


 ステムは…スリムな体型なまま成長した。他のクラスメイトと比べて一部の成長具合が著しくなかったようだ。

 俺とトトキに関しては筋肉質になった以外はそのまま順調に成長した感じで、前世に近い姿になったと言える。トトキが俺よりも少し背が低いところとか…。


「もう卒業なんだな~。」

「あっという間だったよね~。」

「みんなは卒業後の社会体験活動はどこにお世話になるか決まってる?」

「一応、僕たち3人は騎士団に参加しようって話になってるヨ。」

「そっか。僕とリフも騎士団に行こうかと思ってるから一緒だね?」


 卒業を間近に控えた俺達は卒業後にある社会体験学習について話していた。クラス1の生徒達は3分の1ほどが騎士団に行くらしく、もう少し多いだろうと思っていただけに少し驚いたな。


「体験活動では正式加入と違って同じ科に配属になりますからネ。」

「へぇ、そういうことならこれからもよろしくだぜ。」

「こちらこそ、だな。」


 仮加入の体験生は魔装士と共に行動し徒士や騎士の活動に同行することになっている。最初の内は訓練を共にし鍛えた後は任務に後方支援として参加の流れが一般的だ。


「それじゃあ次に会うのは騎士団の拠点になるのかしら?」

「そう…なるね。うん、次は騎士団で会おうね!」

「おう!2人…と妹ちゃんも体調には気を付けろよ!」


 卒業式を終え、3人と別れた俺達はいつもなら俺達とトトキは家の前で別れるのだが、今日は共に俺の家に来ていた。

 理由はおそらく体験活動を終えて帰ってきた姉に会うためだろう。学校の卒業式に合わせて期間が終わるようになってるからな。


「はぁ~…。リフ君と一緒に騎士団で活動したかったなぁ…。」

「ちょうど入れ違いですもんね…。でも、僕達も学園卒業後に正式に騎士団に入る予定ですし…!」

「残念だったね~?お姉ちゃん。」

「1年後にはなるけど、学園に一緒に通うし…。」


 家族が大好きな姉にとってこの体験活動の1年はなかなかに辛い期間だったようだ。騎士団に行くと寮にはいる事になり時々しか帰ってこられなくなるため、この1年は姉とあまり顔を合わせる機会が無かった。そして今度は俺達が騎士団の寮に入るため、また1年ほど会えない期間が続くこととなる。


「ん、トトちゃん久しぶりね~。」

「今、気づいたんですね…。」

「ふふっ、ごめんねぇ?それにしても相変わらずリフ君と仲良しね~。」

「ずっと一緒にいますからね…。たまにはお兄ちゃんのこと譲ってくれてもいいんですよ?」

「いつも一緒ってわけじゃ…。」

「いいからいいから。姉さんの体験活動が無事に終わったことと卒業祝いのパーティーするんだから準備手伝ってくれ。」


 1年ほど家を離れることになるから、今の内に交流しておかないとな。


 その日のパーティーは俺とトトキの家族で行われた。そこでは将来の夢とかを語らされる場面があり、俺は人生をやり直すきっかけになったことを少し思い出していた。


(邪神に乗っ取られた俺はトトキや当時の仲間達を自分の手で殺した。)


 勇者を刺し貫いた時の感触は今でも覚えている。乗っ取られていた影響か、その瞬間に何かを感じることは無かった。


(その後は…記憶がないが…女神に魂を呼び出され時間の巻き戻された世界で…世界の崩壊を防ぐべく勇者のサポートをすることになった。)


 とはいえ時間を巻き戻すのに色々と無茶をしたらしく…世界線が変わっているため…以前の記憶については、ほぼ役に立たないと思っていいだろうな。


(それでも俺はトトキを救いたい。勇者としての使命を背負う運命にある親友を。)


 まぁなんのノウハウも無かった前世と違って今回は経験がある。楽観視はできないが少し余裕を持って挑んだ方が上手くいくだろう。…次こそ…今度こそは。


 そういえば前世ではすでに勇者として覚醒していたトトキは体験活動等を完全に無視して学校卒業と同時に騎士団に正式加入していたな。同時に俺も無理を言って同行させてもらったな。もちろん、付いて行けるだけの実力があることを証明する必要はあったが…。

 今回はまだ覚醒をしていない。基礎を鍛える猶予があるのはいいことだ。姉から聞く限りでは、魔物の活動もそこまで活発じゃないようだし…まぁ大丈夫だろう。


 数日後には俺達は騎士団の拠点へと向かうことになる。今の内に家族との…親友との平和なひと時を思う存分、楽しもうと思う。

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