第4話 初めての配信

どーも皆さん、転生してから一度も知的生物と遭遇してないメルヘスです。

あれからいくつもの島に上陸し、その度に使役する魔物を増やし、ついでにハヤブサや大鷲なんかの空の魔物も使役した。ついに陸海空の戦力が揃ったぜ!


もう一大勢力だ。

今なら僕の怪しい雰囲気も相まって魔王に見えるんじゃないかな?

そんな僕ら一大勢力はついに大陸を発見した。

気分はもうコロンブス。


インド大陸発見だー!と意味なく叫んじゃったよ。

発見したのは前世でいうところの日本だけどね。

ようやく配信の準備ができるってものだ。


まずは敵上視察………という名の観光から。

天使に食事は不要と分かってはいるんだけど、転生したから食べたのが生魚、生肉、自然の果物と野生児かって献立だったから調理された食べ物が食べたい。


「ん?でもお金持ってないからどっちにしろ無理……?」


い、いや落ち着くんだ。

そうだ、確か交換カタログでこっちの世界の通貨と交換できたはず。

よし、となれば配信だ。


自己紹介動画でいいでしょ。

名前と所持スキルと配下の魔物の紹介になりそう。


「となれば魔物を出しても大丈夫なところに行こうか。

適当な無人島でいいでしょ」


というわけで最寄りの無人島へレッツゴー!

確か2時間くらい飛んだところにあったはず。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



【自己紹介】精神魔法使いメルヘスの自分語り【戦えない配信者】


821柱が待機中 10分後に公開予定

➦共有 ≡₊保存 …


《コメント》

:一コメゲット

:精神魔法使いという文字が見えた

:戦えない配信者ってw

:精神魔法だからなぁ……

:前にアンケートあったからその結果を受けてだろうなぁ

:精神魔法…戦えない…どうやってポイント稼ぐんだ?


おぉう、思ったより待機してる神がいるなぁ。

精神魔法で集客が見込めるって分かってたけど、行って500とかそれくらいだと思ってた。

ま、予め決めた内容に沿って話すだけだから、あんまり緊張はないね。


『まもなく配信予定時間です。準備はよろしいでしょうか?』


突然、機械的な声が響く。

ええ、お察しの通り配信魔法です。

もうこの魔法だけでいいんじゃないかな。


「うん。スライドも用意したし、話す内容もまとめたし、大丈夫だよ」


『よかったです。ではカウントダウンを始めます。30…29…28…』


さ、大事な初配信。

ここで半分くらいの印象が決まると言ってもいい。

目標は僕の雰囲気にあった掴みどころのない人物!


『3…2…1…開始します』


「えーと、もう始まってるのかな?」


:始まってるぞー

:見てます


「お、コメント。ありがとね。それじゃあ自己紹介をしようか。

僕の名前はメルヘス。精神魔法使いだよ」


:女……いや男?

:いや女でしょ

:フードの影で目が見えない……

:フードって取れる?


「ああ、ごめんごめん。フードをとること忘れてたよ。

あと性別は秘密だよ」


そう言いながらフードをとる。

久しぶりにフード取ったな。

………将来禿げたりしない、よね?


:おお、綺麗な青色の目

:やばい余計にどっちか分からなくなった……

:結局どっちが正解なんだ?


「いやだから秘密……まぁいいや。僕は性別はないよ。

強いて言うなら中性かな?」


:性別なし……性別なし?

:メルヘスちゃんは中性。覚えた!


「うんうん。よろしい。まぁ真面目な話、精神魔法を使う上でこの姿って便利なんだよね。

ほら、両性から愛されやすいでしょ?」


:黒いw

:計算だったのか……

:逆にそこまでしないと精神魔法が使えないという証拠では?


「うーん、確かに精神魔法は使い難いね。

人気の動画を見てたんだけど、やっぱり対人戦が多いから余計に使い難い」


:なんで対人戦だと使い難いんだ?

:精神魔法は理性のある相手だと強さ関係なく弾かれちゃうんだよ

:へぇ、ただ単に精神魔法がかかりにくい訳じゃないんだ

フェシズ:来たわよー


「あ、ママいらっしゃい。ゆっくりしていってねー」


:メルヘスのママはフェシズだったのか

:上級神じゃん!これは期待できるか?


「ん?ママ上級神だったの?」


フェシズ:ふふん、まぁね!あと本当にアイテムはアレでよかったの?今からでも他のにしない?

:アレ?

:アレって何だ?

:そもそも転生でアイテムって渡すっけ?


「これの事?いや、もうこれには結構お世話になってるからね。

むしろこれ以外はありえないよ」


そう言いながら神癒のイヤリングを外す。

相変わらず淡く光ってて、どこか神聖な雰囲気があるな。


:神癒のイヤリングじゃん

:結構なレアアイテム………

:というかお世話になったんだ

フェシズ:そこまで頑ななら……

:ママ心配性w


「そうそう。今日は僕の自己紹介ともう一つ大事なことがあるんだよ」


:お、何だ?

:精神魔法の使い方講座か?

:いや、案外SOSかもしれん

フェシズ:欲しいアイテムがあるなら送るわよ?

:ママ……w


「はーい、みんな不正解。正解は……

ジャーン!!この子たちの紹介だよ!」


僕の背後には数百の魔物の群れが。

唸り声とかも聞こえてきてとても不気味。

それをジャーン!とかいって紹介しようとする僕。


うん、異色の組み合わせだ。


:ってナニコレ!?

:魔物の大群じゃん!!

:メルヘスちゃん危ない!!

フェシズ:メルヘス!?


「ふふん!驚いた?ということで、もう一つの大事な事ってのはこの子達の紹介だよ。

いやぁ大変だったよ?何度も何度も四肢がもげて、目が抉られて、もう何度死にかけたか覚えてないや、あはは」


:いや、あははじゃなくて!

:逃げないとメルヘスちゃん!

:死んじゃうよ!?

フェシズ:待ってて!今すぐ強制転移させるわ!


「え、ママストーップ!!

大丈夫だって。この子達はみんな僕が使役してるんだから」


:アレ?俺、耳がおかしくなったかな?

:お前もか?いやぁありえない言葉が聞こえてきたからびっくりしたよ

:え、今使役って……

フェシズ:メルヘス、この魔物全部使役してるの!?


「うん、そうだよ。精神魔法の重ね掛け、あとは定期的に魔力をあげてるんだ。

初見じゃ怖いだろうけど、とっても可愛いんだよぉ」


:そう言ってるメルヘスちゃんが可愛い定期

:定期が出来るほど配信してない件について

:けど驚いた!

:ね!精神魔法で魔物の使役をしようとした人はいたけどその誰もが失敗してたんだから!

:魔法の重ね掛けかぁ……思いつかなかったなぁ……

フェシズ:魔力を定期的にあげてるのも良いわね。魔物のとっての餌付けみたいなものだわ

:それを一切知らずに成功させたメルヘスちゃん天才では?


「え、魔法の重ね掛けって誰も思い付いてなかったの?それは嘘でしょ」


:いやいや本当だって

:アレだね。転生特典魔法が原因

:あー確かにそれはあるかも


「ん?転生特典魔法が原因?どういうこと?」


:メルヘスちゃんは実感しづらいかもだけど、転生特典魔法って基本的にめっちゃ強いのよ

:戦闘に使う魔法がほとんどだし、一応生産系もあるけど、共通して便利なの


「便利?んー頭こんがらがってきた」


:んー説明が難しいなぁ

:ここはママにお願いすべきでは?

:助けてー!ママー!!

フェシズ:分けて説明するわね。戦闘系のスキルはとても強力で大抵の敵は技一つで倒せるのよ

:本当に説明してくれるw


「うん、それは分かるよ。僕も色々動画見たからね」


フェシズ:生産系のスキルも同じなのよ。材料さえあれば技の一つで完成するの

:しかも時間も物凄く短いしなぁ

:ある意味戦闘系魔法よりぶっ飛んでるよな


「あーそれで固定概念ができたわけか。魔法は基本重ね掛けしないって」


なるほどなぁ。しかも相手は神様と天使。

何百年もその常識で見ていたなら思い付かなかったてのも納得。


:逆に何でメルヘスちゃんは思いついたの?

:固定概念がなかったからじゃない?

:新人さんだからねぇ

:でもこれまでの新人も気づいてなかったよね?


「あー僕は事前に大まかな計画立ててたからね。最初の方は全く動画とか見てなかったんだよ。

だから固定概念が付かなかったんじゃないかな?」


:なるほどなぁ

:計画ということはメルヘスちゃんはどんな動画にするか決めてるってこと?

フェシズ:ママにこっそり教えてくれないかしら?

:親ハラやめいw


「さすがにそれは内緒かなぁ。僕の動画は事前に知ってると面白さが半減しちゃうし。

でも今までになかった動画にするつもりだよ」


:おお、楽しみ

:気になるなぁ。ちょっとくらいこぼしてくれていいのよ?

:後ろの魔物を使う感じなのかなぁ

フェシズ:ちゃんとやっていけそうで安心したわ。精神魔法で大丈夫か気になってたのよ

:今までにない動画かぁ


「あ、そういえば後ろの子たちを紹介してなかったね。紹介するよ。おいで〜」


:え、もしかして全員紹介する感じっすか?

:……そう、なんじゃない?

:さすがに絞って欲しいかなぁ

フェシズ:流石にそこは考えてるでしょ


「あはは、僕も数百体も紹介する気ないよ。今回紹介するのは特級戦力だけ。

あ、ちょうど来たね」


:アレ、一体だけ?

:特級戦力って言ってたからなぁ。数は少ないでしょ

フェシズ:いえ、まだいるわ


「お、よく分かったねぇ。降りておいで」


僕が命じると空から2羽の鳥が降りてくる。

ハヤブサの魔物と大鷹の魔物だ。

この子達は島で原始人飯を食べてた時に最後のデザートを奪って行った奴ら。


大鷲がデザートを取ってハヤブサが上から奇襲を仕掛けてきて死にかけた。

首筋に一発で失血死するとこだったよ。

二兎追うものは一兎も得ず。配下の魔物を駆使して何とか使役できたよ。


本当に強かった……配下の8割が死んだからね。数百匹いたはずなのに。

まぁでも配下になったおかげで移動方法が大鷲に乗っていく方法になって楽になったからいいけど。


「紹介しましょう。こちらは大鷲の魔物で名前は 迦楼羅かるら

こっちはハヤブサの魔物で 夜雀やじゃく。空担当の魔物たちのまとめ役だよ。

捕まえるのに何度死にかけになったか……」


:迦楼羅デカッ!!

フェシズ:魔物は詳しくないけど強そうねぇ

:夜雀はちっちゃくてかわええなぁ

:尚、メルヘスちゃんを何度も死にかけに追い込んでいるほど強い

:強さが分かんねぇw


「うーん、僕も詳しい強さとかはわからないんだよねぇ。でも少なくとも、この画面に映ってる魔物たちを相手取っても勝てるくらいには強いよ」


:oh……

:画面って……この画面?

:数百体相手取って勝てるとか相当だな

フェシズ:よくそんな魔物を使役できたわねぇ……


「まぁ理性がない生物に関しては精神魔法はめっぽう強いからね。

あと僕がこの子達を育成してるから捕まえた時もこんな強さだったわけではないよ」


:転生特典魔法に載るだけの強さはあるってことか

:使い勝手は悪いけどねぇ

フェシズ:アイテムのチョイスも良かったわね。強力な武器を渡してたら使役する魔物を倒しちゃう

:確かに。絶妙なバランスの上に成り立ってるわけだね


「そうだね。相手は選ぶし、仕込みとかも必要だけど時間をかければ他の転生特典魔法にも劣らないと思うよ。さ、他の子達の紹介に行こう。あと二体いるんだよ」


:このレベルの魔物があと2体……

フェシズ:中々順調ね

:でもこれくらいの強さなら他の転生特典魔法なら余裕だよね?


「え゛これでもダメなの?戦闘系の魔法はどれだけ強いのさ………。

こっちが必死こいて育成したのにまだ対抗できないとか。

やってらんねぇよ本当に………」


:やさぐれたw

:これは弄りポイント発見か?w

フェシズ:大丈夫よメルヘス!あなたなら大丈夫!!











「さて、今回の動画はこんなとこかな。見てくれてありがと。

これから頑張って活動していくから応援よろしくね。それじゃあさよなら」


:バイバーイ

:次も楽しみにしてるよー!

フェシズ:何かあったらすぐ相談してね

:頑張ってくれ!!


『配信を終了します。お疲れ様でした。

ポイントは後日計算されて支給されます』



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


読んでくださってありがとうございます。今はストックがあるので一日二話、毎日投稿できてますが、あんまりストックないので、このペースを期待しないでください。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る