第25話 短い冒険に出る日
……
それから、しばらくの時が過ぎる。
王国城で行われていた、リンとアスの補講や訓練も無事に終了して、日帰りで有るが遂に冒険へ出る日が来た!
今回の目的は、新しい仲間を迎え入れるための冒険で有り、王国城の城下町であるパプテトロンから、その隣町に当たるバリックペペンに向う。
距離的には徒歩で一時間半弱と聞いているから、朝の養護施設業務を終えてからの冒険でも問題は無い。
朝の養護施設業務を終えた俺たち三人は、普段着から冒険に出る格好に着替えて、俺たち三人は教会礼拝堂に居る神父の場所に向かう。
「スズヤ達に、神のご加護がありますように……」
冒険物語では定番の、神父からの言葉を貰ってから俺たち三人は冒険に出る。
定番言葉の後。神父は穏やかな表情で、俺たち三人に向けて話し始める。
「スズヤ達!」
「五体満足で帰って来る事を祈っています……」
「この付近を縄張りとしている魔物達は、単体ではさほど脅威では無いですが気を付けて下さい!」
「例え相手がゲル状魔物でも、油断しては成らないですぞ!!」
「魔物では最弱のゲル状魔物でも、最近は集団での攻撃を覚えたらしいですから……」
「神父?」
「その、ゲル状魔物と言うのは……スライムの事ですか??」
俺は神父に尋ねる表情で聞く。
俺の中で……ゲル状魔物と言えば、RPGゲーム定番のスライムを思い浮かべるからだ!
だが、神父は怪訝な表情で俺からの質問に答え始める。
「スズヤ……スライムですか?」
「私たちの世界では、通称ゲルと呼んでいますが……スズヤが居た場所では、ゲルをスライムと呼んでいたのですか…?」
「あっ、いえ……俺の勘違いです!///」
「神父///」
俺はバツの悪い表情で神父に話す。
この異世界では、スライムの事をゲルと呼んでいるらしい。
(ゲル……スライムって、商標登録されていたっけ??)
(まぁ、いいや……)
俺が心の中で感じていると、リンが和やかな表情で俺に話し始める。
「スズヤは相変わらずの、変な言葉を作りますね!」
「ゲルをスライムなんて言うなんて、スズヤぐらいですよ!!」
「………///」
リンの言葉で、アスも苦笑いの表情で俺を見ている。
どうやら俺は、またおかしな子目線で見られてしまった!///
……
『バタン!』
俺たち三人は教会礼拝堂から出て、アスがその扉を閉めて遂に冒険へ出る。
だが、パプテトロン市街を出るまでは当然、魔物はいないので気楽に三人は歩く。
「~~~」
「~~~」
町中の喧噪を聞きながら、俺たち三人は歩いているが……町の人達は俺たちの姿を見ても、特に興味を見せたり噂話を始めない?
俺は戦士の姿。リンは白魔法使いの姿。アスは黒魔法使いの姿をしているの!?
『あっ、勇者様のご一行様だ♪』
『頑張ってくださいね~~♪』
『勇者様!♪』
『僕も将来!』
『王国軍の兵隊さんに成る♪』
普通は上記の様に、町の人達から言われる筈なのに!?
それが気に成った俺は、後ろで歩いているリンに小声で話し掛ける。
「なぁ、リン…」
「俺たちの姿って、物珍しい部類に入るよな?」
「? 何が物珍しいですって?」
「スズヤ……」
リンは『?』の表情をしながら俺に話す。
俺は少し不満の表情で、リンに再度説明する様に言うと……
「あぁ……別に、珍しい光景では無いですからね。スズヤ!」
「町の人達は、私たちの事を王国軍の兵士と見ているのでしょう!!」
「このパーティは、基本的な編成部隊ですからね!」
「町の人達から見れば、見慣れた姿ですよ!!」
「あっ……そうなんだ。リン……(汗)」
「これが、メルメーサ王国軍の基本編成なんだ!///」
俺は、少し驚いた表情でリンに話す。
今までそんな事を、誰一人口にしなかったからだ。
すると、リンの横を歩いてるアスが、困った微笑み表情で俺に話し始める。
「スズヤさん。そうでなければナポレン王様も、私たちに魔王討伐の嘆願を出しませんよ!」
「スズヤは元旅人ですから仕方ないのですが、戦争勃発時はこの編成で王国軍は、良く遊撃に出ていたのですよ!!」
「でも、戦争の長期化で最近はほぼ無くなりましたけど……///」
「そして、戦い方も少数精鋭から集団攻撃に移行しました……」
「……だよね。アスちゃん!」
「正義感が強い人達は魔物討伐を志願して、
「集団攻撃も被害が大きいけど、集団心理でみんな魔物に突撃していくからね///」
リンは困った表情でアスに話す。
リンは父親を、アスは両親を魔王軍との戦いで失っている。
リンも正義感は強いが、アスはもっと強い正義感を持っている。
王国城内に居る黒魔法使い達は怠け者ばかりらしいが、アスは違うし、リンは白魔法使いで有るが……正義より俺の側に居たいが為に、魔王討伐に参加してくれている!?
俺たち三人は全くと言って良いほど、町の人達から声を掛けられる事は無く、町の
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