第4話 小説を書き始める男


 画像素材を描き始めて半年経った頃だろうか。

 素材収入の大体の予測が出来た。


 多くてン年後に月一桁万前半の見込み。


 うん、無理。


 私は本気で漫画で飯を喰っていきたいと考えている。

 決して遊びで、趣味で描くわけではない。

 具体的には最低月20万、現状かなり厳しい目標だ。

 大金や名声が欲しいわけではない、好きに創作して喰って良ければそれでいい。

 が、その目標ラインがまだまだ厳しい。


 そしてやりたいのはあくまで漫画。

 イラストレーターになりたいわけではない。

 画像素材はいわばリスクヘッジと技術流用だ。漫画の技術が素材作成に流用できるし、逆もまたしかり。

 漫画で不足を補えればいいがこれの方がまだ難しい。

 AI進化によるカタストロフが起こる可能性だってある。

 ならば。



 ならば小説だ。



 聞けば、小説投稿サイトには漫画投稿サイトのように収益化が出来るサイトもあるらしい。ほほう。


 漫画投稿サイトの収益はトップ層でも決して多くはない。

 当たり前だ。アマチュアで喰っていけるならプロにならずアマのまま気楽にやる者の方が多くなるだろう。

 トップ層でもギリ食っていけない額。

 私はトップに至ってないから確実な事は言えないが、私とトップの視聴・お気に入り等の差と、私が得られた額からそれが想定出来る。

 小説サイトでもそれは同じだろう。

 アマチュア投稿だけで喰っていけるならデビューしたがらない者も増えてしまう。


 では、漫画・素材・小説…全てを併せたら?


 それなりにまとまった額になるのではないか。

 リスクヘッジにもなるし、漫画家は絵描きであると同時に物書きでもある。素材と同様脚本やキャラ付けなど、漫画の技術応用・フィードバックも出来る。

 失敗しても決して無駄にはならないはず。



 素晴らしい。

 ぜひ小説を書くべきだ。



 そんな経緯で、幼い頃購読してたゲーム誌掲載のベニ―松山のwiz小説と、京極夏彦の妖怪シリーズと、小学校の読書感想週間の太閤記くらいしかろくに小説と言うものを読んだことの無い、歪な読書歴アラフォーの小説挑戦が始まった。

 まあ大丈夫だろ、俺って天才だし。

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