第21話 【幸太】会えない週末なんて

歓迎会のあと、タバコを吸ってすぐ店を出た。晴翔は用があるといってすぐ帰ったので、安心して陽奈を誘って二次会にいこうと思ったが、陽奈は見当たらなかった。


めぐのところにもいなかったから、すぐ退散したんだろう。

オッサンばかりの会社の二次会とか、つまらんよな。


仕方がないので、フロアの上司やら部下やら野郎だらけの二次会に参加した。いきつけのスナックで飲んだくれて、駅ビルの地下にある古い店でシメの味噌ラーメンを食った。




仲間と解散し、最寄駅に着いた俺は、いつもの24時間営業のスーパーに立ち寄り、半額になっているおにぎりを買って帰宅した。

電気をつけると、いつものごとく散らかった部屋が目の前に広がって一気に現実に戻った。



この間までうまく描けていると思っていた絵の数々が、どれも何か物足りない感じがして、俺は足元にあった画用紙をぐちゃぐちゃに丸めてゴミ箱に捨てた。



いつまでこんな自堕落な生活を続けるんだろう。

家に帰ったら誰かが帰りを待っていてくれて、部屋も綺麗でおいしいごはんもあって


「おかえりあなた、ごはんにする?お風呂にする?それとも‥」



なーんて。

昭和か俺は。




父親の記憶がない俺には、あたたかい家庭ってどんなもんなんだかよくわからない。

だから、そんなよく聞く昔のセリフみたいなものでしか思い描けない。

父親は、家族の柱で、帰りを待たれる存在。



うちの場合は、家族の柱は母だった。

小さい時は、母が帰るのをみんなで待ち侘びた。

中学にあがったころからは、母が帰るまでに、姉貴を中心に3人で家事やごはんの支度をした。

高校時代は、アルバイトで家の生活費を稼ぐのに必死だった。





俺はいい夫になれんのかな

いい父親になれんのかな



買ってきたビールを開けて、年季の入ったグラスに注いだ。

別に今の俺の稼ぎがあれば、もっと贅沢な暮らしをしようと思えばできる。

できるんだが、小さい時から身についた習慣はそうそう簡単に変えられるものじゃない。






‥あのあと、陽奈はどこに行ったんだろう。

二次会に行く前にラインしてみればよかった。

陽奈に会えない週末とか長すぎる。


かといって1時を過ぎた今となっては、連絡するのも気が引ける。



あー。。

少し飲み過ぎた。

頭がぼーっとする。。







。。。◯⚪︎⚪︎。⚪︎◯。。





‥さん



‥コータさん。



 ひな?


そうだよ。


 あれ、いつからここにいたの?

 ずっと姿が見えなかったから、すごく心配だったんだ。



何いってるの、

さっきから、ずっと一緒にいるじゃないの

私はいつでも、あなたのそばにいるよ。

コータさん、大好き。チューして。




 ひな、、、おれも






。。。◯⚪︎⚪︎。⚪︎◯。。




俺はうとうとと幸せな眠りについた。

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