ロマンチストと鏡のない街

夏眼第十三号機

洋館編

#01『夕焼けは思考が焼き切れる』

結論から言おう、私はこの世界が嫌いだ。


社会が嫌いだ。

世間が嫌いだ。

他人が嫌いだ。

自分も嫌いだ。


法則が嫌いだ。

論理が嫌いだ。

摂理が嫌いだ。

思想が嫌いだ。


嫌い、嫌い、嫌い、嫌い、嫌い、嫌い、キライだ。


キラキラしたものが、キライだ。


世界は、どうやら私にとって眩しすぎる。

眩しすぎる闇、と。言い換えてみる。


……嗚呼、嫌だ。まるで私が光みたいじゃないか。


私は闇です。影です。どうしようもない日陰者です。


脳味噌が割れそうになるほど、嫌悪感が血と共に巡ってきて、頭が痛い。

***


……と。ここまで語れば、おおよそ私という人物像は理解できるだろう。


今までの人生で救ったことも、救われたこともない。


誰かの為になる人生を送っても居なければ、誰かに憧れたこともない。


けど。


ただ唯一、私が生きていて好きだな、って思えた人の話を、今日こうしてしようと思う。


もしかしたら、何日も、何週間も、何年もかかるかもしれないけど。


もしかしたら、弱い私だから語り切れないかもしれないけど。


――それでも。あったことは、あったことだ。


私は彼女に出遭ったし、出来事としては『あった』んだから。


そこは。


きっと変わらないだろう。


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