第2話-3

追憶の焦点

第1章 現場復帰


2.皇族来日


「…明日、モナクライナ皇族を乗せた航空機が東京○○空港に到着します、来日でのご予定は首相官邸を訪問、本国皇室での食事会…」


 新室は新聞より喫茶店のテレビに映っているニュース番組が気になっていた。

「何年か前にも来日してたわね…第三夫人だったっけ、日本の女性だったけど、事故で亡くなったのよね…」

「車の移動中の事故だ、それから数日後。彼女の息子も不審な死を遂げている、呪われているようだな」

「………」

 新室は店主たちの雑談をそっと聞いていた。


「それにしても、来日する皇女様は綺麗ね、お母さんとよく似ているし…」

「亡き母の故郷くにを訪ねるわけか、どういう心境だろうな」

「おまけに彼女、皇位を継承するんでしょ、まだ二十代なのに大変ね~」

 

 未希は親戚のおばさんのような口調で、モナクライナのお国事情に触れていた。


「………」

新室はモナクライナの話題になると、表情が固まった。

「どうしたの、何か考え事?」

「あ…いや、何でもないさ、ありがとう」

 新室は未希にコーヒーのおかわりを淹れてもらい、ふと我に返った。


 新室は本日、オフ状態で特に予定はなく、家に引きこもるしかなかった。暇を持て余してか、彼は携帯電話を手に取り、滅多にかけない電話番号に発信した。


「…僕だ、、乗るよ」

「その返事を待ってたよ、よろしく頼む」

 藍井は親友の許しの声を聴いて安堵していた。

 

 新室は用件を伝えて電話を切ると、一呼吸して、今後のことに備えようとした。

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