(二)

 福永修司の自宅の応接間では、集まっていた修司の他、その息子の修一、娘の美幸、そして高井戸文彦がそわそわして落ち着かない様子であった。修司の妻であり修一と美幸の母でもある幸恵が入れたお茶をすすりながら、各々が何かを考えてみるものの、それを口に出すところには至らず、お茶をすする音のみが場を支配していた。

 そんな折りに玄関チャイムの音が応接間に響いたのだ。

 突然の大きな音に驚いて、この家の住人ではない高井戸はお茶をこぼしてしまっていた。


(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る