警備の仕事

ハメリュ

第1話

憧れていた、ビルの作業現場に入った。

建設現場の仕事や道具に憧れていた。

誰にも内緒にしているけど、20代のころにペンキ屋の事務員の時ペンキ屋になりたいと社長に言ったら女は力がないので無理だと言われた。

でも、少数ではあるが、現場職の奥さんなんかで手伝っているお母さんがたまにいた。

私は男に負けないくらいの、現場仕事人になりたかった。

そこを、ポキッと力なしで、折られてしまい今まで、土方作業もやりたかったが、足手纏いになっては迷惑だと、足を踏み入れられなかった。

だが、最近警備員の仕事を始めて、ビルの外やビルの中、ビルを建てる前の、ユンボや生コンの作業を間近で見られるなんて、こんな嬉しい仕事はない!

とにかく、毎日新しい勉強しかない。

もちろん、現場を見るのは始まる前や終わった後か、休みの日だ。

自分の仕事は、工事をしている周りの安全を守る仕事だ。

現場の仕事や警備の仕事は、男仕事、汚い仕事など、思われがちだが、もっと、丁寧で繊細で、気の長い作業も沢山ある。

最近は足場の組み立て、解体を何度も何度も見させてもらっている。


もちろん、周りの歩行者の安全を第一に考えてチラッと見るだけだ。


足場の鉄のパイプは種類があり長さが違う。それを頭で考え、出来上がりを想定してあと何本と瞬時に下のトラックから、準備する。

2トントラックには、だいたい3階くらいまでなら、綺麗に並べてその足場は準備出来る。

崩す時も、順番に綺麗にブロックの様に場所は決まっている。

足場が無ければ、仕事も始められないので大切な所だ。


新築なら、意外とやりやすい場所も建物との隙間もある。

リフォームでいうと、だいたい木や隣の建物、住んでいる人の行き来。

飾りやライト植木まである。

それがあっても、狭くても、足場はいるわけで。


植木の木の枝で怪我や虫、蜂は日常茶飯事だ。猫のフンや、電気の線、排水口の臭い水、埃や砂を被るときや、作業着についてしまって取れないこともある、それでもその日はそのまま仕事だ。

狭さで、木が折れた言われても困る。


例えて言えば、引越しだと言うのに、冷蔵庫の中身も入ってて、電源も抜いてないのに、運べと言うのと同じくらい大変な事だ!

ある程度、建物の周りの確保はして欲しいといつも思うが、人ひとりギリギリ通れる隙間に、細めの足場を持って行けたとして、ネジ穴にネジを入れるのも、回すのも、手探りっていう現場もある。

そんな、状況でもだいたい金額が変わらないのは、この建設業界の闇、ブラックだ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る