声色

砂葉(saha/sunaba)

プロローグ

 「あーあ、また終わりかあ……。」

 薄暗い空間の中で男が呟く。

 元は灰色の石畳であっただろう地面は、昔の血、さっき出てきた血により茶色と赤で染められていた。

 「まあ良いか。新しいのを補充すればいいんだし。」

 そう言った彼はゆっくりと立ち上がり、段々と白んできた空の下へ向かった。後ろには腐ったモノや、まだ形を保っているモノ等が乱雑に積まれていた。

 トンネル。霊が出そうで怖いですよね。今ではそう言われているんだろう。

 「ただし、霊が出てくる前はそこには死体があるんですよ。」

 男はそう嘲笑い、トンネルから去った。

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