第5話 【幸太】エレベーターで

俺の会社は、イベント好きな会社だ。

飲み会もやたら多く、休日でもみんな集まりたがる。

しかも、部署だけでなく、毎回ビル全体に誘いをかける。

彼女いない歴=年齢の後輩もたくさんいるので、休日はみんな暇を持て余すのだろう。


今週も、日曜日に河川敷でバーベキューをすることになったようで、後輩からメールが回ってきた。

女性は1000円

男性は役職なし2000円

役職あり3000円

と、出会える飲み屋のシステムみたいな料金設定が書かれている。ちなみに、今回だけではなく、これがうちの会社のデフォルトである。女の子に来て欲しい感丸出しすぎて、ハラスメントにならないか微妙なところだが、若い社員と女性にお得なシステムのためか、特に文句は出てこない。俺は残念ながら役職つきのため、3000円だ。


俺も酒は好きだし、集まりは嫌いではないが、休みの日は絵を描いていたいので、正直めんどくさいが、せっかくなので楽しむとするか。


喫煙室へ行こうとエレベーターにのると、新人秘書と一緒になった。

俺の図体がでかいせいか、女の子は少し驚いたような顔をした。

「陽奈ちゃん??っていうんだよね。」

「あっ、はい。先月入社しました。」

こっちを一緒ちらっと流し目でみたあと、その子は目を逸らした。

高飛車なタイプか。困らせてやろう。

「あ、"アンタ私のこと好きなんでしょ"って思った?今」

「え!?!?いや、そんなことは‥」

「ま、いいや。俺の妹も、ヒナって名前なんだー。だから、すぐ覚えちゃった。」


喫煙室のある10階についた。


「あれ、おりないの?」

「え!あ、すいません、私8階なんですが、押すの忘れちゃって、、、」

「あはは、じゃあね、ひなちゃん。」


窓からは暖かな夕陽がさしていて、廊下がやけに眩しかった。

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