Act.11 禊 3
アタシは『集中』を高め『意識の世界』に入る。
普段のアタシだったらここに来るのにもっと時間がかかる筈なのだが、神聖なこの場において、場の荘厳な雰囲気も手伝ってか、アタシの想像以上のスピードでここに入る事が出来た。
目に映る周りの状況を確認するに、アタシと師匠達は大風呂敷ほどの広さの『水蓮』を模したお盆の様な『岩座』の上で佇んでおり、その周りには燃え盛る『緋色の焔』がアタシ達を逃がさない様にユラユラと滾っている。幸い、その焔にアタシ達は直接炙られてはいないものの、肌が焼け付く様にチリチリと痛む。
ふと気が付くとアタシ達の目の前に、険しい表情の『
いかにも頑固者で真面目そう、それでいて少し不器用そうな彼のその表情に、アタシは『自身』や『義父さん』の面影を思わず重ねてしまい、少し吹き出しそうになってしまった。
彼の左手に持っている荒ぶる『黒縄』は恐らく伝承通りなら『
アタシは、自身が当然の様に『
『
言葉も発さず、『炮烙』も受け取らないのを見るにどうやら今は受け取るつもりは無いらしい。やはり『焙火』と一緒でなくては意味が無いらしい…。
むすっとした怒り顔のままで、それ以上の意図を伝えない『
「…そうやっていつまで文字通りの『仏頂面』を続けるつもリ?『
『師匠』の挑発ともとれるような発言に、『
そして、『
一方『師匠』はそんな『神の怒り』もどこ吹く風と言わんばかりの飄々とした態度でまったく物怖じしてない…。
同じ神同士とはいえ、一体どんな胆力をしているんだ…。直接それを向けられていないアタシでさえ、その『神威』の圧に全身を『恐怖』と『畏怖』で震わせているというのに…。
「『
『師匠』の失礼極まりない発言に堪忍袋の緒が切れたのか、『
その瞬間、『師匠』の全身は『緋色の焔』の包まれ、彼女はたちまちその『神の火』に捲かれ燃やされる。
「…!?『師匠』!!?」
「大丈夫だよチーちゃん。…どうやら、『私』は出ていけってサ♪…まぁそりゃそうだよネー。…んじゃ先に戻ってるかラ!いい報告待ってるヨー!!」
『師匠』はそう言ってケラケラ笑いながら焼き尽くされて灰に変わってゆく…。ここは現実じゃないし、『師匠』の口ぶりから死んだとかでは無さそうだが、『緋色の焔』を灼熱をまったく意に介さず、痛みも感じて無さそうな彼女の態度に不気味さえ覚える。
『師匠』が完全に焼き尽くされてゆくのを見届けた『
アタシはてっきり『
色事の経験が無く、そういった耐性が微塵もないアタシは、目線の置き所が分からず、在らぬ方向を見てドギマギしてしまう。
一方の『
「…コレハ?」
「えっと…。何て言えばいいか…『名誉の負傷』?っていうか…」
『
「…コレデ少シハ、『痛ミ』モ和ラグダロウ…」
『
「…ありがとう…御座います…でも!『これ』は…!」
「ヨイノダ…美シク高潔ナル娘ヨ。…ソナタニ『コレ』ト共ニ『
「ありがとう御座います。…必ず…返して見せます!!」
『
この力があれば、なんだって出来そうな気がする!!それこそ、異形化する『血酔』の『呪い』だって何とかなりそうだ!!
「使イ方ハ…ソナタノ『師』デアル『狂エル外様』ニ聞クガヨイ。…シカシ忘レルナ。彼奴ハ『虚空』カラ来タル『
「…。」
アタシは以前『師匠』が『カミラ』に対して『贄』と言っていた事を思い出す…。あの発言は妙に引っかかるし、確かに彼女は肝心な事は中々に話さないで、はぐらかすし、その本性はうかがい知れない箇所も幾つかあったりする…。
「肝に銘じます…」
しかしながら彼女には色々と大恩も多いので、何だか感情が煮え切らないアタシはとりあえずそう返答することにした。
「…シテ『暗魔』ヨ…」
『
「へへっ…何でございましょう、『明王様』」
「貴殿…『約束』ハ覚エテオロウナ?」
「えぇ。覚えていますとも…。ですが『明王様』…。おいらはこの娘…『蛭蠱 血穢』に『教え』を乞われ、それを受けてしまいました…」
「…せめておいらが培った『
『暗魔師匠』の嘆願にアタシも同じように『
「アタ…私からもお願いします!!『
「…。」
アタシ達の嘆願に『
でも今回ばかりは本当に何とか融通を効かせて欲しい!!『
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