陰キャぼっちの俺が何故か美人生徒会長に好かれている件

高橋 チトセ

第一話 今日から高校生!




 俺、天海あまみ 翔琉かけるは高校の入学式に来ていた。


 私立華清学園しりつかせいがくえん、日本最高峰の偏差値を誇る名門校だ。


 突然だが、俺はこの高校で陽キャになるつもりだ。


 頑張ってコンタクトをいれてきたし、慣れないワックスだってつけた!


 きっと大丈夫、俺は陽キャになれる!




 ―――――――




 一年二組、ここが俺のクラスだ。


「それでは皆さん、自己紹介をしてください。」


 先生がそう言うと、皆は次々と自己紹介をしていった。


「はじめまして、佐藤啓介さとうけいすけです。よろしくお願いします。」


 クラスの男子が普通の自己紹介をし、普通の拍手が送られている。


 ふっ、馬鹿め。

 俺のおもしろい自己紹介で笑いをとって、クラスの中心的な陽キャになってやる!


「天海翔琉です。最近の悩みは、自動ドアが全然開いてくれないことです。存在感が薄いですが、仲良くしてください。」


 俺にはさっきの拍手、いや、それ以下のしょぼい拍手しか送られなかった。


 そして帰り道。


「自己紹介完っ全に失敗しちまったよ〜。友達一人も出来なかったよぉ〜。」


「まぁ元気だせって」


 今俺と話しているのは、俺の数少ない友達の月城つきしろ 隼人はやとだ。


 こいつは俺が中学のとき、友達のいない俺に声をかけてくれ、今では俺の親友になったいいやつだ。


「これじゃまた中学の時と一緒じゃん。」


「そんな急いで友達作らなくても大丈夫だって。翔琉には翔琉のいい所があるんだからさ。」


「はやとぉ〜」


 うん、マジいいやつだわ、こいつ。


「じゃあな、友達作り頑張れよ。」


「おう。またな。」


 分かれ道になり、俺と隼人はそれぞれの家の道へと進んで行く。


「はぁ〜、ホントどうしよ。」

 

 隼人は陽キャだからたくさん友達出来てそうだし、俺、大丈夫かな〜。


 俺が落ち込みながら家まで向かっていると、路地裏ろじうらの方から話し声が聞こえてきた。


「なぁいいだろ?」


「ちょっと俺たちと遊ぼうって言ってるだけじゃん。」


 うわ、ナンパじゃん。

 どうする、助けに行くか?

 いや、そもそも俺別に喧嘩が強いって訳じゃないし、変にカッコつけてボコされるのは嫌だしなぁ〜。


「あの、やめてください。」


 ナンパされている女子が震えながらそう言った。


「まさかお前、俺の誘いを断る気じゃねぇだろうな?」


「だから何回も私は嫌だって言ってるじゃないですか!」


 おや、なんだか話が危ない方向へ向かっているぞ?


「てめぇ、せっかく声を掛けてやったのに、調子乗ってんじゃねぇぞ!」


 男が女子の手を引っ張って、どこかへ連れていこうとする。


「誰か、助けて!」


 女子がそう言った瞬間、俺の体は勝手に動いていた。




































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