第3話 獣食った報い(プチざまぁ)

 沢山のフォロー、応援、☆評価など誠にありがとうございます(^-^ゞ 久し振りに高モチベです^^



     ◆ 元メンバー視点 ◆


「よっしゃ! やっと希少種を追い詰めたぜ! 『今度こそ』頼むぜ、セレナっ!?」


 全身汗だくで、アレクの元メンバーのゴートが吠えた。セレナと呼ばれた銀髪ロングの美剣士は、静かに抜刀の構えを取った。


「――秘剣・風林華閃っ!」


 手元が全く見えず、不可視の三連撃が『同時』に希少種に迫った! が、希少種は持ち前の素早さでかわし、目が追いつかない速度で逃げていった。


「ア"ーッ、また逃がしちまった! コレで何回目よ? 頼むぜセレナぁ、高い給金カネ払って雇ったンだからよ?」


 ボヤき倒すゴート。アレクをクビにしてから一週間、彼らは『代役』としてセレナを雇っていた。


「……簡単に言うけど、あれは『希少種』よ。常人の攻撃なんて、ほぼ『当たらない』わ。運が良くて、せいぜい『百回に一回』ね」


「ホンマかいな? アレクは『当たり前』のように当ててたケドなぁ??」


「なんつーかお前さん、“器用貧乏”だよなぁ。当たれば『一撃必殺』なのによぉ」


「ホント、アレクの『必中』スキルと足して2で割れば、イイ塩梅あんばいなのにねぇ」


 ルウがうっかり、口を滑らせた。


「……なんですって? 説明して。『必中』スキルなんて初耳・・よ。どういうことなの?」


「分かった。分かったから、落ち着け」


 セレナに詰め寄られ、ゴートは狼狽うろたえた。彼らが所属する『探索者ギルド』で、アレクのことは一切・・話題になってない。

 それもその筈、ゴートらはアレクの活躍を伏せていた。ギルドには、自分たちの『手柄』だと自慢していた。


「……俺らのパーティーにちょっと前まで、アレクっていうのが居たんだけどよ。凶悪種に強襲された俺らを庇ったのよ。ここは俺に任せて、先にいけってな」


「……それで?」


「……アレクの『必中』スキルは、その名の通り必ず命中するんだけどよ。たったの『1ダメージ』しか与えられなかったんだ。責任感の強いアイツは、ずっとそのことを気にしてたんだろうなぁ」


 息を吐くように、ウソを並べ立てるゴート。


「まさか『仲間』を見殺しにしたの……!?」


「俺たちだって、そんなマネはしたくなかったんだ! けど消耗してた俺らは、撤退するしかなかった。うぅ……アレク、ゴメンなぁ」


 ウソ泣きまで始めるゴート。他二人もやれ「俺たちにもっと力があればァ」だの、「惜しい仲間をなくしたわ、アレクぅ!」だの、床ドンなどした。


 セレナは小さく嘆息した。


「よく分かったわ。アナタたちは、信用に値しないってね」


「……っ!? そりゃどーいう意味だ?」


 号泣がウソみたいに、ピタリと止む一同。元々、ウソ泣きなのだが。


「どういう意味もなにも、そのままの意味よ。探索者は、お互い『命を預けあう』ものよ。アナタたちも『名ばかり』とはいえ、周知の事実でしょ?」


 腕組みするセレナに、互いに顔を見合わせる三バカ。


「ライノス。壁役タンクのアナタが、体を張らなくてどうするの? その筋肉の鎧は見せかけかしら? ルウ。魔女は仲間を護る為、魔術をマスターするのよ? 貴女のはただの飾りね。ゴート。アナタの為に仲間がいるんじゃなくて、仲間の為にアナタが居るのよ? リーダーの役割を、大元から勘違いしてるわ」


「「「…………」」」


 セレナの指摘に沈黙する三人。


「反論がないということは、自覚してるのね。私はこれから単独ソロで、迷宮ボスを討伐しにいくわ。アナタたちは、希少種でも追いかけ回してなさい。レベルアップが『趣味』なんでしょ? どうぞ私にはお気遣いなく」


 去っていくセレナを、三バカは呆然と見送る。姿が見えなくなってから、ゴートがイキり立ち壁ドンした。


「ンだぁあのク○アマぁ! こっちが下手に出てりゃ、ツケ上がりやがって! この俺が土下座までして、勧誘したってのによォ!?」


「つーか、正直に言ったほうがよかったんじゃねーか?」


むしろコレでよかったでしょ? ギルドの『エース』だか何だか知らないけど、お高く止まっちゃてさぁ。いなくなって精々したね」


 セレナに対する愚痴が止まらないが、ゴートがあることに気づいた。


「ア"ッー! てか、迷宮ボスをセレナに獲られたら、昇格できねーじゃん! 俺らの名を売るチャンスなんだからよッ」


 今まで何やってたんだ? と突っ込みたくなるが、セレナのことなどソッコー忘れ、迷宮内を爆走する三バカ。

 ここから『転落劇』が始まるなど、微塵も思ってないだろう(合掌)

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