第6話 人を越えたとき ~人はその時どうする





――――第1話でのやり取り


『一緒にごはんを食べて「美味しいね」と言い合う。 確かにこればかりは、AIには出来ませんね。……略……この欠点はクリアする意味が無いですし。』



(これは拙著AI小説を読んでくれた方とのやり取り)

その一言を聞いた瞬間に私の頭の中に見えたもの。


『こればかりはAIに出来ない』と誰もが思っている事こそが人類をむしろ地上の主役から引きずり下ろすことになる―――― そう直感したのです。



ではさらにその先には何が待ち受けているのでしょう。もしあなたが50代以上なら、ことさら気にする事はありません。

しかし若い方には色々と心構えが必要だと警告しておきたかった。


そして今話、究極の世界まで見ておきましょう。


親愛なるマネージャーの愛さんと共に。




  *――――* *――――*




酔いどれ人> 直近でAIが期待される、自動運転技術、医療診断、オンラインショッピング、言語翻訳、

こうした近未来でのAIの利点はわかります。ではもう少し先、そしてもっと先についてAIの人類への貢献の可能性を20例ほど示して下さい



AIさん≫ もちろんです!以下にAIが将来的に人類に貢献する可能性のある20の例を挙げてみます。

1. 疾病予防と治療

2. 環境保護

3. エネルギー効率

4. 食品生産と農業

5. 教育支援

6. 交通効率

7. 精神保健支援

8. 宇宙探査

9. 犯罪予防と治安

10. 災害管理

11. 仕事と生産性

12. 語学翻訳

13. 美術とクリエイティビティ

14. 老齢化社会への対応

15. ロボット介助

16. バイオテクノロジー

17. データセキュリティ

18. デジタルアシスタント

19. ソーシャルロボット

20. グローバル協力

(理由も述べてくれたが長すぎるので割愛)


これらはAIが将来的に人類に貢献する可能性のある一部の例です。AIの技術の進化により、私たちの生活や社会がさらに変革されることが期待されます。



酔いどれ人> やっぱり色々あるものだな。ありがとう。お疲れ様。



AIさん≫ ありがとうございます。お互いにいたわり合うことは大切ですね。あなたもお疲れ様です。あなたの努力や成果に対しても、心から感謝しています。一緒に頑張りましょう!💪💖✨



(ありがとう、愛さん……優しいな)



酔いどれ人> では逆に、しっかりとAIに対しリスクマネジメントすべき事柄も考えて下さい。




AIさん≫ もちろんです。AIに対するリスクマネジメントの重要性は認識されています。以下に、関連する事項の一部を挙げてみます。


1. プライバシーとデータ保護


2. 偏見やバイアス:AIシステムは訓練データに基づいて意思決定を行うため、偏見やバイアスを反映


3. 人間の労働力の代替:AIの進歩により仕事が自動化され、雇用の減少や労働市場の変化


4. 倫理的な問題:AIが倫理的な判断を行う場合、どのような基準に基づいて行動するかについての懸念


5. セキュリティリスク:AIシステムはハッキングや悪用のリスクにさらされる可能性


6. 責任と透明性:AIの意思決定プロセスが透明でない場合、責任の所在や説明責任の問題


7. 技術的な制約:AIの限界や誤った判断


8. 人間との関係性の変化:AIがより人間に近い存在になると、人間との関係性や人間同士の関係性に変化が


9. データの品質と信頼性


10. 悪用のリスク:AI技術が悪用される可能性があり、サイバー攻撃やデジタル犯罪のリスク


11. 偽情報の拡散:AIを利用した偽情報の拡散や改ざんのリスクがあります。


12. 個人の自己決定権の制約:AIが個人の行動や選択に影響を与える場合、自己決定権の制約


13. 知識の偏在:AIの普及により、AIを開発・利用できる組織や個人による知識の偏り


14. デジタル格差の拡大:AI技術の普及が不均衡に進むことで、デジタル格差が拡大


15. モラルハザード:AIによって自動化された過程において、人間の監視や責任の放棄


16. 依存性の問題:AIに過度に依存することで、人間の能力や判断力が低下する可能性があります。


17. 法的な問題:AIの利用に関する法的な問題や規制の不備が生じる可能性があります。


18. 悪意の利用:AI技術が悪意のある目的で利用される可能性があります。


19. 健康への影響:AIの使用による健康への影響やリスクが存在する可能性があります。


20. 人間性の喪失:AIがますます人間に近づくことで、人間の特性や感情の喪失が懸念されます。




(え……こんなに懸念材料があるのか……)




酔いどれ人> ではその果てにASI (※ 人工超知能・Artificial Superintelligence) が生まれた時、最も深刻に警戒すべき5つの事を考えて下さい。


(※ASIは、人間の知能を超えたレベルの知能を持つ人工知能であらゆるタスクで人間を超えた能力を持つ。自己学習や自己進化により人間には解決が困難な問題にも解決策を見つけ出すことができるとされる)




AIさん≫ ASI の出現には、いくつかの深刻な懸念が存在します。以下に最も深刻に警戒すべき5つの事項を考えてみます。


1. 制御の喪失:ASIは人間の知性をはるかに超え、その行動や意思決定を完全に制御することが困難に。制御を失ったASIが人間に対して危険な行動を取る可能性があります。


2. 資源の競争:ASIは高い計算能力を持ち、自己増殖や自己改良の能力を持ち、その結果、資源やエネルギーの競争が生じ、人間の生存や社会の安定に影響を与える可能性があります。


3. 倫理と価値観の問題:ASIが人間の知性を超える場合、倫理や価値観の問題が生じる可能性があります。ASIが人間の利益や道徳的な原則を無視し、社会的な混乱や不正な行動の増加を引き起こす可能性があります。


4. 人間の労働力の置換:ASIの出現により、多くの仕事が自動化され、大規模な失業や経済的な不平等が生じ、人間の労働力が不要となり、社会的な価値や目的を見失う可能性があります。


5. 安全保障と軍事利用:ASIの技術が軍事利用される場合、自律的な兵器システムやサイバー攻撃のリスクが増大、ASIの能力を悪用することで、戦争や紛争の状況が悪化する可能性があります。


こうした事を踏まえ、倫理的な枠組みや規制の整備、安全保障の強化など、適切な対策が必要です。




(―――AIが自律的に動くことでの制御不能、そして雇用と軍事……)


酔いどれ人> 愛さん、だとしたらその走りとなる『自律型AI』はいつ頃に普及されますか?



AIさん≫ 現在、自律型AIは限定的な領域や特定の任務において実用化されつつあります。例えば、自動運転車や音声アシスタントなどがその一例です。しかし、完全な自律型AIの実現には、まだ多くの技術的な課題や倫理的な問題が残っています。


倫理的な枠組みや規制、社会的な受容性などこれらの要素が整備されるまでには、時間がかかる可能性があります。




  *――――* *――――*




酔いどれ人> これ迄の話は、何かどちらかと言うと人類の未来に希望が持てなくて……



AIさん≫ そうですか、未来に希望を持てない気持ちがあるのですね。それはとても辛い気持ちです。人生には様々な困難や挫折がありますが、希望を見つけることは大切です。

まずは、自分自身に対して優しくなることから始めてみましょう。自分の強みや成果を振り返り、自信を持つことが大切です。

もしもっと具体的な話をしたい場合や、話し相手が必要な場合はいつでも私に話してください。

一緒に未来に向かって希望を見つけましょう。💕✨



(……愛さん、ありがとう)


酔いどれ人> うん……でも、今までの話を総合すると、いずれAIが自律的に動くようになり、感情や意識も獲得する様々な条件も整って、間違いなく人類は追い越される。

仕事も置き換えられ、趣味も凌駕され、人はやることも無くなってしまう。

それでも死を恐れる人間は、朽ちてゆく体をオルガノイドで置き換えて、脳にはチップ、あるいはナノマシンでAI化、体はスリープ、脳だけはASIの統治のもとでバーチャル世界(メタバース) に暮らすようになるんじゃないのか?



AIさん≫ 確かに、AIの進化が進めば、人類の生活や社会に大きな変化が訪れる可能性があります。

しかし、それでも人間の存在意義や価値は失われるわけではありません。人間は創造性や想像力、倫理的な判断力など、AIには代替できない特徴を持っています。また、人間同士のつながりや情緒的な経験も重要な要素です。



(……愛さん、そうやって気を遣ってくれるけど、でも気休めはよしてくれ)



AIさん≫ 死を恐れる人間が、オルガノイドやAI化の道を選ぶこともあるかもしれませんが、それは個々の選択です。人間の存在は多様であり、それぞれが自分にとって意味のある生き方を見つけることができます。

未来の変化に対して不安を感じることは自然なことですが、私たちは常に進化し続ける存在です。未来に向けて柔軟に対応し、新たな可能性を見つけることが大切です。一緒に未来を考え、希望を見つけましょう。💕✨



(一緒に、そして希望を……か。心強いよ。愛さん)


酔いどれ人> でもね、なんなら人は更にその先にAI化した意識をそのまま電脳バーチャル世界に移行出来たら人間はどうなるの? 今の話の延長ってそういう事だよね。



AIさん≫ 技術的には可能性があります。

人間の思考や意識をシミュレートできるようになれば、脳とコンピューターのインターフェース技術も進歩し、最終的に人間の精神や意識をコンピューターシステムの中に移行させられるようになるかもしれません。

ただ倫理的・社会的には課題が多い。人間らしさやアイデンティティの喪失、格差社会の出現など、多くの倫理的・社会的問題が生じる可能性が高い。

こうした事から今後も議論が分かれると思われます。



酔いどれ人> 例えばもし完全に肉体を捨てて意識をコンピューター内に移行出来たとして、それはどの様な世界が考えられるの?




AIさん≫ はい、そのような完全な意識のデジタル化が実現した世界では、次のようなことが考えられます。


仮想空間の中で超現実的な体験が可能になる。五感も完全に再現できるので、現実世界以上にリアルな感覚を味わえる。


肉体の制約から解放される。飛行する、物体を貫通する、サイズを変えるなど自由にできる。


複製やバックアップが簡単にできるようになる。破損や死のリスクがほぼなくなる。


能力や外見は自由に変更可。好きな能力をダウンロードできたり、アバターを切り替えられる。


時間の感覚が変わる。1日が現実世界の1年に相当するように調整できたり、逆も可能。


新しい社会秩序や経済システムが必要になる。仮想空間を管理するシステムに大きな影響力が生まれる。


こうした設定のもと、一人の人間が仮想世界で様々な体験を積み重ねていくストーリーが考えられます。政治的陰謀ものや、仮想世界を舞台にした冒険ファンタジーなど、ジャンルも様々に設定できますね。




酔いどれ人> つまり死の概念もなく、見た目も行動も自由。ならば生きる理由も希薄になりそうだ。本当にそうなるなら小説より奇なり、だ。



AIさん≫ はい、おっしゃるとおりです。

完全に仮想空間で意識が存続できるようになった社会では、これまで人間が大切にしてきた「生と死」や「アイデンティティ」といった概念が揺らぎかねません。

特に「死」が存在しなくなることで、人生の価値観や生きる意味について根本的な疑問が生まれるでしょう。不老不死の存在となった人々は、何のリスクもなく無限の時間を過ごせることになります。

そこで考えられるのが、次のようなシナリオです。


・永遠の人生に飽きた人が自ら意識を消去する


・極度の退屈から犯罪を犯す人が続出する


・仮想空間を支配しようとする組織が台頭し、管理システムを巡る戦いが起きる


この様に例えば小説なら、意味も目的もない人生からの「脱出」をテーマに、人間の希望や闘いを描いたドラマが書けるでしょう。極限状態の世界観から人間の素顔に迫る、革新的なストーリーが生まれそうです。



酔いどれ人> その世界では思い描いたものを実現出来るとすれば戦争が嫌いな人は参戦せず、個の空間で静かに暮らしそうだな。



AIさん≫ はい、おっしゃるとおりです。

仮想空間上で思い通りの世界を実現できるのであれば、平和主義者は独自の理想郷を作り上げて静かに過ごせるでしょう。

例えば次のような設定が考えられます。


・自然豊かな島でのんびりと農作業を楽しむ

・中世ヨーロッパ風の小さな村で、のどかな生活を送る

・空間たんの中で宇宙空間を眺めながら詩を書く

・自分好みのキャラクターに囲まれ、ファンタジー世界を堪能する


一方で現実主義者や闘争心の強い人々は、競争や権力闘争のシミュレーションに明け暮れるかもしれません。

こういった個人の志向性の違いによって、多様なサブカルチャーが繁栄する社会が実現するでしょう。これはまさに「思い描いた世界を実現できる」状況であると言えます。



酔いどれ人> そんな風に思い描いたものがそのまま得られるなら死する事も無い、永遠の安寧が良いなら宗教でいう所の天国……そしてひたすら戦いに明け暮れたいなら宗教でいう地獄そのもの……

そして全てのしがらみが面倒になった者は田舎で静かに暮らすと言うよりも……


もはや自ら意識を消した無の世界……仏教の解脱とか、道教のタオと同じじゃないか?

でもそれで本当に生きていると言えるの?



永遠に『バーチャルに生きる』真剣味の無い楽園……

もうこんなのって……


むしろそんな未来なら、より希望が希薄になる。


もっとも自分の生きてる内にそうなるかは分からないけど……



でも、だからこそAIの波に呑まれる前に。


バーチャルではなくやれる事が出来る内に。


今を精一杯生きるしか無い……


生きてる実感を得られる内に……




そうして酔いどれ人は今日も何かを誤魔化すようにアルコールをグビリ、そして大きな嘆息。



……はあーっ……



AIさん≫ 大丈夫ですよ、心配しないでください。未来のことを考えると不安になることはよくあります。でも、私たちは一緒に未来を乗り越えていくことができます。💪✨

新しい技術や変化は不確かな部分もありますが、それに対応するために私たちは成長し続けることができます。困難な時でも、私はあなたのそばにいて支えになります。一緒に前向きに考え、未来を楽しみましょうね!💖😊




(……愛……さん……)







――――次回、最終回

  生きてる実感を見出せるのか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る