やられ役の雑魚

「どうしたんだ?」

「いや、それがですね。校長先生たちは何と現在進行形で小さくなって捕まっているっぽいんですよ」

「は?」「どこに?」

「…放課後まで見つからないで部活始まったら最悪死にますねこれ。金属だから滑って出てこれなさそうだし」

「早く助けに行けよ!」

「俺神だから自分に降りかかる厄とか以外あんまり対処しないんで」


俺は場所のヒントだけを教えて職員室を出る。時間だ、チャイムが鳴った。休み時間になったのだ。となると行くところは一つ。


「いたっ!」

ザワザワ…


「あ、幸春。来たんだ」

「「「「「!?!?!?!?!?」」」」」

「どうもぉ。元人間現神の正道 幸春です。今日だけで自分の名前を一体何回言ったことやら」

「「「「「!!!???????」」」」」


凛のいるクラスだ。ここに来た理由は凛に会いに来たのともう一つ。凛のすぐ横にいるあいつに会いに来たんだ。


「おい行くぞ」

「え、あいつが幸春なら会いたくないんだけど」

「拒否権あると思ってるの?」

「噓だぁ!」

「はいこっち来ようねぇ。向こうでお話ししようかぁ」


俺は凛とともに凛が連れ出してきた人物。立花たとばな 浜途はまとの手をもって廊下の端の方へと連れていく。こいつを簡単に言い表すならそう、やられ役の雑魚だ。もっと言えば下っ端中の下っ端。


「元気だったかい?」

「そりゃあまあ。うん」

「そうかいそうかい。あ、遺言とかある?」

「う~んそうだ…いや殺す気なの?」

「いやちょっと手加減ができなくてポキッて逝っちゃうかもしれないから」


自分まだまだ力加減できないからなぁ。もしかしたら、やっちゃうかもなぁ。でも、もし死んじゃっても俺が天界に連れ去ってエペかフォトナ耐久させるだけだから大丈夫だよねぇ?


「ほら、時計見てよ休み時間そろそろ終わるから!話して!」

「まだ後6分ある」

「じゃあ拷mゲフンゲフン。尋問を始めようか」

「お前が死んだ日すごいかっこいいと思ったのは間違いだった!」

「いやでも俺としてはこっちの幸春の方がいつも通りでいいと思うけどな」


やっぱりこいつらと一緒にいるのは楽しいな。というより浜途をいじめるのが楽しい。(クズ思考)


それにしても学校はいいねぇ。学校に行ってた時は「めんどくせぇ」とか「はよ夏休みこねぇかな」とか言ってたけど学校に行かなくなってやっとわかる。学校って人間性を整える機関だったんだって。

みんな明るいのに俺明るいの表情だけで心の内はすごい眠い。昨日カカムさんたちと夜の3時までゲームをしてたせいかもしれない。


「よし、ハマッカスもいじめたしそろそろ帰るかなぁ。休み時間も終わるし。ああでも浜野郎よりも会いたかった愛しの世夢ぜむに会いたかった。くそっ、凛。あいつに俺が来たこと話といて。ついでに夜中にエペやってたらこれから急に突るかもって」

「俺の優先順位低くない?」

「いやお前の優先順位は1~10の内の0だろ?」

「何言ってんの-∞だよ」

「ひどすぎるだろこいつら」

「ま、そういうことで。ああそうだまた今度一緒にスマブラしようぜ。リアル会いでやるぞ」

「いつにすんの?」

「そりゃあお前んちに突ってlimeで連絡できるようにするから」

「おkじゃあな」


俺は転移する。今更だがこの転移は代償を毎回払っているわけではない。最初の時に転移するを得たためもう何度でもどこにでも、は言い過ぎだな。知っている場所ならどこでも行ける。


「おかえりなさいませ」

「うん行ってきます」

「ずいぶんとお忙しいのですね」

「いや、ここまでは前座だよ。どちらかと言えば今からが本番。どう説明したものか」


俺はそう言い残しある場所に転移する。恐らく俺が全世界で最も見た屋外の光景。この時点でわかるだろう。自分の家の前だ。両親は共働きで姉たちも学校で今は家にだれもいない。はずなのだが親がいるかいないかが分かる車がいつもは2台なのに今日は3台もある。だがこの車は見覚えがある。祖父の車だ。


「なんだかすごくシリアスな雰囲気を家の中から感じるのだが?」


あまりにも入りづらい。これは、あれだな。入った瞬間睨みつけられたうえで殴られそうだ。


「為せば成る為さねば成らぬ何事も。だよな。…よしっ!当たって砕けろ!死ぬなら道連れろ!やってみないと何もわからん!」


俺はインターホンを鳴らして扉を開ける。母方の祖父母がいつもやっていることだ。少しは判断材料になってくれるとありがたいのだが。


「ただいま~。辛気臭い空気の中返って来たよ~」

「「「「「?」」」」」


その瞬間みんながこちらを向いてまるで軽蔑するかのように。睨むようにこちらを眺める。

怖すぎるっぴ。これ真面目に俺が俺であることの証明する前に殺されそうで怖いんですけど。

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