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「これは……酷いな。ここが発生源であることは間違いなさそうだね」

 アベイルが顔を顰めて言う。視線の先には、無惨な亡骸が転がっている。魔獣の森の奥、獣たちの住処とされる洞窟の入り口に捨て置かれた遺体は酷い有様だった。生きたまま食い殺されたらしい亡骸は、殆どが紅に染まりその原型を留めてはいない。

 むごたらしい有様に、カインは息を飲んだ。死骸ならば見慣れている。だが、それが友の亡骸、それも無惨な死体であれば、話は別だ。

「……ユージーン……何で……」

 血に染まった衣服の切れ端は、カインと同じ第三騎士団のものである。首筋を食い散らかされ、伏せられた相貌は窺えない。だがその特徴的な赤毛は見間違えようもない、友のものだった。

「君の知り合いか?」

「ええ……騎士団時代の、友人でした」

「……そうか、恐らく彼が何らかの手法で魔獣を暴走させたのだろうね。彼が主犯かどうかまでは分からないが」

 カインは無言で首肯した。現場を見れば少なくともユージーンの関与は疑えない。

 友人の亡骸を前に、カインは血が滲む程強く、掌を握り締めた。


 現場検証を言い出したのはアベイルだった。魔獣の大暴走によって受けた被害は決して少ないとは言えない。魔獣の迎撃に出た領主の私兵たちが数名、討伐を免れ町へ侵攻した獣により襲われた町民が数名、命を落とした。その内一名は、領主を庇ったメイドのものだった。

 カインが辿り着いた時、メイドの喉笛を噛み千切った狼型の魔獣は今正に領主を襲わんとしていた所だった。まただ。またカインは、一歩届かない。歯噛みしながら魔獣を斬り伏せる、その後ろで無傷の領主は虚ろに呆け、双子の片割れを失った執事は悲痛な叫びを上げていた。

 この身を強化する“ギフト”は、辛うじて大事なものに手は届くかも知れない。だが、もう一歩、後一歩が届かない。そうしていつも、後悔に苛まれる。血塗れのメイド服を見下ろし、カインは奥歯を噛み締めた。

 弔いも事後処理もそこそこに、発生地点を調べたいと言い出したのは領主だ。一両日も経たない内の出来事である。

 逃げるな、責任を取れ、荒ぶる民衆などどこ吹く風で、寧ろ原因が分からなければ責任も取りようがないと、飄々と出て行こうとするアベイルに、慌てたのはカインの方だ。スタンピードは収まったといえ、魔獣の発生地点へ赴くなど正気ではない。しかし放っておけば身の安全など考慮しないアベイルが、一人でも彼の地へ赴くだろうことは分かっていた。

 非難から逃れるようにして、アベイルとカインは魔獣の森へと訪れていた。オリガとヒルデ、二頭の馬に跨がった行程は数刻程。その間カインはアベイルを説得し続け、悉く失敗していた。暴走を起こしたのは灰色の狼型の魔獣である。それ以外の魔獣は襲って来る可能性は十二分にあった。その危険性をどれだけ説いたところで、アベイルの態度は変わらない。

――そこら辺の魔獣なら君の敵ではないだろう? 守ってくれると信じているよ、僕の護衛騎士。

 そう言われてしまえばカインにはもうアベイルを止める手段はない。そうして訪れた魔獣の森の奥、狼型の魔獣の住処であろう洞窟の入り口で、友の遺体を発見したのである。


 動揺するカインを尻目に、アベイルは死体を跨ぎずんずんと洞窟に入っていく。余りにも無防備だ。

 慌ててカインはその後に続く。ここへ来るまでにも数体の魔獣を斬り捨てている。狼の住処から残党や他の魔獣が湧き出て来ないとも限らないのだ。

「……ああ、これか」

 洞窟を進んで程なく、アベイルが何かを見つけてしゃがみ込んだ。警戒は緩めぬまま、カインはその傍へと寄る。アベイルの手元を見れば、何処か見覚えのあるような紫色の宝石のついたペンダントが握られていた。宝飾品に疎いカインにも分かる最高級品と思しき宝石は、かつて馬の代金としてアベイルが売り払ったペンダントだった。

「それは……アベイル様の、」

「そうだね。少し、迂闊だったようだ。まさか悪意を持った者の手に渡るとは思っていなかったからね。判断が甘かった」

 言葉の割に淡々と告げながら、アベイルは宝飾品の傍らに落ちていた布袋を拾い上げる。ずたずたに切り裂かれたそれからは、酷く甘い蠱惑的な匂いがした。

「これが何か、分かるかい?」

「正確には分かりませんが……恐らく、魔獣を興奮させる薬のようなものかと。そうしたものがあると聞いたことがあります。……違法ですが」

「そうだね、隣国で取れるレムナスの実から、そうした薬が作れると聞いた覚えがある。これと……、それから僕の所持していたペンダント。この匂いを覚えた魔獣たちを、僕の元へと誘導した」

 膝の埃を払い、立ち上がったアベイルは口の端を上げた。

「つまり、僕の所為だという訳だ」

「っそれは!」

「そうだろう? この魔獣たちは、明らかに僕を狙って来ていた。他の村には目も向けずにね」

「だったとしても、それはアベイル様の所為ではなく……、」

「僕の所為だよ。僕の迂闊な行動で、人の命が失われた。僕はこうもおめおめと、生き延びているというのにね」

 ああ、まただ。自虐じみた笑みを浮かべるアベイルを前に、カインは唇を噛み締める。またアベイルは己を省みない結論へ至ろうとしている。きっと婚約破棄の件だって、決して噂で聞くような真相ではなく、彼が何かを被り何かを諦めた、その証左でしかないのだろう。直接ことの顛末を確かめた訳ではないが――自分に話してくれるとは到底思えないが、カインには確信めいた思いがある。

「あの子を……フレアを殺したのは、僕だよ」

 全てを諦め、咎を負おうとする空虚な瞳に、カインは押し黙り小さく首を振るより他になかった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 馬でまた数刻かけ、屋敷へ戻る頃には日はとっぷりと暮れていた。馬に揺られる銀色の髪が、茜色から藍色へと染まる。それを眺めながら少し後で馬を進めるカインは、屋敷が近付くにつれ不穏な空気を感じていた。戦いに身を置く騎士としての直感が、このまま進んではいけないと告げている。

 丘を下り領主の館が見えて来るとそれは確信へと変わった。常ならば宵闇に沈んでいる筈の建物は、煌々とした灯りに包まれていた。松明の火だ。

「アベイル様、後ろへ、」

 馬を前へ出しアベイルを下げようとする。だがそれより先に、松明の火に囲まれてしまった。恐らく斥候でもいたのだろう。

 近付く炎にヒルデが怯えたように後退る。軍馬であるオリガと違い、ヒルデは訓練を受けていない。火に怯え領主を落馬でもさせてはことだ。カインはそっとオリガをヒルデの横につけた。

「何だ、お前ら……領主様に何の用だ」

 カインが誰何する先、揺れる炎に照らされた者たちの顔が浮かび上がる。取り囲んでいるのは数名だが、領主館の方から続々と松明が近寄って来るのが見えていた。

 集った者たちは見たことがある者もいれば、全く知らない者もいる。見覚えがあるのは、近隣の村の者たちだろう。松明を片手に掲げ、そしてもう片方の手には、棍棒や、農具や、中には包丁やナイフなど刃物を携えている者もいた。穏やかではない。

 警戒するカインの前に、ずいと一人の男が歩み出た。

「俺らはラナダ村のもんだけどよ……あんたが下手打った所為で家も畑も失ってんだよ! それなのに税も軽くならねぇで、どうやって生きてけってんだ!」

「そうだ! 俺らの村でも勝手にバラカッドの木を伐りやがって……案の定魔獣が溢れ出たじゃないか! どうしてくれる!」

「俺は……俺の妹は、魔獣に食い殺されたんだぞ?! 来月には嫁入りするところだったっていうのに……何でこんな……」

 怒り混じりの罵声も涙ながらの愁嘆も、反論することは出来る。だがカインがどれだけ説得しても、怒りに満ちた大衆に届くことはないだろう。ましてや、当人であるアベイルに自己弁護をする気が全くないとあらば。

 徐々に周りを取り囲みつつある群衆をどのように抜けようか思案するカインの前に、小柄な人影が飛び出て来た。

「――人殺し」

 宵闇に沈んだスカートが揺れる。昼間見た時は空と同じ色をしていたスカートは、重く塗れて色を変えている。身に纏っている者の血ではない、双子の片割れのものによってだ。

「っフレアは……、フレアは死んだ! あんたが……っあんたの所為で……っ」

「フラウ……」

 妹を失ったフラウは、涙の枯れ果て真っ赤になった目でこちらを睨みつけている。

「あんたの所為で……フレアは死んだ! この、人殺し!!」

 フラウの至った哀しい結論に、カインは小さく息を飲む。彼も分かっている筈だ。領主が要因だったとしても領主の咎ではない。だが大事な双子の片割れを失い、そう思わざるを得ない気持ちは分かった。それ故に哀しい。

 怒り、失望、哀しみ。入り交じった群衆の中で渦巻く殺気は、ふとした契機で爆発しそうだった。


「……ろせ、」

 切っ掛けは一人の男からもたらされた。見覚えのない男である。殺気立った人垣の中で、妙に冷静な表情だ。その手には剣が携えられている。カインは瞠目した。村人の格好をしているその者が所持しているのは、カインと同じ、第三騎士団所属の者に与えられる剣だった。

「殺せ! 領主を逃がすな、捕らえろ!!」

 あからさまな先導に民衆は乗った。怒気が膨れ上がるのにいち早く反応した愛馬が高く鳴く。手綱を操りカインは馬を回した。 

「っアベイル様!!」

 皆まで言わずとも分かっていたのだろう、アベイルは既に馬を駆らせる体勢に入っている。目で合図をすると、カインは先んじて駆け出した。

 驚き蠢く人垣の前で、強く手綱を引く。前脚を上げ鋭く嘶き、群衆を威嚇する愛馬から振り落とされないようにしながら、カインは冷静に割れた人垣を見出し、馬を駆る。背後に聞こえるもう一つの足音に耳を澄ませながら、カインは衆愚を蹴散らしその場を後にした。


 馬を走らせ、走らせ、走らせ。

 後ろにつくアベイルを気遣いながら、一刻程走って、馬の足が落ちて来たところでカインは歩を緩めた。

「っはあ、……アベイル様、大丈夫ですか?」

 騎士として日頃馬に乗り慣れているカインでさえ、流石に疲労が溜まっている。アベイルは馬にしがみついているのが必死の青い顔で、どうにか跨がっている有様だった。

「少し休みましょう。自分も流石に疲れました」

「ああ、そうだね……追っ手に追いつかれる可能性は?」

「ないとは言えませんが、馬を持っている手勢の方が少ないでしょう」

 少数であればカインの敵ではない。非戦闘民たる領民たちを、斬り捨てる覚悟を持てればだが。

 カインは愛馬から下り、街道を逸れて脇藪へと入っていく。これまでは速度を優先し、ある程度整った道を走って来た。しかし蹄跡を辿られる恐れはある。何処かで脇道に逸れて進路を誤魔化さなければならない。

 藪を掻き分け抜けた先、小川に行き当たる。馬たちに水を飲ませ、カインは川の畔に腰掛けた。足と腰に負担の来たらしいアベイルも、よろめきながらもそれに倣う。疲れの浮かぶ端麗な横顔を眺めながら、カインは少しばかり躊躇しながら口走った。

「先程の群衆の中……先導者がいましたね」

「どうして分かる?」

「……騎士団の剣を携えてましたので」

「そうか……君の友の件も考えるに、どうやら騎士団の関与は確定だろうね」

 君には堪えるかも知れないが、皮袋に水を汲みながらアベイルは苦く呟く。

 同様に皮袋に水を詰め、カインは馬に詰む。偵察に出ていた為、最低限の食料と飲料などの旅支度があるのは良かった。美味くもない乾いた肉だが、アベイルならば文句も言わず食すだろう。偶然ではあるが衣服を整えられたのも良かった。朝晩の冷え込みの激しくなる中、野営にも耐え得る装備だ。

 既にカインはこの逃避行を受け入れてしまっている。逃げる算段はついていた。だが、この人がそれを許容してくれるかは分からない。

 ふう、と息を吐くカインに、アベイルが同情めいた目を向けて来る。だがそれもとんだ誤解だ。最早カインにとって憂うべきは、騎士団の関与がどうこうより、アベイルをどう生かすかということなのだから。


「君の所属は第三騎士団だったね」

「ええ、……今も籍があれば、ですが」

「ふむ……第三騎士団の団長は反貴族派だろう。この騒動の発起人も恐らく……」

「まあ、関係ない訳はないでしょうね」

「……案外あっさりしているね」

 戸惑った風のアベイルに、カインは苦笑しながらその傍らに座る。懐から硬い干し肉を出し差し出すと、アベイルは抵抗もなく受け取り口に含んだ。

 小川に映った月の明かりが仄白く辺りを照らす。既に夜半近くだろうが、隣にある人の表情を見て取れる程には明るかった。

「実は……この任に当たる際、任期を終え王都に戻れば第一騎士団に取り上げられると伝えられました」

「第一騎士団に? けれど、それは……」

「そうですね、自分は平民ですので本来ならあり得ないでしょう。その話を聞いた時から、焦臭いものは感じていましたので」

 なるほどね、とアベイルは細い指を顎に当てた。月光に照らされた横顔が青白く光る。

「僕が王都で暗殺されかけたのと、カムセト領に来るまでの襲撃、それらは恐らく公爵家の――僕の父の手に因るものだろうね。これらは衆目を避けて、秘密裏に処理しようとしたように見える」

「今回の魔獣騒動、そして暴動については、逆に人目につくようにという意図が感じられます」

「そうだね、こちらが騎士団の思惑だとすると……」

「そもそもアベイル様の婚約破棄騒動も、貴族派の勢力を削ぐ為のものだったのでは?」

 切り込んでみるカインに、アベイルは美しく整った眉根をついと上げた。少し逡巡するように瞳が揺れた後、はあと深い溜め息を零す。

「恐らくは……そうだろうね」

 アベイルの肯定に、カインは内心歓喜した。これまでその件については遠回しに、遠回しに、何とか探りを入れようとしては撃沈する。それを繰り返していた為、アベイルから言質が取れたのはこの上ない喜びだった。

 少なくともアベイルは世間で言われるような、嫌がらせを繰り返し婚約破棄をされた悪役令息などではない。謀られたのだ。その確信が持てたカインは内心で生まれた喜びを抑えきれなかった。


 カインが更に突っ込んで聞こうとした時だった。

 藪の向こうで不自然に揺れる灯りが見えた。少し遅れてやって来るざわめきに、弾かれたようにアベイルの頭を掴みその場に伏せさせる。

「……っどうし、」

「っし、静かに……」

 離れた街道でこちらを探しているらしい、男たちの声が聞こえた。馬の足跡が不自然に途切れているのに気付いたのだろう。そこまで辿れるとなると、追っ手は暴動を起こした領民ではなく騎士団の手のものと考えた方が自然だ。警戒をしておいたのは正解だった。

 遠退く灯り火を見送り、カインは小さく息を吐く。油断は出来ない、猟犬でも寄越されれば直ぐに居所は知れるだろう。そうなる前に、出来る限り逃げなくてはならない。

 極力音を立てないように身を起こす。そろそろと顔を上げたアベイルの冷静な瞳が間近にあり、カインはそっと息を呑んだ。

「……追っ手は去ったのかい?」

「ええ、ひとまずは……とりあえずこの場は離れた方が良いかと。気付かれないよう、山の方から回って……」

「カイン」

 小さく呼ばわる声にカインは言葉を飲み込んだ。吐息さえ触れそうな距離で、アベイルは静かに告げる。

「君はこのまま、騎士団の元へ戻れ」

「っ何を、」

「今だったら受け入れられるだろう。僕を捜し、処刑したいと彼らが思っている、今なら」

「自分は……っ」

 つい声が荒ぶりそうになるカインの唇に、つ、と細い指が添えられる。まるで幼子にするようにカインを静めた人は、そっと口の端を上げた。

「君の護衛騎士の任を解く。……要は、首だ。何処へとなりとも行くが良い」

 穏やかに言うとアベイルは立ち上がる。馬の様子を見に行くその姿は、独りであることを享受したかに見えた。

 心臓がきゅうと掴まれたような苦しさに、カインは蹲ったまま小さく呻く。逃げ切れるものか。アベイル一人で、逃避行は成功し得ない。自分に騎士団に戻れと言うのか。アベイルを追い立て、命を刈り取る役割を担えと言うのか。

 拳を握り締め立ち上がると、カインはずかずかとアベイルの元へと寄る。灰斑の馬、ヒルデの鐙を確かめていたアベイルは、空虚な瞳でカインを見返した。

「自分は、何処へも行きません」

「……カイン、」

「っ自分は……あなたの傍にいます」

「……これは命令だ」

「っ聞けません! あなたの命令であろうとも、それだけは聞けない……っ」

 痛切なカインの叫びに、アベイルは痛ましいものを見るようにカインを見た。違うのだ、そうではないのに。

 カインはその場に跪く。驚いたような気配に、強く俯き首筋を晒す。届け、どうか、届いてくれ。

「貴方に仕える許しを頂けませんか。自分は……俺は、貴方の傍にいたい。貴方を生かしたい。どうか……許しを」

 重い静寂が辺りを包んだ。焦れたように馬が鼻を鳴らし足踏みをした。

 沈黙は長かった。一刻も早くこの場を去らなければならない状況であるが、アベイルの返答がなければカインは動けない。悠久とも思える時間を経て、カインは恐る恐る頭を上げる。

 菫色の瞳が揺れている。カインを見下ろす人は、唇を震わせ言葉を発せないでいる。

 カインの胸の内から仄暗い悦びが沸き上がった。

――なら、任せようかな

――構わない、躾さえしっかりしてくれれば

――君たちは好きにすると良い

 これまで与えられた需要が悲しいまでの諦念から来るものであることを知っていた。だからこそ、アベイルの戸惑いが胸に響く。

 傍にあることを許されたい。それなのに、許されないことが何よりも嬉しい。


 カインは主の震える手を取った。跪いたまま、月明かりに一層白く生える手の甲を片手で眼前に掲げる。

「アベイル様、ローウェル領へ向かいませんか」

「……ローウェル? そこは確か……」

「ええ、自分の実家があります。そこまで逃げおおせれば直ぐには追っ手も来ないでしょう。そこで情報と物資を集めましょう」

「しかし、君の家族は……それに、僕は、もう……」

「どうか……どうか自分に、貴方を生かす手伝いをさせてください……最後まで」

 切なる願いは届くのか。長い睫毛が瞳を翳らせる。肯定も否定も出来ないでいるその震える手の甲に、そっと、誓いの口付けを落とした。

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