第13話 アルバム (3060年)

 ――翌日


 メレオン島の歴史資料室の中は散乱してひどい状態。

 ノアが書類やらなんやら色々引っ張り出して散らかしたのだ。

 部屋の中央付近にあるソファーで、朝なのにいびきをかいてまだ寝ているノア。

 資料整理に熱中しすぎて夜更かししたようだ。


 そんな資料室に昨日のソラ(男の子)とウミ(女の子)が、朝早くからさっそく遊びに来た。昨日マーキュリーとリズが遭遇したメレオン島の子供である。


「「おはようございまーす」」

「あら、昨日のウミちゃんとソラちゃん?」

 f1(人工有翼)のリズが出迎えた。


 三人で話を交わしたあと、一緒に資料室に行った。

 ぐーすかと寝ているノアを見つける。

 ウミ(女の子)が大声で叫んだ。


「ノアー、起きなさーい。何こんなに散らかしてっ! もう」


 まるで母親のような口ぶりだ。さらにリズも注意する。


「ノアさん、本当ですよ。そんなところで寝て。もしかしてお風呂にも入っていないんじゃあないですか?」

「ああ、もう朝か。みんなお早う」


 ノアは上体を起こして、眩しそうに目をこする。

 ソラ(男の子)は、何を見つけたのか知らないが、あちこちぶつかりながら奥の方に走って行く。


 ―― ガラガラガラ


 何かをくずしたようだ。すかさずノアが叫ぶ。

「ソラっ、大事なものが多いんだから、これ以上めちゃくちゃにするな」


 ノアに人の事は言えないだろう。そもそもこんなに散らかしたのは誰なんだ。

 ふと、ノアは新たにくずれた本の中の一冊の厚めの本に目が留まった。

 見たことが無い立派な本だ。

 その時、マーキュリーもやってきた。


「騒がしいわね。何しているの?」

「あ、いや、ソラが走り回ってちょっと……」


 ノアは未知の厚い本を見るのは諦めた。後でじっくり見よう。

 マーキュリーはノアをかそうとした。


「ノア、そんなことより、早く昨日の続きを。ん? くんくん。ノア、ちょっと臭うわよ」

「あ、ごめん。じゃ香水をシュッと」

「ねえ、シャワー浴びてきなさいよ。それくらいは待っててあげるわよ」


「そうか? ふわー(あくび)。じゃあ、ちょっと浴びてくるよ。朝飯でも適当に食べて待っててくれ」


「私が用意します」リズが言った。


 リズが朝食を用意している間に、マーキュリーはそこらに転がっている資料をあさっていた。

 ノアが見ようと思っていた厚い本も見つけた。

 それは古いアルバムだった。色々な写真が貼られている。 

 

 特に一人の女性の写真が多く残っている。

 マーキュリーには知らない人だが、沢山たくさんの写真から、彼女の人生がそこに凝縮されている様だった。

 マーキュリーはその女性が気になった。


「誰なんだろう……」



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 *ノアはジーンとあの墓のレナに絞って資料をまとめました。

  スカイ・アルファの双子と彼女らがどう関わっていくんでしょうか?

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