第4話

外から見てもその豪壮さに驚いたが、邸宅の中はより一層煌びやかで想像以上に広かった。

『それにしてもでかい家だな、本当に一人暮らしかよ。』

邸宅の下調べは何度も行っていた。邸宅には70代の貴婦人が何年も前からずっと1人で暮らしているということは知っている。

『見つかる前に、貰うもの貰って、さっさとお暇しよう。』健斗は用意していた懐中電灯で足場を照らしながら邸宅の中を進んでいった。すると、物置きのような部屋を発見した。中に入ると、異国情緒溢れる高級そうな物がたくさん置かれていることが、暗がりの中でもわかった。海外旅行に行った時の土産品だろうか、そんなことを考えながら目の前の歪な形をしたマグカップのような物を手に取ってみた。芸術センスなど全く持ち合わせていない健斗でもそのマグカップが他に並べられている物と雰囲気が違うことはすぐにわかった。もう少し近くでみようと、目線の先にカップを掲げようとした。

その時、急に辺りが明るくなった。焦った健斗はマグカップを落とし、見るも無惨に粉々になった。そのまま振り返ると、そこには70代の貴婦人と鎧を見に纏った兵士のようなものが立っていた。

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