病院猫・ミミの日常

ソラノ ヒナ

恐怖の新入り

 ご飯まだかしら?


 今日もセンセーがみんなに愛想振りまいているのを眺めながら、毛繕いする。春が来たからだろうけど、体がかゆいわ。


「ミミおはよう! 今日から新しい看護師さん来るからなぁ〜! 意地悪するんじゃないぞ?」

「ミ゛ィー」

「この時期辛いよなぁ」


 まったくよ。

 春って好き。大好き。でもね、紫外線ってやつが嫌い。

 あたしの美声までもが台無しになるのよね。

 だから、センセーの話をちゃんと聞けていなかったのよ。

 新入りが来るなら、心構えが必要だったのに!


 ***


 ガチャっと音がすれば、イケノが入ってくる。


「おはよ〜」


 お腹空いたよー! と、大合唱が始まるのはいつものこと。あたしも参加してるし。


「あ、おはよ!」

「おはようございます!」


 ん?


 遅れてハラノが入ってきたけど、後ろにいるの誰?


「うわぁぁぁあ! 可愛いー!!」

「ミギャアーーー!!!」


 急に抱きついてくるんじゃないわよ、このバカ女!!!

 天誅!!


「いったぁ!! 引っかかれました!」

「ミミはシャイだからね〜」

「今のはダメっしょー」


 なんなの、このバカ女!

 笑ってんじゃないわよ!!


 イライラしたし落ち着きたいから毛繕い。

 それでも、あたしの怒りは収まらなかった。


 ***


「改めて、ソラノヒナって言います! 今日からお世話になります! 頑張りますのでよろしく願いします!」

「イケノです。よろしくね〜」

「ハラノです。よろしくー!」

「改めて、院長シマノです。呼び方はセンセーでいいから。じゃあソラノさん、制服はこれだから」


 うるさぁ。


 あたし達の部屋にまで声が聞こえてくるんですけど?

 動物の聴力考えなさいよね。

 バカ犬は喜んでるけど、レベルが一緒だからでしょうね。

 でも、あたしは違う。

 あのバカ女をきっちり教育してやろうじゃない! なんて、イライラしながら考えちゃった。

 あーあ、疲れそう。

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