第2話 贈り物

「”贈り物ギフト”?」


「はい、今回の転生はレアケースであり、こちらの不手際によるものです。ですので、補填として神の力の一部を”贈り物ギフト”としてお渡しします。」


 なるほど、そういうことか。迷惑料みたいなものか。それにしても内容は何だろう。


「”贈り物ギフト”の内容を説明するために、この世界について知ってもらわなければなりません」


 そう言われメタトロンからこの世界について説明を受けた。

 この世界はアヴァリティアと呼ばれており、マナというものがあるらしい。マナってのは地球でいうところの酸素みたいなものらしくあらゆる生物の生命活動に必要なものらしい。ちなみに酸素もあるらしくそれも必要らしい。ややこしいな。ともかくマナの文化が発展しているらしくそのマナを使った道具、魔道具などがあるらしい。本題に入ろう。


 マナと言われて真っ先に思い浮かぶものは何だろうか。そう、魔法である。空気中と体内のマナを使って魔法を使うことができるらしい。それに関しては自分で学べとのこと。それくらい教えてくれたっていいのに…。


「一通り説明したので、本題に入りましょうか。この世界の人々は体内に保有できるマナの保有限界量と努力によってあげれる限界、潜在保有限界量というのが決まっています。”贈り物ギフト”の内容は、その両方を大幅に引き上げます。潜在保有限界量に関してはほぼ無限と言っていいでしょう。」


「つまり、努力をすれば、保有限界量がほぼ無限に増えていくということか?」


 メタトロンは肯定した。なるほど、これほぼチートじゃね?だって他の人はどれだけ努力しても打ち止めされるのに、俺はそれがないんでしょ?わぉ。


「これで、説明は終わります。最後に少しだけ補足を。」


 メタトロン曰く、”贈り物ギフト”の代わりに少しだけお手伝いを頼むことがあるかもしれないとのこと。その時は今回みたいに眠ったときに天界に呼び出すらしい。


「わかった。これだけのものをもらってるんだから快く協力させてもらうよ」


「ありがとうございます。それでは。あなたの旅路に神の御加護があらんことを」


 その言葉を最後に白い世界は崩壊し意識が途切れた


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 目が覚めると俺の横には女性がいた。


「大丈夫?昨日は何があったの?」


 おそらくこの女性ひとは俺の母親だろう。そっか、昨日の夜は、自分の変化に驚いて手鏡を割ってしまったんだっけ。


「大丈夫だよ。ちょっと悪夢を見てしまっただけだから。」


 そういいながらベッドから出た瞬間、この体のこれまでの人生がフラッシュバックした。


 ”私”の名前はカルラ、カルラ・クライスト。9年前にこの世界に生を受けた。母はアグネリア・クライストという名前で26歳だ。父はいない。正確には「今はいない」だ。というのも、彼はエルヴィン・クライストという凄腕の冒険者だった。

 かつて神話の時代に人間とともに生み出された世界の負の存在、魔物。その魔物を狩って生計を立てる職業「冒険者」、エルヴィンはその冒険者の中でも最高峰といっても過言ではないほど凄腕だった。だが4年前ある日を境にパタリと連絡が途絶えた。噂では魔物に殺されたなどと言われている。

 幸いそんな父親だったからか蓄えはたくさんある。私たちはその蓄えで生活している。

 

 そこまでの情報が瞬時に流れ込んできた俺は少し倒れかけた。母さんは慌てて俺を支える。


「大丈夫、ちょっと立ち眩みが起こっただけだから」

 

心配する母さんをなだめて、朝食を作ってもらった。懐かしい家庭の味がした気がして少し泣きそうになった。最も俺のお袋が作る料理とは全くの別物だったが。


 それにしても、”私”?気になったので確認してみると……

 なかった。男の象徴であるアレが。え、俺って女なの?まじ?これからどないしよ……。まあ、今考えても仕方がないか!(やけくそ)


 そのあと一日かけてこの世界について本でいろいろ調べてまとめてみた。

 この世界の文字は日本語に似ており、読むのにそこまで苦労することはなかった。


 またこの世界には魔物がいて未開拓地や、遺跡と呼ばれるところにいるらしい。その魔物を討伐するのが冒険者なんだとか。遺跡には古代魔法文明時代の魔道具があり、その中には唯一無二の効果を持つものや、ほんの数秒で小さい村を消し飛ばせるほどの力を持つ魔道具などもあり基本的に高額で取引される。

 そんな魔道具の研究はある程度進んでいるらしく、簡単なもの――例えばランプ――などは一般的に流通している。そういったものの燃料はマナであり魔物が持っている魔石を加工した魔法石に入っている。魔法石はサイズによって容量が決まっており、大きくなればなるほど金額も高くなっていくといった感じだ。


 ほかにも冒険者を手助けする冒険者ギルドや、冒険者養成学校などがある。


 そこらへんも国によって変わっていて、この国シルトヴェルト共和国は商業ギルド、魔術師ギルド、冒険者ギルドの三頭政治らしい。世界地図でいうとこの国は真ん中にある。

 ほかにも北の国アイヘンヴァルデ王国は王政、南の国ノヴァリスタン神聖帝国は宗教政治、西の国アイセリオン同盟は様々な国が一つとなっている地域らしく、結構政治形態が複雑らしく、東の国……というか地域は無法地帯らしい。かつては国があったらしいけど、内戦とかで滅びたらしい。

 調べ終わったらいつの間にか夜になっていたのでそのまま寝た。本当はもっと調べたかったが、母さんがうるさいからなぁ。この体は9歳だから仕方がないだろう。

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