第3話奴隷の正しい使用方法と、一人立ちさせる方法

私がこの屋敷に来て1週間がたった。

最初は怖かった、私達の主人が目の前でデカイ獣人を一発KOしたのだ、当然私達奴隷はビクビクと体を震わせた。それに1人の奴隷が反乱を犯したのだ、当然私達全員が罰を受けるのは当然だ、しかしこいつ貴族はさっき倒した獣人を担ぎ、笑顔で私達を屋敷の中に招いた。


「「「「「ようこそお越しくださいました」」」」」


出迎えたのは、ここで働いている。メイドや執事の人たちだったのだが、なんでこの人達は私達見たいなゴミクズに、お辞儀なんかして丁寧に迎え入れているのだろうか?


彼女の考えと同じように奴隷達は驚いていた、なぜ私達にお辞儀をするのだろうか?と現に奴隷達の格好は男女ともに下は同じズボンを履いている。女性は薄汚れた布を1枚羽織っており、男性は上半身裸なのである。

それに加え、劣悪な環境にいて体は汚れや垢だらけであり、傷だらけなのだ。屋敷に入る以前にあの馬車に乗ることですら、戸惑ったぐらいなのだ、それなのに目の前にいる使用人は私達を無視したり罵倒なんてせずに人間扱いしてくれているのだ


「よし、お前ら取りあえず男と女に分かれてくれない?」


目の前の男が使用人と話したあと私達の方を向き、よく分からない事を言い出した。もちろん私達は慌てながらも、直ぐに男女別に分かれた


「おぉ~、やっぱりめっちゃ早ぇ」


謎に感心している貴族の男を見ていた、次にどんな命令をされるのか怯えながら


「あっ、忘れてた。俺の名前ジン・スカーレットだから、よろしくねぇ」


ん?なんでこいつ私達に名前教えたんだ?名前呼びなんて許されるわけないのに、私達に軽く挨拶をしたこのジンって人は、1人のベテランそうなメイド1人を私達に付かせ、男の方は白髪が生えたおじさん執事が付いていた


「では、女性の方は私に付いてきてください」


私達なんかにお辞儀をしたメイドに、私達は付いていった。男の奴隷は途中から別のところに行っていた。

私達は歩く度に手錠がジャラジャラとなる、手錠に怯えていた、いつうるさいって言われるのか、殴られるのかって、ずっと怖かった。


「着きました、着替えはこちらで用意してるのでごゆっくり」


私達は、ビクビク怯えながら付いていたが、付いた場所はお風呂場だった。

お風呂なんて何年ぶりに見ただろうか、奴隷になってから冷たい水をぶっかけられるか、タオルで拭くしかなかったな


「は、入っても良いんですか?」


私の後ろから声が聞こえそちらに振り向く、そこには恐らく私よりも年上の人がいた、恐らくは成人している年齢だろう。でも体は痩せ細っていて、言い方は悪いが私よりも汚くボロボロだ


「はい、もちろんです。しかしお風呂に入る前にすることがあります」


メイドが、、勝手に喋った奴隷の方に向かう。

一歩一歩近づくごとに、喋った奴隷はぶるぶると震える。私達は同じ仲間を助けることが出来ず、自分可愛さに道を開いた


「す、すいません!か、勝手にしゃ、しゃぶ、、喋ってしまって!」


声が震え噛み噛みになりながらも謝る。しかし怒っているのかメイドは近付き、手を取った


「ヒィッ」


涙めになり怯えていた、私達も今からお仕置きが始まるんだと覚悟をした、ここで吐いたり涙めになったりしたら私達までお仕置きされる、だから私達は見ることしか出来ないのだ。

しかし私達の心配とは裏腹に、ガチャンと言う音と共に、勝手に喋っていた奴隷の手錠がメイドが手をかざしたら地面に落ちたのだ


「え?」


何が起こったのか分からないって顔で、勝手に喋っていた奴隷は、、、いや私達は目の前の手鎖を外したメイドの方を見つめた。


「驚かしてすみませんでした。皆様の手錠も外しますので、外した方から入ってください」


また、私達に頭を下げたあと、小さく微笑みながら言っていた

そのあと私達は手鎖を外してもらい、風呂場に入っていった、なかはみたこともないぐらい広く綺麗だった。

お湯は温かくて気持ちが良い


「こんなに温かいんだ、、、本物のお風呂って」


私の近くにいた人が涙ぐみながら、言ったそれにつられ涙を流す人が、いた


       ・  ・  ・


充分にお風呂に浸かったあと、私はお風呂からでて、脱衣所に向かった、そこにはここに案内してくれたメイドとは違う別の若いメイドの人が立っていた。


「あれ、、私の服」


私はさっきまで着ていたボロボロの服が無いことに気づくそれどころか手錠すらもない

私が困っていると後ろから話しかけられた


「すみませんがあなた達が着ていた服は、ご主人様の意向で全て処分されました。そのため次からはこちらを着てください」


渡されたのは、目の前のメイドが着ている服と全く同じのメイド服だった


「え、えっと、、、」


「これもご主人様の意向です。その人に合った仕事をさせろって言われて基本的に、女性には私達と同じ使用人として、男性には力仕事です。まぁ健康状態によって働く場所は変わりますが」


「そう、、ですか、、、」


「それで何ですが、お休みは週に2日あります、給料は月に約19万レン、ボーナスや残業もありますし、妊娠や近しい人が亡くなったりと何か大切な用事がある場合は、休日を貰えます」


急に私の頭に色々入ってきた、給料?休み?なんで私達にそんなものを用意しているの?


「な、何でですか?わ、私達は奴隷ですよ?」


「これも、ご主人様の意向です。あなた達はこれから私達と一緒の使用人として働きますので、説明をしました。もし字が書けないとか読めないとかありましたら、勉強会を定期的に開いているので、来たいときで良いので来てください」


本当に今日1日色々ありすぎだ、夢なら一生覚めないで欲しい


「これからよろしくお願いします。

リリア・ユーシアさん」


私の名前を言ったあと、お辞儀をした。メイドに私はなぜか涙を流した。


       ・  ・  ・


これが初日の話しこのあと、私専用の部屋に招待された、そこにはふかふかのベットに机に、タンスや本棚と色々揃った部屋だった。基本的に使用人の部屋はこういう作りらしい。

次の日から始まった仕事だが慣れないことも多くミスをしてしまった。私達のような奴隷がミスをすると、殴られたり怒鳴られたりされるのが普通だ、でもここではそんなことされずに、優しく教えてくれて、時に厳しく注意や説明をしてくれた。私達は今までの奴隷の生活が長いせいか、お仕置きされないためにほとんどのことをすぐに覚えることが可能だ。しかし勉強となると話は別なのだろう。私は親に売られる前は真面目に勉強をしていたから大体は分かるから、そこまで苦労はしなかったけど、たまに勉強会に行っている、やっぱり算数は難しい

ちなみに仕事中たまに、ご主人様が遊びにきて、ふざけて、メイド長さんや執事長さんに連れていかれたりしていた。それを見るたびに笑ってしまったことがある。


       ・  ・  ・


1週間もたって私達は仕事も慣れ、元からいた使用人に負けず劣らずの仕事をしていた。そんなある日私達はご主人様である。ジン・スカーレットに男も含みすべての奴隷が、正門前に呼ばれた


「みんな、すまないね集合をかけてもらって」


ジンが私達にいつものように笑みを浮かべながら言った。横には1週間前に倒したあの獣人が立っていた、服は特注なのだろうか?あの獣人用の大きい執事服を着ていた。


「今日呼んだ理由は2つまずは、今の今まで気絶してたユダヤ・キレンカの紹介をしようと思ってな、挨拶を」


ジンが、ユダヤ・キレンカと言われた獣人がジンを2度見していて、今思い付いたんだなって私は思った。


「、、、あ、、あ~、、、」


咳払いをしたあと、困りながらもユダヤは声を出した


「俺はユダヤ・キレンカ、、見ての通り虎科の獣人だ、、俺の体は3m20cm程あるが、本来の獣人の平均は2m弱ぐらいで俺は普通よりも少し大きい、それで俺は、、、、ジン・スカーレットの護衛を勤めることにした」


「え!まじで!!?」


いや何でジンあんたが一番驚いてるのよ、、、忘れそうだけど私達は奴隷なんだなら強制的にでもさせることは可能なのに


「なんで、お前が1番驚くんだ、、、?お前がなってくれと言っただろ」


ユダヤも、戸惑いながらツッコンでいた。


「いやぁ、まさか本当にしてはくれるとは思わなくてね、助かります!」


ジンがめっち深いお辞儀をした、そのスピード感と声に私達は体をビクッとした。


「さてと、ここに呼んだもう1つの理由なんだけどね」


急にジンの声が代わり、ここからが真剣な話だと思った。それにジンは固有魔法なのか空間から紙の束を出した。


「ここ一週間で、君達の事を色々調べさせてもらった。」


ジンが持っていた紙は、私達との契約書だった。


「それで、調べた結果分かったんだけど、アイルー・リリースと、カイルー・リリース、ゼクロス・サーフェスト、ルミネ・スイト、最後にミミリー・ダイヤは前に出てきてくれ」


ジンが名前を言いながら、目線を会わせる。それと反対にさっきまで笑みを浮かべていた私達は、怯えていた。「何かしたんだろうか?」って呼ばれた子達はビクビクと怯えながら前に出た


「お前ら5人の情報を見ていると、お前らは全員誘拐されそのまま、売られて奴隷になった奴らだよな?」


ジンは確認するように問う、問われた5人は顔を見合わせたあと、1人が口を開いた。


「は、はい!ほ、他の人は分からないんですけど、、、僕はと、盗賊に誘拐されて奴隷になりました、、、」


誘拐された日でも思い出したのか目に涙を浮かべながら、言った。1人の奴隷が言うと他の四人も、誘拐されたと口々に言い出した。


「良かったよ、間違っていなかったようだね。」


ジンはボソッとまるで独り言のように言った、そのあとジンは息を吸い、前に出した5人に笑みを浮かべながら言った


「君達5人には帰る場所がある、だから俺は君達を奴隷から解放し、元々いた故郷に返す予定だ、もちろんここで働き続けたいなら大歓迎だけど、、、どうする?」


な、何て言った?ジンは、何て言った?解放するって?そんなの、あり得ないでしょ、、、私達はだって、、、奴隷なんだよ、、、?


私は泣き出そうになった自分の事ではない、それは事実だ。でも自分の事のように嬉しくなった、1週間前に初めてあった関係なのに、他の奴隷達も戸惑いや泣き出す人がいた、奴隷と言うどん底から抜け出せる一筋の希望を今目の前で見たからだ。


「ほ、本当に良いんですか?」


体を震わせながら涙を溜めていた、1人の奴隷が消え入りそうな声で言った。名前はたしかミミリー・ダイヤだっけ?


「おう!本当だ」


ジンは私達に優しい笑みを浮かべていた、奴隷ならこの笑顔も言葉も疑って、怯えて過ごすはずなのに、私達はジンの言葉が不思議と嫌に感じなくて、信用した


「、、、いやまてよ、お前隷属の呪文はどうするんだ?」


ジンの後ろにいたユダヤが、問いかけた。

確かにその通りだと私達はザワザワしだしてしまった。隷属の呪文があるかぎり、本当の意味での自由ではないからだ。もちろん、これは私達のわがままに過ぎない、帰してもらえるだけでも、奇跡に等しいんだから


「その辺は抜かりないぞ~」


ユダヤの方に向きながら、ふざけた調子で言った


「ゴッホン、、、君たちは隷属の呪文の解き方をしってるかい?はい!そこの君」


「え!?あ、、えっと、、、隷属の呪文に魔力を流し続けての破壊と、、、しゅ、主人の殺害、、、ですか?」


戸惑い、ビクビクとしながらジンに指を指された人が答えていた。


「うん、正解!でも、もう1つ実はあるんだ、それを証明するために~、、、、ルミネ・スイト君、前に出て来てくれる?」


「は、はい!」


ユザベラの次に幼いと思う、ルミネ・スイトは驚きながらもジンの方に向かった。

ルミネはピコピコと獣人特有の耳を動かしていた。確かルミネ君は猫科だ。何度か触らせてもらったものだ。

耳気持ち良かったなぁ、、、なんてしょうもないことを思っていた。


「嫌かもしれないけどみんなに隷属の呪文見せてあげてくれないか?確か君は腕だったよな?」


ジンの問いにビクッと体を震わせたルミネは、子供用の執事服の裾をまくり、隷属の呪文を私達に見せた、その呪文はどの魔方陣よりも一部を除き黒く。それでいて隷属を唄っているのに魔方陣の真ん中にこれまた異質なピンク色のハートが刻まれている、まるでこれを愛とでも言いたいんだろうか、これを作った奴は相当性格がネジ曲がっているクソやろうなのだろう。


「ごめんな、、、」


ジンはルミネにしか聞こえない声で小さく呟いた、あとリリア達の方を向いた


「見ての通りこの紋章はみんなにも刻まれているだろう、そしてさっきも言ったが隷属の呪文の解錠方法は三つある。」


「1つは隷属の呪文の許容量以上の魔力を流すこと」


ジンがまるで、絵本を読むように、語りかけるように私達に話す


「2つ目は奴隷を買った主人を殺すこと」


「そして」


ジンは1枚の紙を選んで手に持った。笑顔のまま


「3つ目は契約書を主人が破棄すること」


ジン・スカーレットは私達の目の前で、1枚の紙を2つに破った。するとルミネ君の腕の紋章は

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