日常に溶け込む “違和感”―12

そんな会話をしていたがにわかに外が騒がしくなってきた。

騒ぎに気付いたミユキがおもむろに外の方へ視線を移す。


ミユキ:「なに?」

ケン:「なにかあったのか?」

ミユキ:「ナツミ、そっちで何かわかる?」

ナツミ:『なんかモール側が騒がしいみたいだけど―――』


【ピースキーパー】1号機に搭乗している辻本ナツミは

機体のカメラセンサーで確認しようとするが位置的の問題か

よくわからないらしい。

ミユキたちは指揮車を動かして様子を見に行こうと思ったその瞬間だった。

ガシャーン!という何かがぶつかった激しい音が響く。


ミユキ:「ッ!?」

ケン:「―――な、なんだ!?」


反射的に車から飛び出す2人。

同時に音がした方向から人々が悲鳴を上げながら逃げ出してきていた。

キャリアトレーラーの方にいた二階堂ヨリコと若葉アオイの2人も

騒ぎを聞きつけ、ミユキの方へ寄ってきていた。

そこへ無線の着信音が響き、ミユキはすかさず指揮車に戻り、応じた。


ミユキ:「第1小隊指揮車、小早川です」

隊長:『小早川か。そっちで事件が起きとるのがわかってるな』

ミユキ:「やはりこの騒ぎは―――何が起きてるんです?」

隊長:『どうやら所属不明の【レイヴン】が突如暴れ始めたらしい。

目的は依然として不明。とにかくモール周辺を破壊している様だ。

おまえたちが現場に近いんで急行してくれ』

ケン:「相手の数は?」

隊長:『通報によれば1機だけらしいが正確な確認はまだだ。

それも踏まえて1号機並びに2号機を直ちに起動。目標の静止ないしは

これ以上の破壊活動を阻止しろ。増援を送りたいがあいにく第2小隊は出払ってる

避難誘導の応援は送れるんで当面はそっちでなんとかしろ』

ミユキ:「了解。第1小隊行動を開始します」


隊長への応答を済ませるとミユキは無線を切り替えて【ピースキーパー】2機の

搭乗者それぞれに通信を繋げる。


ミユキ:「ナツミ、東海林クン聴こえた?」

ナツミ:『聴こえてるわよ』

ショウジ『自分も大丈夫っス』

ミユキ:「2人共、直ちに現場へ急行。当該機体の破壊活動の停止を目標に行動して。場合によっては電磁警棒の使用も構わないわ」

ナツミ&ショウジ『『了解!!』』

ミユキ:「ヨリコとアオイちゃんは2号機リフトアップ後、中島クンと一緒に避難誘導の支援を」

ヨリコ&アオイ「「了解!!」」

ケン:「小早川は?」

ミユキ:「私も現場に急行して情報を集めるわ。それじゃお願いね」


そう言うと同時に特機2課第1小隊の面々は速やかに各々役割をするべく行動を

開始する。


アオイ:「東海林さん、準備OKです」

ショウジ『こっちもOKっス。立ち上げお願いします!』

ヨリコ:「了解、【ピースキーパー】2号機、リフトアップ!!」


トレーラーのキャリアリフトが徐々に緩やかにせり上がっていく。

同時に【ピースキーパー】のパトランプが点灯し、周囲に自分の存在を認知させる様に赤く光る。

その様子に気付いた人々も逃げの足を止めて立ち上がる姿を見つめていた。

リフトが完全に立ち上がると同時に固定していたボルトが動き、ロックしていた固定機具が解除される音が鳴ると同時に【ピースキーパー】2号機はキャリアから

ゆっくりと降り、ナツミの乗る【ピースキーパー】1号機の隣に並び立つ。

その壮観な光景に見入っていた人々から歓声が沸き上がる。


人々『ワアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!』


民間人を守る為の盾とも云える白と黒の警察機【ピースキーパー】の知名度を

知らしめた。

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