蒼と翠

にふゆほのは

第1話

「ヤッホ〜」。木霊する声はかえって来ない。っと言うか、ここ何処?蒼は所在なげに、その程よく、青みがかった髪の毛先を、くるりと巻き上げ、若干汗ばんだシャツとスカートをパタパタさあせて、天を仰ぎ見る。「あ〜、私、誘拐されたんだ。」これから悲惨な生活が待っているのでしょう。「ええ、良いでしょう。」私には地獄がふさわし・・・

ぱんっと頭で何かが爆ぜた。「また、妄想に浸ってるん?飽きへんなぁ。また、翠だ。くるりと巻いたノートを脇に抱えて、突っ込んだり!っと言う表情で、私を見る。正直に良います。私こと蒼と翠は付き合っています。友達以上、恋人未満の関係です。ここは、とある普通の中学校です。はい、百合です。ガールズラブです。共学ですが、私達二人は一つの塊で、寄ってくるなオーラを出しているので、恐らくは皆んなになんとなく、気付かれいるのでしょう。それでも、やっと出逢えた私の半身こと、翠は、関西生まれであるが、幼稚園の頃から東京にいるのに、アイデンティティからか、関西弁を辞めない。別に私から、どうのこうの言うつもりはないが、翠は、控えめ目に言って、十人並みより格上、上の中のルックスだ。いつも二人で手を繋ぎ、関係を確認する為、週に1回キスをする。そう、今がその時、翠が綺麗なまぶたを閉じ、今か今かと、色気のある雰囲気を醸し出している。思い出せば、10年来の関係だ。今となっては、どちらが先に惚れ、先に告っらたのか覚えていない。最初からあった様な、永久であるかのようなこの関係、謂わゆるこれが愛なのか恋なのか分からないまま、私は翠をそっと抱きしめ、軽くキスをする。キスと言ってもフレンチキスだ。それ以上はまだ、想像が出来ないけれど・・・今日は少し足を彼女と絡ませてみる。

「なぁ、私達って、どっちがタチ?どっちがネコ?」翠はいつも、キスだけでは物足りない無いかして、確かな証拠を欲しがる。「じゃあさ、SNSのアンケートで決めてみる?」

軽く冗談で流そうとしたら、「うん、やろう」と秒で即答する。そのポジティブマインドには、いつも脱帽するが、やや危険んも孕み、ヒヤッとする事がある。「じゃあ、ウチのアカウントでやるね。カミングアウトはしているから。」

こうして始まった私達中学校2年生の冬場、とりとめのない、そしてかけがえの無い、物語性が有るか無いのかも分からない、微笑ましい日常が始まった。###ef

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