◆神々との戦い

 同じく、人間たちも神々に対して反乱を起こしていた。光の人間だけでなく、闇の人間もすべてそうだった。

 キキの故郷の村でも、光の巫女が公開処刑された。

 今まで長い間、光の人間たちは光の巫女に逆らえないでいた。光の巫女は村の長よりも偉く、その権力で光の人間を支配し、若者達を強制的に戦争へ駆り出していた。キキが成長した後も、巫女は実質的支配者の座に就き続けていた。

 しかしシャドの魔法が暴走して大混乱が起きたとき、人間たちは結婚の自由や兵役、掟への不満を爆発させ、巫女を処刑するに至った。


 村へついた三人。


「ボクたちも力を貸すよ!」

「今は力を合わせましょう!」


 シャドとククが人間たちを説得する。

 キキは呼びかけた。


「みんな、行くよ!」


 村人たちにキキたち三人も加勢し、人間と神々の戦いが始まった。


 ククとシャドは闇の神々に対し、魔法を放った。

 キキは光の神々に対し、剣を振るった。

 しかし強大な神の力の前には、ちっぽけな人間は敵わず、次々と倒れていく。三人も、苦戦を強いられた。

 人間と神々の激しい戦争の中、光の巨神と闇の巨神、二人の巨神が対峙し一騎討ちを始めた。


「さっさと闇に呑まれるがいい!」


 最初は闇の巨神の方が優勢で、光の巨神を軽々と追い詰めた。光が弱まり、闇の雲が立ちこめ、世界は黒一色に染まった。何も見えない。太陽も、仲間の顔も。すべてが闇に飲まれかけていた。


 しかし、光の巨神も負けてはいなかった。


「お前こそ、光に焼かれるがいい!」


 光の巨神はわずかな力を振り絞り、光の雨を降らせる。光の雨によって真っ黒だった世界は、あっという間に白い光に包まれた。

 眩しさのあまりキキたちは目を伏せるが、どんなに強く目を閉じても視界は真っ白のまま。さらに灼熱の炎に焼かれるような感覚もした。


 世界が光に飲まれそうになった時、キキは悟った。

 光と闇、どちらか片方が滅んだら、両方とも滅び、すべてが滅んでしまう、と。


 真っ白で前が見えない。それでもキキはただ勘を頼りに、二人の巨神の元へまっすぐ走った。


「やめて! 片方が滅んだら、みんな消えちゃう!」


 キキは二人の巨神を説得した。

 しかし、二人の巨神はキキを馬鹿にした。


「魔法も使えない一人ぼっちの虫ケラが言うな!」


 光の巨神はそう罵ると、魔法でキキを吹き飛ばした。

 白い光の海を、キキは落ちてゆく。行き先がわからないまま、どこまでも……。


「キキ!」


 突然、キキの体が宙に浮かび出した。

 魔法をかけてキキを救ったのは、ククだった。


 そう。キキにはクク、シャド、ドド、カカ、ケケ、ココ……他たくさんの仲間がいた。

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