第14話 リンの決意

 リンは決意をした表情で、コハルに話し始める。


「コハルさん!」

「私に、ホーリーフレアを教えて下さい!!」


「……リンちゃんなら、そう言うと思っていた♪」

「でも……どうしようね?」


 コハルは困った笑顔でリンに話す。

 自分で禁止させておきながら、自分で禁止解除させるのだから、コハルが悩みを見せるのは当然であろう。


 しかし、アスは難しい表情をしながら、リンに話し始める。


「リンさん……攻撃魔法を唱える時は、本当に体力を消耗します」

「リンさんの魔力でしたら、ホーリーフレアを唱える事は可能でしょうが、現在の体力ではかなり厳しいはずです!」


「もし、本当にリンさんがホーリーフレアを習得する気でしたら、黒魔法使いが訓練時に受ける、体力向上訓練を受けるべきでしょう!」


「……」


(体力向上訓練か……確かに、俺も受けさせられたが、白魔法使い訓練では無かったな)


 響きこそは『体力向上訓練』で有るが、その中身は、腕立て伏せ等の筋トレやランニングが中心で有る。

 白魔法使いも体力を消耗しない訳では無いが、黒魔法使いと比べれば遙かに体力消耗が少ない。


 アスの言葉を聞いたリンで有るが、怖じ気を見せない表情でアスに話し始める。


「アスちゃん! 私はその訓練も受けます!!」

「私も、みんなの為に戦いたいのです!!」


「ぺち、ぺち、―――♪」


 リンの言葉の後。コハルは急に尻尾で床を叩き始まるが、拍手をする様な感じで叩いている。

 コハルは笑顔で、リンに話し始める。


「よし!」

「リンちゃんが其処までの覚悟が有るのなら、教えて上げよう!♪」


「わっ! 本当ですか!!」

「コハルさん!!♪」


 リンは笑顔でコハルに話す。

 コハルも笑顔でリンに言葉を続ける。


「覚えないよりかはマシだからね!」

「王者の剣を直ぐには自由自在には扱えないから、スズヤは訓練が必要だし、リンちゃんも訓練が必要に成るからね!!」


 リンはコハルの指導下で、ホーリーフレアを習得する事と成った。

 完全習得するには、大体二週間ぐらいの時間が必要だそうだ。


 俺も、王者の剣を完全使いこなす訓練をしなくては成らないから、丁度良いと言えば丁度良い?

 俺のパートナーはリンで有るが、リンはコハルの元で訓練を受ける関係上、アスが一時的に俺の訓練相手をしてくれる事も決まる。


 ☆


 ……翌日


「スズヤ! アスちゃん!!」

「行ってきまーす!」


「気を付けてな! リン!!」


「リンさん。お気を付けて!」


 朝食の後片付け後。リンは笑顔で、俺とアスに出掛けの挨拶をする。

 俺とアスは、和やかな表情でリンを見送る。


 リンはコハルとの魔法訓練の為に、王国城に向かって行った。

 リンが王国城に向かって行くのを見ながら、アスが穏やかな表情で俺に話し始める。


「リンさんは、魔法訓練に出掛けましたね…!」

「……私たちも市場に買い物ですか?」


「うーん。アスは、子どもたちの纏め役だからな~~」

人出ひとでは欲しいが、アスを連れて行っても良いのかな~~?」


 俺は悩んだ表情でアスに話す。

 アスがリンの補佐をしてくれるが、アスは子どもたちを纏めている。


 すると、アスは微笑みながら俺に話し始める。


「ふふっ。私の代わりが居ますから大丈夫ですよ。スズヤさん!」

「子どもたちの見守りは、メルコに任せれば問題は有りません!!」


「……」


(えらい自信たっぷりで言うな。アス…)

(リンが居ないから、今をチャンスと捉えているか!?)


 メルコは子どもたち副纏め役で有るし、俺たちが冒険などに出ている間は、メルコが纏め役の代役を引き受ける。

 アスが言い切れるぐらい。メルコに任せても安心なのだろう。


 ……


「僕に任せて! リン先生!!」

「スズヤ先生からウリンの杖も貰ったしから、以前より僕は強くなったし♪」


 アスがメルコに託す言葉を言うと、メルコは笑顔でアスに言う。

 ウリンの杖の杖は先日。王者の剣を授かった時に、後から支給して貰っている。


「では、しばらくお願いしますね!」

「メルコ!!」


 アスは穏やかな表情でメルコに話す。

 メルコへの言葉の後。アスは和やかな表情で俺に話し始める。


「では、行きましょうか!」

「スズヤ先生!!」


「なら、行こうか!」

「アス!!」


 養護施設。子どもたちの見守りはメルコに任せて、俺とアスは市場へ買い出しに行く。

 今日は神父やシスターが居るので、何か有っても神父たちが居るので問題は無い。


 市場に向って俺はアスと歩いていると、アスは和やかな表情で俺に話し掛けてくる。


「こうやって、二人で歩くのは初めてですね!」

「スズヤさん!!」


「……そうだね。アス!」

「二人で歩くのは初めてだね!!」


 俺も和やかな表情でアスに話す。

 こう成らない様に、普段はリンが邪魔をするからで有る。


 アスはその表情で、俺に言葉を続ける。


「近い内にまた冒険に出ますが、早く魔王を倒したいですね!」

「そうすれば……私たちの世界は平和になりますし!!」


「だね。アス!」

バンタツミまおうの強さは未知数で有るが、早く魔王を倒して、俺も子ども食堂をパプテトロンに開きたいよ!!」


「あぁ、以前。そんな事を言っていましたね♪」

「その夢も早く、実現出来ると良いですね。スズヤさん!♪」


 アスは笑顔で俺に話す。

 俺とアスは会話を楽しみながら、市場に向った……

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