6 坎《かん》 (●○●初)

卦 三爻初  正象 卦徳(性情) 家族 五行 易数

かん ●○●初 水  坎険(陥)  中男 水性 6

 水、困陥、考える、憂う、困難、忍耐、裏の事、中年の男、腎臓、冷たい、北


 「坎」は文字通り坤(●●●初)の地の中で二爻が欠けて穴となり一陽の水が落ち込んだ象。穴に陽の水が流れば川となることから、自然界では流れている「水」が正象。

 長い、冷たい、寒い、深い、伏蔵・惑い溺れる・奸計・知恵・法律・忍耐・辛苦・流転・裏面・落とし穴・溝・隠れる・隠す・困る・連絡といった意味に意味に拡大して解釈していく。

 「兌」も沢で水がありますが「兌」は止水。「坎」の水は流水です。

 卦徳は「坎険」、性情は「陥」といって、穴に落ちて抜け出せず悩み苦しみに陥っている意味です。それが徳なのかと思ってしまいがちですが、艱難辛苦を乗り越えることに意味があり、人格が磨かれます。

 山から流れ出た水が河川となって海に注ぎ入るまでに、さまざまな艱難辛苦を経ても必ず目的を達成する。水のように人の心や精神が、肉体からくる諸々の欲望に妨げられながらも、強い意志によって打ち勝って目的や計画を達成していく姿にたとえられます。

 そもそも、水は人間の生存に不可欠なもので、長い時間をかけて肥沃な大地を作り、豊かな農作物をもたらします。

 ふたつの陰に挟まれた陽は真実の心。水の表面は波を立てていても、底は静かに深い思いがあります。どんなに苦しい立場でも誠実さを失わず、志を追求する姿は、大海へと至る水の流れのよう。君子は逆境にあるときこそ、強い精神力で学問や研究の道を邁進します。

 性質は、陥る、険しい、困難・剣難・艱難、苦労、紆余曲折、悩む。憂う、泣く、流れる、下る、濡れる、溺れる、凹み、冷たい、寒い、寂しい、心、情、異性・孚・真心、思想、哲学、法律、審判、刑罰、悪、盗み、仇、半目、病、貧しい、妊む。


 坎の象意をもとに分類します。

▼「人」次男。中男。

    考え深い人。学者、哲学者、思想家、宗教家、僧侶、法律家・教育家。

    悩みを抱えている人。著述家、推理作家、書家、彫刻家、

    黒幕的な人、秘書、参謀、策士、謀略家。設計企画者。

    陰険で悪意を抱いている人。冷淡で情け容赦がない。陰気な人、悪人、盗賊、詐欺師、潜伏者、犯罪者、容疑者、死人までも。

    苦労する人。病人、貧困者、破産者。

    水関係の職業、塗料・染物・クリーニング業、温泉・海水浴場・ガソリンスタンドやスイミングクラブの経営、漁業、魚屋、飲料品店、酒屋、水商売。

    凝り性の人、社交家。

    あるいは生活苦に負けて酒やギャンブルにおぼれる飲酒家、中毒者。色情家や、自暴自棄になっている人。

▼「行動」「坎」の意味がいいほうに出れば、厳格だけど学生思いの教師。限られた予算の中で最善を尽くす研究者や苦学生。

     経営に苦労が多く苦境に陥っても、一生そのままということはない。苦あれば楽あり。コツコツと努力を積み重ねている人は、波乱や失敗の後に成功し、必ず夜明けが訪れます。

     初志や初念を貫徹してゆく意志の強さと知恵の深さが特徴的。

▼「人体」中に穴があって外に輪があるから耳。鼻、性器、肛門などの穴部。

     人体の中の液状のもの血液・動脈・静脈。

     膀胱、腎臓、尿道。婦人科系の器官、子宮や卵巣。脊髄など。

     五行では腎臓。

▽「病気」腎臓病、中毒、耳病、性病、痔病、冷えからの病気、下痢。

     毒物(毒物や薬物の中毒、酒毒、食毒、痔疾、性病、膿血、血塊、血行不順、月経異常など)、

     精神消耗、精力消耗、腎虚、下痢、下血、冷えに起因した病気、

     風邪、潜熱、悪性の感染症など難病が多く、併発した病気によって危険に陥るおそれが。

     糖尿病もまた坎の病気で、流産・死産ということも坎の象意。

▽「病勢」〈苦しむ、流れる、長い〉意から苦痛を伴い悪化し、長引くと判断。


▼「物」「離」が太陽なら、陰陽を逆にした「坎」は月。

    鉛筆、ボールペン、万年筆、石油、ガソリン、ペンキ、弓。

▼「場所」川、海、井戸、溝。温泉、水族館。宴会場、酒場、クラブ。

     暗い場所、地下室、洞窟、監獄・刑務所、墓地。

     人通りのない寂しい場所。寒い場所、病院。

     屋内では洗面台、浴室などの水回り。睡眠を司るので寝室。


▼「動物」狐や狸など夜行性動物、コウモリ、鼠、猪。水辺の動物・魚介類。

▼「植物」トゲのあるあざみ・野薔薇、柊、梅、寒椿、水仙など冬に咲くもの、

     水草、海草の類。

▼「食物」水、水飴、ジュース、コーヒー、牛乳、醤油、塩、塩漬物。

     飲んで陽気になる「酒やビール」は「離」だが、暗い酒は「坎」


▼「干支」子

     子孫繁栄の象徴。

▽「季節」真冬12月(子月)

     昔は寒くてひもじく、ひたすら春を待ったことだろう。

▽「方位」北

     吉方取りでは夫婦和合、子宝が期待できる。

▽「時間」二十三時から一時までの二時間(子の刻)

     電気のない時代は暗闇を出歩くことも憚られる時間帯。

     一般には就寝時間ですが、世を徹して学問や研究に励んでいる人も。

▼「九星」一白水星

     九星で唯一、水の気を持つ一白水星が「坎」に対応。

▼「五行」水

▽「色」黒色、または白色

▽「数」6、五行の数は1と6

▽「味」かん味(しょっぱい味)


▽「天気」〈水〉の意から雨と判断。冬は雪の時もあります。

▽「株式」〈水は上から下に流れる〉意から下がると判断。急落のときも。

▽「やまとことば」え




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