祓っていいとも!

阿弥陀乃トンマージ

第1章

五人の男たち、新宿へ

                 オープニング


「ふむ、やはりこの街にはどうも良くない気というものが集まっていますね……」


 短い白髪で都会では浮き気味な着物姿の男性が小声で呟く。


「まあ、活気にはみち溢れていますが……その裏返しというやつですかね。なんにせよ、生命力があるのは結構なことです。生きているということはそれだけで素晴らしい……」


 なにかと騒がしい街を男性は静かに歩き出す。


「……世界中を忙しく飛び回ってきたが、この街の喧噪はやはり独特なものだな……」


 がっちりとしたスーツのようなものを身に着けた金髪の男性が呟く。


「情報によれば、この街がターゲットにされているようだ。民衆を不安な気持ちに陥らせてはいけない。良い結果をもたらせるように……よし、動くぞ……!」


 男性は低音の声を響かせ、力強く歩き出す。


「……どうやらこの街で間違いないようだな。なるほど、規模が大きいシティだ……」


 この場には似つかわしくない服を着た男性が灰色の長髪をなびかせながら呟く。


「おっと、剣を見られると、この国の官憲がすぐに飛んでくるからな。気をつけねば……守る存在が追われるようなことになるのはまったく笑えない……」


 男性は腰に提げた立派な剣を見られないように外套で隠し、ゆっくりと歩き出す。


「……あ~定期報告。目的地の街に只今到着したところだぜ……」


 宇宙服のような独特な服に身を包んだ男性が、茶色の短髪をかき上げながら呟く。


「ふう……確かにこの人類の多さ……奴らが潜むには格好の場所だな……まあ、一気に決めてやるぜ……おっと、やり過ぎには注意しなくちゃならないけどな」


 男性が周囲を厳に警戒しつつ、慎重に歩き出す。


「ったく、うじゃうじゃと人がいやがるな……嫌になってくるぜ」


 派手な明るい髪色と十字架のネックレスが目を引く男性がうんざりしたように呟く。


「まあ、こういう連中もいざとなれば助けてやるのがお仕事なんだけどよ……しかし、またでたらめな人の多さだな、思わず爆笑しちまいたくなるような気分だぜ……」


 男性が不敵な笑みを浮かべながら、歩き出す。


「「「「「さて、まずは……」」」」」


「「「「「この新宿の街にある学校に潜入して、とある女性と接触する……!」」」」」


 五人の男性が同じようなことを呟く。


「「「「「状況次第によっては協力を仰ぐことになる……!」」」」」


 五人の男性がさらに同じようなことを呟く。


「「「「「最寄田静香……‼」」」」」


 五人の男性は同じ女性の名前を口にする。

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