エンシェントシティinガール

永寝 風川

第1話「地下都市」

....

ここは、何処だろう?

体の痛みがない。私、死んじゃったのかな...

だったら今、地獄にいるのかな...

いや、段々と体にひんやりとした感覚が伝わってくる。もしかして生きてるのかな?

とりあえず、目を開けなきゃ...

そう一瞬開けようとした目を、私はぎゅっと閉じた。

目を、開けたくない。

何故か、怖い。

現実を、今の現状を、見たくない。

気持ちを落ち着かせよう。気を紛らわせよ何があったのか。少し思い出してから開けてみよう。

うん、そっちの方がいい。

私はそう思って、今日あったことを簡単に思い出してみた。


(まず私は家を出た後、冒険者ギルドに寄っいいクエストがないか確認したんだっけ?

それで特にいいクエストがなかったから、そのまま街近くにある山で、しばらく探検していたら見た事もない洞窟を見つけた。それで危険なのは分かってたけど好奇心に負けちゃって入っちゃたんだ)


「私...馬鹿だなぁ....受付さんと先輩に言ったら怒らちゃう...いやその前に冒険者として失格か...」


冒険者は心が好奇心に負け、支配された時が一番危険だ」という先輩の言葉が頭の中で響いた後、帰れるのか、そもそも生きれるかなという不安がやってくる。


「脱出は一応は出来るけど...いや、その前にここまで来たことを思い返そう。無駄遣いになっちゃうしね。」


しかし私はとある事を思い出し、そんな独り言を言った後。すぐさま今日の出来事を再び思い返していく。


(私の入った洞窟はだいたい、大人の女性1人分ぐらいの大きさであり、入った私は、分かれ道あったら引き返そうと思いながら。周りを警戒して歩いていたら急に、...地面が...くずれ....)


「ぇ....?」


思い出して地面が崩れた事を思い返すと、身体中が恐怖が襲われて。私はすぐさま目を開けて勢いよく体を起こす。


「はぁ...はぁ...い、生きてる。私、生きてる」


私は急いで体を見て回る。しかし特に外傷も無く、武器も防具さえも壊れ...いや1つだけ壊れている事に気づく。


「あ、お守りの指輪が....」


冒険者になる少し前にお父様にもらったお守りの指輪にはまっていた、元々緑に輝いていた宝石は灰色になており。また全体に亀裂が入っていて、今にも砕けそうになっていた。


「ありがとう、お父様」


お父様はいつも感情を表に出さず。しかし心の中ではとてつもなく感情豊かあり。特に家族にはとてつもなく心配性な人だと、私はもちろん。周りの人も知っている。

だからこそ、このお守りの効果がとてつもなくすごい事も。もちろん、たくさんお金がかかった事も知ってた。それを何個か渡そうとしていた、お父様は正直言って心配し過ぎだと思う。


私はその指輪が崩れないようにゆっくりと外し、優しく手で包み込んで。目を瞑り心中でお父様にもう一度、ありがとうと感謝をする。指輪が一瞬煌めいたと思うと少しづつぼろぼろと一つ一つ崩れてしまう。


「帰ったらお父様とお母様に、お手紙書こうかな...」


私はそんな独り言を言いい、気持ちを切り会えると、帰るためにも今の状況を確認する。

どうやら結構高くからちょっとした空間に落ちたらしく、通れそうな穴がぽつんと一つだけあった。少しの間そこを見ていたが、そこからモンスターが出てくる気配がない為、ここは安全エリアだと私は思い。今から色々準備をするため、穴とは真反対の壁際に移動し背中を預け座り込むとこれからの事を考える。


「よし、危険だと思ったらすぐ脱出できるようにして、少し周りを探索してみよう」


少し考えて、私は決めるように独り言を言うと、一応穴を警戒しつつ。穴の奥を探索するための準備を始める。この間に私は一応、自分が誰なのかを忘れてないか確認するため。まず名前から思い出し始めた。


私の名前はエンリテェアで、苗字は捨てている。棄てた理由は家族に心配されるのが怖かったから、親元に居すぎると、縛られて抵抗が出来なくなってしまいそうで、怖かったから。

年齢は15歳で12歳から、冒険者をしていて。強さはあまり自身はないけど、オークって言う巨体のモンスターなら、10体ぐらいなら何とか倒せるくらいだと思う。


後、ぜんぜん使ってないが一応、私はスキルという物を持っている。スキルは簡単に言うと魔法とかじゃない不思議な個人の力だ。

そもそもスキルは持ってる人と持ってない人がいて、スキルを持ってる人はスキル持ちと言わたりしていたりする。そして魔法の属性みたいな特性があり、その特定の特性を持つスキル持ちの子が産まれやすい一族もある。そういう一族は産まれてきやすいスキルの特性で呼ばれる事が多く、火に関するスキルを持って産まれやすい一族は火の一族と言われたりしている。

さて話がそれだけど、私のスキル名は『古代を受け継ぐインヘリティングエンシェントタイムズ』名前を通り古代をというか、古い物を受け継ぐスキルらしいけど。使い方までは分かるのんだけど、使用条件などが分からない。1回古い絵画に使ってみたけど特に変化は無かったし。


っと少しの間。自分の事を色々思い出していたら、直ぐに荷物を整理し終わった。


「うん、大丈夫。」


私はそう言って自信を付けて、立ち上がると近くの穴の前に移動し探索し始めた。

穴の大きさは、大柄の男性1人位の大きさであり、もちろん私が通る分は問題ない。

私は警戒しつつ前から敵が来ても対応出来るように、私はナイフを片手に持ち、魔法「ライトアイ」を使って明るさを確保しながら前にゆっくり進む。

魔法「ライトアイ」は魔力が続く限り暗視あんしの効果を付与する、中級の魔法使いだったら使える魔法であり。その便利さ故に、中級魔法使いになったらまずこれを覚えてね。と言われるくらいだ。

私はその魔法を使い前を確認していたら、ある変化が見えた為。

私はすぐさまライトアイを切り、ゆっくりと前に進む。その変化とは、ここが地下なのに青白い明かりが見えたからだ。そういう場合は大抵ダンジョンの場合が多く、私は魔力を温存するべくその魔法を切った方がいいと判断した。

私は1歩、また1歩と慎重に前に警戒しつつ前に進んで、穴から出ると...


「わぁ....」


私は驚きそんな声を漏した。

その訳は私の目の前には信じられない...

見たことも無い光景が写っているから...


この空間はとてつもなく高い、塔?のような建物と道端にある何かはいくつも並んでいて、道端からある何かは青白い光を放ち、その光は建物表面に反射しながらもこの暗い空間を照らしていた。

私はその光景を幻想的だと、綺麗だと、思ってしまう。


私は警戒する事を完全に忘れて、建物や光を出しているものに興味を引かれて近づくと。じっくりと、どうなっているのかを確認し始める。


まずこの建物の材質はなんだろう?石だろうか?いや、この銀色だし、そもそも光沢があるし...私の知らない素材で作られてるのかな?というか上から銀色の液体が垂れてきているから、氷見たいに何かを凍らせていて...いやそれだったら...砕けるかするはず...少し叩いたけど、結構硬いな...


この光を出している物も見たことがない。一瞬、街灯のようなものかと思ったが、よく見たら。歪に絡み合ったピンクと紫色の2つのツルが多分300cmぐらい伸びてて、そのツルてっぺんにつぼみのような包まれた丸い何かがあった。どうやらその蕾が青白い光を出してるらしく、あまり眩しくない優しい光にも関わらず、建物数個分先まで足元がくっきり見えるぐらい周りが照らされていた。


私はこの空間をとても楽しく感じると同時に本当の冒険者になれたんだ!という気持ちで1杯になった。


冒険者はその名の通り、この世界を冒険し新しい発見、伝説の的な物を倒したり見つけたりする、そんな夢に満ちた職業。しかし新しい発見をする物はほんのひと握りであり。発見したとしても意外と昔の冒険者が見つけてた物が多かったりで挫折した人もいる。


でも、今回は私が聞いたことも無い見たことも無い、私が見てきた本達にも乗ってない不思議な夢みたいな空間で、私はそんなひと握りに慣れたという幸福感と、どんな発見があるのか!どんな物があるのか!という気持ちから来る高揚感で少し走った後、とりあえずこの都市の中心に行こうと思い、今まで出したことの無いスピードで都市中心にむかった。


(あれ?中心は意外と普通...?)


しばらくして、私は街の中心に着いて少しガッカリしてしまった。理由はてっきり中心には何か巨大な建物があると思ってたんだけど、中心には噴水がポツンあるだけだったからだ。

私はさっきまでのテンションからガクッと下がって、少し頭が冷静になり、いまさっきまで警戒を怠っていた事に気づいた。今回こそはとさっきまでの足取りとは違い、ゆっくりと慎重にトラップがないか床や周りを確認しながら噴水まで近づき、特に何事もなく噴水に到着すると。


「レイピア」


噴水の近くに"錆びていない"レイピアが落ちていた。鞘を一瞬探したがどうやら近くに無いらしく、レイピア以外には特に見つからない。


(そもそもなんで地下に都市があるの?そしてこの都市に住んでいる人...というか生物は?そしてこの都市はいつ作られた物なの?)


冷静になった私の中に不意に1つの疑問が湧き上がると、繋がるように様々な疑問が湧き出てくる。今目の前にある錆びていないレイピア。ここを照らしているであろう蕾のような光源。いまさっきよく観察し分かっていた気になっていた物でさえも、今思うと仕組みがよく分からない。私はその考え達を一旦放棄するとゆっくり歩き、そういえば入っていなかった、近くの建物の入口だと思われるドアの前に来ると。ナイフを取り出し、警戒しながら入ろうとしたが、ドアノブのような物がないため入れなかった。


(どうする....?蹴ってみ...いや、そもそもドアの建材が石のような何かだ。無理に蹴って開かないならまだしも、やってみたら変な目に会うかも...)


そんな事を考えとりあえずドアぽい所をに触れて見たが反応はない、私はどうしようかとドアのあちこちを見ていると、右下ら辺に引き手のような変なくぼみがあった。

私がそこに触れて見るとドアが下に落ちてってしまう。


「そうなるの!?」


びっくりしてそんな声を出してしまい、慌てて周りを見渡して見るけど、やはり気配も何もいない。

私は安堵しつつとりあえず建物に入ってみるが何も無い空間が広がるだけだった。後ろからガシャンと音がしたため、振り向いてみゆがやはり扉がしまっただけで安堵すると、前を向き、探索をし始める。

そして少し探索してみたが置物を始め何も無い、家具を初めとしたイスや机はもちろん、トイレやお風呂という必要最低限の設備までなかった。もう少し探索したが、私は代わり映えのない建物内にガッカリしていて、そういえば調べてなかったと、レイピアのことを思い出して、急いで建物から出ると、噴水の所に着く。そして、置かれていたレイピアを手に取りよく見てみる。

レイピアの等身は一瞬、鉄製かと思ったが少し紫がかっており。鍔は黒い歯車になっている。レイピアの特徴である柄、スウェプト・ヒルトは、黒い歯車の鍔から多分...等身と同じ金属で作られたであろう、タコの触手様な物が1本伸びている形で作られていた、その今にも動き出しそうな気がするほど精密に作られていた触手や、錆びていないレイピアを見て疑問を浮かべる。


(これほど精密に作られていて、どれくらい経ったか分からないけど。そして水のそばにあって、少しも錆びていない金属....どういう仕組みなの...?)


そもそも、建物内部に物ひとつ無いのに何故これだけ残されているのか。という疑問があったが、今の私はそんな考えも浮かばず、レイピアをその場で少し使ってみる。私が普段使っている剣とは違い、剣を突くという動きは初めてで、自分でも分かるぎこちない動きだが、剣よりこっちの方が私にあってるように思えた。

私は普段、モンスターを倒す時は真正面から倒すのではなく、よく観察して敵の弱点をある程度探ると、物を投げたり、別方向から魔法をはなったように偽造して相手の注意を引き、素早く近ずき不意を着いて倒すという戦法をとっているため。剣よりこっちの方が弱点を突きやすく、動きが少ないため、素早い行動が出来ると感じた。


「よし、こんなものかな?」


私はしばらく練習していると、(そろそろ脱出しなくちゃな)と思い立ち、レイピアを適当なところに置くと、蝋燭ろうそく程度の青色の光を放っている宝石をポーチから取り出す。これは設定した所に1度だけ瞬間移動テレポートできるポートストーンという名前のアイテムで、発動するには少しの間、中級魔法を使うぐらいの魔力を貯めるだけという優れもの。もちろんそんな凄いアイテムが安い訳なくて、値段はとても高く。これ一つで家建てれるレベルである。

私は念の為持ち物を確認し、忘れ物がないか確認すると瞬間移動を発動するため、片手で宝石を握り魔力を流す。


...何も起こらない。

私は驚き、慌てて手に持っているポートストーンを見渡すが、本来発動するならば出てくる魔法陣も、まるで太陽の光が目の前にあるような眩しい青白い光も出てこず、その宝石はただいつも通り、蝋燭ろうそく程度の青白い光を放っているだけだった。


(偽物...?いやいや、そんな事ない。お父様はちゃんと確認し...いや確認しすぎるタイプだ。ということは不良品...?いや、同じ理由でそんな事はない。だって、あのお父様だよ?お母様の誕生日プレゼントである、宝石のネックレスが本物か、わざわざ知人の凄腕鑑定士を10人集め確認させたお父様だよ?不良品や偽物を私に渡すわけない。...まさか、あれか?)


私は瞬間移動が発動しない原因を1つ考え出し、いつの間にかその場でぐるぐるしていた足を止め、ポートストーンをポーチに入れて、目を閉じて体に意識を集中する。すると急に魔力の残りが少なくなってる時に現れる脱力感に久々に襲われ、「ふゃ!」という素っ頓狂な声を出してその場に倒れてしまう。私は手を握ったり開いたりして、まだ体が動くのを確認すると、ゆっくり体を動かして近くの壁に背中を預けて座る。


(まさか魔力を吸い取られる空間...って訳じゃないよね?だって今も少しづつ回復してるし...多分残り少ない魔力を宝石に使いすぎいや、それより、モンスターに対抗できる策考えないと魔力もないし、武器もまともに使えるかどうか....どうしようかな...)


とそんなことを考えていたら、スキルのことを思い出す。


(そういえば、私のスキルなら使えるのかな?ここはいつ作られたかさえも分からない都市だし、もしかしたら私のスキル、古代を受け継ぐが使えるかも...?)


そう思い立った私はスキルを発動させた。


古代を受け継ぐインヘリティングエンシェントタイムズ!」


私がスキルを発動すると、都市の全体の床や建物に白い亀裂が走だし眩く光り出す、白い亀裂は徐々に広がっていった、私は眩しくて途中で目を瞑じて顔を腕で隠すしてしまったが、少しすると白い光が収まり。私がゆっくりと目を開けると都市全てが消え去って、目の前には何も無い空間が広がっていた。

その光景を見て私が呆然と目をぱちぱちしていると、近くに例のレイピアが落ちているのが見えた。私はそれを拾いに行こうと、魔力が回復したのか立ち上がろうとして歩こうとした瞬間、頭の中に色んな情報が流れてきた。


「ソリキッド....」


私は少し困惑と痛みで頭がぼんやりしていたが、少しして頭の目を覚ますと、私は右手をレイピアの方に向けて頭の中に流れてきた言葉を言うと、手のひらから銀色の液体が漏れ出し拾おうとしていたレイピアを飲み込む。私はそれに驚くことなく魔力を流し、液体を引っ込ませるイメージをする。すると、その液体は私の手に飲み込まれていき、途中で何かを掴む、その感覚に私は右手を見るとそこにはあのレイピアがあった。


(魔力を流す事で、自分がイメージした事をする金属を出すスキルか.....元々この都市に使われていた資材のスキルか?)


いまさっき初めて使用したスキルに興奮と興味を示しつつも、私は魔力が回復した事を確認する。そして何も持ってない左手を使ってポーチに入れていたポートストーンを再び取り出し、目を瞑り瞬間移動をする為の魔力を貯め終わるとポートストーンからこの空間を包み込むほどの青白い光が溢れ出た。


私はゆっくりと目を開けると。私の住んでいる、街がそろそろ日出に照らされようとしている光景が見える。


「そんなに色々探索してたのね....」


私はそう驚きながらも小さく呟き、ポートストーンを持っていた左手を見てみる。やはりポートストーンは青白い光を失って灰色になって砕けていた、私はそれを確認するとその場でそれを捨てて、レイピアを持っている右手に少し違和感を覚えつつ、ゆっくりと自分の家に足を進めるのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る