ディアーリスポーンズ:東京発地獄行きニート、死後FPSプロを目指す

終 カズサ

1.冥界より願いを込めて

 自分が自分でなくなってしまうという事に未だに実感がわかない。恐怖と不安が入り乱れて呼吸が浅くなる。

 親という者がいるらしいが、出会ったことはない。ただ生きていただけで、別に救ってくれと願った訳でもないが、そういう事をする人間はお人好しというそうだ。

 だからと言って血が繋がっていればみんなお人好しという訳でもない。

 

 毎日生きる為に痛みと苦しみに悶えていたが、その価値を決めるのは自分だろう。すぎてしまえば大体の事は非常に都合よく、かつ非合理的に淘汰されていくように価値観が生まれ変わる。

 

 新幹線の中で窓の外から宇宙を眺めていた。地球に着くまではもう少し時間がかかるそうで、初めのうちは絶景に思えてきたこの景色も結局は黒い世界に光が散らばっているだけである。人間が見えている色は全く違うと知ったが、色が違うだけで結局は同じ景色であることに変わりはない。

 

 気づけば寝てしまっていた、うたたねである。こういう時は毛づくろいをせねばならない。

 ぼくに夢があるのだとしたら、ずっと寝ぼけてだらだら過ごしていたい。ただそれだけである。今回ぼくは運命の人を探しながら養われるために生きるのだ。

 そしてもう1つ心配がある。ぼくは本当に運命の人を見つけることが出来るのだろうか……しかし考えても答えは出ないので、またひと眠りする事に決めた。

 こういう時は何も考えずに寝てすごせばそれでいい。

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