第4話 四象とは

しょうとは


 単なる陰陽の対立関係だけでは、一切の事物や事象の具体的な関係を把握するには不十分です。

 たとえば、男女の区別も、現実的には男性的な男性・女性的な男性・女性的な女性・男性的な女性などがいます。

 季節も、冬と夏という寒暑の対立の間に、春と秋という過渡的な季節が設定され、南北の方位の間にも東西の方位が設定されることによって、より具体的な把握ができるわけです。



 「両儀は四象を生ず」とあります。

 四象は、陰陽の符号(こう)をふたつずつ使用して、


 老陽(◯◯初)、少陰(●◯初)、少陽(◯●初)、老陰(●●初)

 に分けられます。


 東西南北、春夏秋冬などの四象的な関係に、さらに北東・南東・南西・北西といった四隅を加え、春夏秋冬も春から夏への過渡期に春の土用、夏と秋との中間気候帯である夏の土用そして秋の土用・冬の土用を付け加えることで、方位も季節もより具体的現実的に把握できるわけです。

 老陽(◯◯初)

 少陰(●◯初)

 少陽(◯●初)

 老陰(●●初)


 初歩的な書籍では、老陽(◯◯初)が春で、少陰(●◯初)が夏、少陽(◯●初)が秋、老陰(●●初)が冬とみなすようですが、前述したようにそもそも陽が夏であり、陰が冬なのです。


 考えてみてください。

 冬が寒さの真っ盛りだとして、次に来る春が暑さの真っ盛りでしょうか。

 気温を考えても暑さの真っ盛りは夏ですよね。


 しかも陰が極まれば陽を生じるのですから、冬の老陰から一足飛びに春の老陽が生じるのは明らかにおかしい。太極図を見てもそれはわかるでしょう。


 であれば老陽(◯◯初)が夏であり、老陰(●●初)が冬であるべきです。


 春と秋はどうするか。

 次のような循環をしていると解釈してください。


 夏:老陽(◯◯初)⇒少陰(●◯初)⇒少陽(◯●初)⇒

 冬:老陰(●●初)⇒少陽(◯●初)⇒少陰(●◯初)⇒

 夏:老陽(◯◯初)

 です。


 秋は少陰・少陽、春は少陽・少陰が当たります。


 秋は夏の地の暑さのまま涼しい風が吹き始め、やがて地が寒くなってぬるい風が吹く。そして風も冷たくなって冬となる。

 春は冬の地の寒さのままぬるい風が吹き始め、やがて地が暖かくなって風も爽やかになる。そして風も暑くなって夏となる。


 季節は四季ではなく六季あると考えれば陰と陽とが正しく循環します。

 もちろんこの「六季」の考え方は私のオリジナルなのですが、こうすると無理がないのも確かです。



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