第23話 そのころの9人


 もう1人のおばちゃんこと佐伯真衣サエキマイはきちんと家族に迎えられていた。

 最初から女房に逃げられたと思っていた旦那が奮起して1人でなんでもこなすように頑張っていた。そこは漸く帰れた女房が現れたのだから涙を流して喜んだ。

「母ちゃんはゆっくりしてていいから」

「そんなわけにはいかないわよ!私がやるからあなたはどんとしといて!」

 と仲睦まじい姿を見せている。


 勇者君と賢者君は同じ学校に通うようになった。が。賢者君の様子が変なのであまり接点がなくなったようだ。

 それもそのはず賢者君は聖女の居場所を探していた。

 勇者君も気になってはいたが探しはしなかった。自分が刺した相手だからしょうがない。

「クソッ!何処に行きやがったんだ」

 地図を広げ何処かないかと探す。


 工藤姉妹は私立の学校で目立っていた。元気だが清楚なルナと活発なヨミの姉妹。

「合コンに行こうよ!」

「だーめです!」

「のー」

「なんで?いい人でもいるの?」

「…」

「いる」

「ええー!二人とも?」

「いるけど!ヨミには負けないし!」

「私が勝つ」

「しかも同じ人?」

 と、外野は無視して二人はバチバチと火花を散らしていた。


「よしつぎは15階層まで行くぞ!」

「「はい」」

 そんなこととはつゆ知らず、レベル上げを頑張っていた。

11階層、ウルフ、

 二人は連携をして倒して行く。うまくなったもんだな。

 毛皮と魔石をドロップした。


 12階層、ゴブリンファイター

 ゴブリンは速攻で滅殺する。

 破れない布と魔石をドロップ。


 13階層、オーク

 迅雷をここで使う南原に苦言を言う。

「こんな敵に使うんじゃない、おくのでだろ?」

「はい」

 そしてなんとか技を使わず倒して行く。

 肉と魔石をドロップ。


 14階層、オルトロス

「疾風!せい!」

「オラ!ウォーターボール」

 と2人とも健闘してなんとか倒す。

 皮と魔石をドロップ。


 15階層、ケルベロス

「でか!」

「迅雷」おぉ。効いてるようだな。

「ファイアボール!」

 と言うところまでは良かったが少し動かれると逃げてくる二人、

「あんなのどうやって倒すんですか?」

「削ればいいだろ?」

「持ちませんって」

「じゃあ俺が抑えてやるから」

 と首根っこを押さえて地面に押し付けると、

「「ええー!!」」

 なんとか倒してドロップは皮に首輪と、魔石。宝箱は青のスキル玉と銀貨50枚。


「最強すぎるでしょ?」

「あんなの片手でゴンって!」

「レベルが上がればできるようになるから」

「うそだー!」

「大丈夫だ、ちゃんとレベルは上がってるだろ?」

「まぁ、はい」

 んじゃ頑張ったから魔導書をやろう!

「「はい」」

「風と土だ」

「私風!」

「おい!そっちの方がいいじゃないか!」

「レディーファーストでしょ?」

「くそ!」

「そんなに土は嫌か?こんなことができるぞ」

『グランドランス』

 土の槍がいくつも出ている。

「おお!かっこいい!これでいいっす」

「課長風は?」

「風は『ストーム』

 竜巻が発生する。

「うわぁ、あれに巻き込まれたくはないな」

「よしと、二人とも頑張れよ」

「「はい」」

 二人を帰して一人で攻略する。

 もう50階層くらいなら一人で十分だ。

 ホワイトドラゴンを倒して外へ出ると、

 なぜかバカ二人が中に入っていた?

「なにしてんだ?」

「自衛隊にはいったんだよ」

「俺もだ!」

「はぁ、思ってるより最初はきついぞ?」

「わかってる、それよりダンジョンだろ!」

「我らの威力がやっと試せるわい」

 鑑定してもしょぼいな。

「自衛官さん、俺知らないっすからね」

「いやぁ、根負けしてね」

「はぁ、死なないようにな」

「わかってるっつーの!」

「ワシだってまだ死にたくはないからの!」


「じゃあ、俺はこれで!」

「はい!」

 と自衛官がする中、自衛隊の服装に着替える奴らの顔はにやけていた。絶対になんかやらかす。

 まあ。自衛隊でなんとかするだろうな。

 

 聖女の黒木一美クロキヒトミの家に行ってみると廃墟になっていた。近くの人に聞いてみると親は別居していたらしくこの家は売りにだされていたはずだったが気づいたらこうなっていたと言うことだった。

 中に入ってみるとボロボロになった家の中に聖女はいた。

「見つけたぞ」

「あら!お客さんは呼んでないわよ?」

「お前がなぜ魔王のユニークを持っているのか説明してもらおうか?」

「それは持ち出したからよ、魔王城にあったもの」

「クソッ!そんなもの持ち出すからこんなことになったのか!」

「あはは、そういうことよ」

「あぁ、くそったれ!倒すしかないのかよ」

「あら?しらないの?魔王は聖の気で倒せるけど私は聖女よ?これどう言う意味かわかるかしら」

「だがやるしかないだろ!これ以上は被害を出さないようなに!」

「ふふ!そんなのは私の知ったことではないわ」

「なに?」

「もうタネは撒き終えたのよ」

“ズズン”

「あらもう時間切れね」

「ここで殺す」

「あなたにできるかしら?」

「出来る!疾風迅雷!」

“ゴトンッ”

 と首が落ちるが、

「ずるっ、クチャグチャ」

「嘘だろ!」

「首ぐらい切られても大丈夫なの、それではまたね」

 と消えて行く黒木はもう人間ではなかった。

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