白昼夢の先で

sweet world

第1話

時刻は22時を回る頃。

街頭が一つもない、真っ暗な丘の上で2人の兄弟が夜空を見上げていた。


「なぁ、あの星の名前知ってるか?」


「どれ?」


「あれだよ、あの赤く光ってる星」


「本当だ!!あの星だけ赤い!なんて言うの?」


「ベテルギウス」

兄と思われる少年は得意げに言った。


「ベテルギウス!綺麗な星だなぁ。」

弟の方が目を輝かせながらそう呟く。


「でも、もう爆発してなくなってるかもしれないんだぜ。」


「え!そうなの!?見えてるのに?」


「今日理科で習ったんだ。光の速度とかが関係してるらしい。」

その言葉に、弟はガッカリした表情を浮かべて、

「いつか、もっと近くで見てみたかったのになぁ。」と呟いた。


「確かめに行くか、いつか、一緒に。」


「うん、約束!」


満天の星空の下、一つの約束が交わされた。

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