GO to トラベル 朝立カノンは異世界転移ツアーでピアノを演奏する!

藍上(あいがみ)おかき

第1話 ぢゃらんもついに異世界転移ツアーを紹介していた!


異世界トラベルぢゃらん

 プロローグ


修学旅行を明日に控えた帰り道、旅先の情報を少しでも把握しようと旅行といえばぢゃらん。

 国内では知らない人がいないであろう旅行雑誌を手にパラパラと捲っていた。


 

 修学旅行に選らばれる国ランキングベストテン! 初めての海外旅行ランキング……。十代からの海外旅行! 行ってみたい海外!

  などなど……。

 

 海外を紹介するコンテンツが満載のぢゃらんを片手にあたしは、そのどれをとっても行きたいとも思わないし、何一つ魅力を感じることはできなかった。


  基本的に修学旅行は課外授業の一環だし、1人でブラブラだったり仲の良い友達と楽しく旅行というわけでもないからといのもあるけど、それ以前に国内外問わず旅行全般全く興味がない。


 あたしの個人的な意見としては、旅行なんかいくよりもピアノの練習をしていた方が魅力的だし有意義だ。


 ピアノが演奏できるならどこへでも行くし、例えそれが今生の旅立ちになろうが構わない。


 制服の上からコートを羽織り、コートの上からマフラーを巻きながら、暖房の効いた快適な店内で旅行雑誌をみていた。


 

ページをパラパラとめくり、あたしはそのページに釘付けになる。


 ドーン!とあたしの心刺さるキャッチフレーズ。


 

 見渡す限りの青い海はその中心にお城のシルエットが浮かび上がり浅瀬が透けて見えている。




 『夢にまでみた夢の大舞台でおもいっきり演奏しませんか?』


 というフレーズ。


 修学旅行なんて行ってられない。 あたしは勢いにのってコラムを読む。



ーー国内でもない、海外でもない! 異世界という今までにない旅行先! 絶海の孤島にそびえる魔王城、大観衆を前に自慢の腕を振るいませんか?


片道切符の異世界転移ツアー! デッドオアアライブ?

 


腕に自信があるならこの島で一躍スターになれるかもしれません。 ーー



 ちょっとあの有名な雑誌で異世界転移ツアー? なんですかそれは? 随分とふざけた内容でマフラー越しに思わず「プスッ」 と、吹いてしまう。


 だけどあたしはそんな異世界転移ツアーだのデッドオアアライブだなんて言葉以上に『夢の大舞台で演奏しませんか?』


 というフレーズが頭の中でエコーしていた。

 そして、気が付けばあたしはスマホ片手に電話をかけていたのだった。

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