第23話:C級レース御影賞7000m

『晴天の空に燦々と照り続ける太陽が今日も眩しい。今日は何と六甲レース場は超超超満員御礼。賞金稼ぎの王者ミラクルチャージ選手主催の特別レースを見る為に、賭ける為に、応援する為に集まっております』




『六甲レース場が超満員になるのは嬉しい事です。私も長い間解説を務めてますが、こんな事は初めてですよ』




『それもそのはず!出場選手は皆上級クラスの選手ばかり!一瞬、ここは関ケ原かと思うような面子ばかりです!』




『どの選手もミラクルチャージ選手自ら推薦状を書いたというだけあって、有名な選手ばかりという点も見逃してはいけない事実であります。さて、オッズの方ですが何と1番人気のミラクルチャージは1.1倍。半年振りに復帰したとはいえ凄い!2番人気は今最も注目されているイーグレット。得意の大逃げで王を制する事が出来るか!?オッズは2.3倍です』




「さてと、披露専用場を見る限り、皆体調は良好ね」




披露専用場をゆっくりと飛行しているとルミナスとレイナが会話しているのが見えた




「うん。特にホープ、何だか凄く元気そう」




「ところでレイナ、貴方は誰が勝つと思う?」




「ホープ!」




「そうね。3番人気でも実力は充分。私もこのレースはホープが勝つと思うわ。てなわけでホープに単勝100万円。勝ったら360万になるんだから頑張りなさい」




あいつまた私に大金賭けてるわね……




『ここ神戸出身である4番人気レパード。近畿地方では好成績だがこの面子では少し厳しいか?そして西海道の鬼神コンビ、コスモポリタンとシブリーズ共に並んで5、6番人気。そしていつ蕾が開くのか7番人気越前の金糸雀ブロッサム!そして備前からは8番人気マルガリータ。特別レースばかり飛翔している彼女は付いていけるのか!?』




その後も実況者が14番人気まで次々と先輩が目に掛けた選手の名前を言っていく




『解説のアルタイルさん。ずばり注目の選手は?』




『私はもう引退したのでその名で呼ばないでくださいよ!……そうですね。一流の賞金稼ぎ、ミラクルチャージですかね。彼女の黄金期に放った必殺技【ドラゴンバレット】が撃てるなら充分に勝てるでしょう』




『ああ!懐かしい響きですね!あの頃のミラクルちゃんは小さい身体で、大声で叫ぶ姿が本当に可愛らしかったです!』




「おしゃべりな実況者だ……」




前を飛行する先輩は微笑んでいるが顔は真っ赤だ




そういえば先輩は昔、いわゆる中二病でインタビューの度に謎の横文字を連発してたわね




『さあ、今回のレースではドラゴンバレットと叫んでくれるのか!?期待です!』




やがて披露専用場を出て、私を含む飛行少女達はレース場へと歩いて向かう




「諸君、よくぞここまでのステージに辿り着いた事を私は誇りに思う!」




カタパルトに続く長い階段の手前で、先頭を歩いていた先輩が足を止め振り返り、私達を見る




「私がこのレースを開催した理由は推薦した君たちの成長を確かめる為であり、私を超える飛行少女を見る為に開いた!諸君!私を超えてみせてくれ!」




その言葉に私を含む全員が頷いたのであった




長い階段を上り、それぞれがスタートラインのカタパルト置き場に出ると割れんばかりの大きな歓声が上がった




客席の左上の方では先輩の名の書かれた横断幕が掲げられ、右上には【金と銀】と書かれた横断幕があった




私は今回も大外の14番なので一足先に奥の行き、カタパルトにスタンバイ




そして13番の先輩も観客に手を振りスタンバイする




ガシャンと音がし、足がレッグブースターによってロックされる




「ホープ、見せてもらうよ。君の真の実力を!」




「勝てるかどうか解からないけど、全力で行きますね!」




そして他の選手達の足もブースターにロックされていく




『さあ、各選手位置に着きました。御影賞まもなくスタートです!』




そしてレース開始の重厚なファンファーレが鳴り響く




『3!2!1!レディィィィィィ』




シグナルの赤色がゆっくり点滅し緑になった直後、私達14人の飛行少女達は一斉にカタパルトから射出され、一斉に大空に飛び立ったのであった








『ゴォォォォォォォォォォォ!』








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