第4話 行方不明
女王は公務に赴く時には必ず夫を伴った。
国政に関わる有事にも、夫の意見を仰いでいた。
そんな異国の王子を盲信していた若き女王にゲオルグが、叶わぬ恋をしていたことは、言わずもがなで知っていた。
女王陛下は波打つ金髪。透けるように肌理の細かい白い肌。
長い睫毛に縁どられた、素晴らしく大きな双眸は常に
なよやかで、はかなげで、いじらしい。
二十歳のゲオルグは、四歳年下の女王陛下の側近であり騎士として、誰よりも抜きん出ることでしか、愛を乞うことができずにいた。
ノイスールの女王は、ある日忽然と姿を消した。
ゲオルグも、夫であるテオ大公も国を挙げて捜索したものの、何の情報も得られていない。
その行方知れずの女王がノイスールに有利になるよう、ダフネの軍港を攻めたのか。
「他に見たものは何かないか?」
「以上です」
「わかった。下がれ」
手の甲で追い払い、ゲオルグは苦悶の表情で黙り込む。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます